離型剤を拭い取れ!!

 キットを買って、パーツの確認をして、さあ作ろっちゅー段階になって、一番最初にする作業がバリ・ゲート取りと離型剤落とし。
 この離型剤落としは最後の最後、それこそ下手すりゃ、ン年後に破裂する時限爆弾を仕込むかどうか(決して大袈裟ではないです、ハイ)の運命の分れ道になりうる所です。
 経験を積んで腕が上がっても決して手を抜いてはならない作業、それが、離型剤落としです。
 そもそも、本来、複製用シリコンゴムというのはシリコン自体の離型性・非接着性を生かした離型剤不要の複製材料というのがウリなんですが、たまたま
GKに使われている樹脂素材とは極端に相性が悪いために離型剤が必要になってしまったと言うわけです
【本来が、美術品・骨董品の複製に使用されているものの流用ですし、目的の精密複製という点からも経時変化を起こす溶剤含有樹脂を使用する事は想定してないでしょうから、これはもうあきらめるしかないでしょう。あと、もともとかなり粘度の高いものを手作業で使用できるように溶剤で薄めているため、通常品質よりずいぶん強度が落ちている(本来の物は粘り気が強く、機械で強制脱泡しないと、まるでスポンジのよ うなゴムになる)上に、20〜30ショットも作るもんだから(本来は3〜5個)こんなのを使わにゃならんのだ、トホホ】

 で、この離型剤というもの、現在ではだいたい3種類のタイプが使われています。
 成分的な説明は紹介コーナーを見てもらうとして、まずは説明から、ここで求められる離型剤の使用効果は2つ、
 1つめは、ゴム型の表面に膜をつくってウレタンの溶剤の浸透を防ぐバリアーの効果、
 2つ目は、ゴム型から硬化成型品を取り出す際、型離れを良くするための潤滑油としての効果になります。 
 この2つの効果のうち、潤滑油の効果を持つ薬剤に含まれる
石油系溶剤が後々に影響を及ぼす犯人です。


 んで、除去する方法ですが、おおきく分けて2種類、
洗い落とす方法と、削り落とす方法の2種類がありますが、通常はこれらを併用した作業を行ないます。

 まず、60〜80度のお湯に、中性洗剤(食器用で可)を5%程入れたものに4〜5時間浸け、放置。
*この際パーツを重ねて漬けると下敷きになっているパーツが重みで変形する場合がありますので要注意。
 この作業である程度の歪みの修正と、樹脂中に染み込んだ溶剤分・離型剤分を抜きます。

 次に、クレンザーを中性洗剤で固めに練ったものを歯ブラシに付けて、凹部を中心に磨きます。
 >>マスキング時は凹部が境界線になる場合が多いのでしっかりと磨きます
 なお、離型剤落としに使う洗剤はリモネン系(柑橘系果実皮抽出成分の物)が、今の所最も有効だと思います(オレンジ色の洗剤やテレコンワールドのシトラスミラクル等、柑橘系果実がパッケージに描いてあるもの、最近では作業着洗いの洗剤が安くて良い感じ)。

 次に、面の部分、ここは素直にぺーパーがけ(足付け)をしたほうが早いです>>この段階では軽ーく(個人的にはボークス等で買えるスコッチのスポンジペーパーの1000番相当品がおすすめ、但し面の上にポッチ状にモールドがある場合、フィギュアなら鼻などは『あっ』という問にまっ平らになったりするので要注意)、あと、ついでに接着する面を一皮剥いておいて、面の6〜8割をこの時点でマスキングしておきます。
 これは接着の直前まで表面を覆っておく事で最強の接着力を得るために行ないます>>接着面に塗料が乗っていると、接着剤の力が及ぶのは塗装面までになり、実際の接着力は塗料の接着力のみになってしまうので、いきなり、もしくはいつのまにか、バキッとイっちゃうことになるので、要注意。

 丸洗いと磨きが済んだら、最後に手脂を落とすために石鹸で洗います。
 この際、歯ブラシ等で、磨きの際に出た粉を凹部からかき出しておきます。
 このあと、石鹸を完全に洗い落として、乾燥させます。タオルなどで拭くと、埃が付くので自然乾燥がいいでしょう。
 あと、先に仮組や、組み立て途中で洗った場合はドリル穴や合わせ目に入り込んだ水分を除去するのを忘れないでください。
 残ったままサフ吹きや接着したりすると、はっきりいって、泣きます、ハイ。


 と、まあ、おおむねこんな感じかな?
 要は『ぬるぬる・つるつる・てかてか』は一皮剥いてしまえ、と、ゆーことです。
 まれに剥いても剥いてもヌルヌルのキットがあったりしますが、それはおそらく硬化不良です、 爪で押してへこむ様なら間違いないので交換要請です。
 あと、離型剤は
塗布方法上キットの凸部に溜まりやすいです。これは憶えておいて損はしません。

 そーそー、いくら離型剤落としても、自分の手が油ギッシュのまんまじゃあ何やっても一緒です。
 塗装するパーツを手でさわるときは手洗いを忘れずに。
 家の都合で塗装時に部屋から出れない人はウェットティッシュのウーロンポイとかエタノールとかを使って脂取りすると良いでしょう。