造影剤を使用する画像検査 (MRI)に関する説明書
この説明書は、造影剤を使う場合に起こりうる副作用・合併症についてのご理解を助けるためのものです。
画像診断検査のうちMRI検査では、造影剤という薬を経静脈的に使用する可能性
があります。造影剤を使った検査を受ける可能性がある場合は予め 「造影剤投与に関する
同意」をいただいております。以下の項目をお読みになった後に、ご不明な点を医師に質
問し、納得していただけましたら同意書に署名または押印をお願いいたします。
<造影剤とは> 画像診断の情報量を増やすための検査薬で、静脈内に投与します。
MRI検査ではガドリニウム製剤を使います。造影剤は腎臓から排泄されます。
<造影剤を使う利点>
MRIは強い磁場を用いて、
体の中の水素原子の情報から体内の様子を詳しく画像化するもので、静脈内に投与された
造影剤は血管を介して全身の臓器に分布し、臓器の血流状態や病変部での造影剤の分布を
知ることができ、画像診断を行う上で重要な情報となることがあります。このような画像
検査により、治療方針や治療の効果判定において重要な情報を得ることができます。
<造影剤の副作用>
造影剤でも他の薬と同様に副作用が起こることがあります。小児における副作用の頻度
や症状についての詳細なデータはありませんので、成人のデータをもとに説明いたします。
MRI造影剤
程度の軽いものも含めて1-2%の方に何らかの副作用が起こることが知られています。
そのほとんどは程度の軽い副作用として分類される気分が悪い、嘔吐、じんま疹、
顔のほてりなどの症状で、特に治療を必要としない―過性のものです。まれに(0.1%
以下)冷や汗や息苦しさを認めることがあり、ショックなどの重い症状をきたすこ
とがありまず。極めてまれですが死に至る報告もあります (おおよそ50万検査に1
件といわれています)。
<副作用が起きる可能性を高める要因>
MRI造影剤では、アレルギ―体質の方はそれ以外の人
に比べて副作用の起きる可能性が2-3倍高く、喘息の方は約10倍になるともいわれて
います。また、造影剤は喘息発作を誘発することがあるといわれています。以前に造影剤
で具合が悪くなったことのある方も、副作用が生じる可能性が高いといわれています。重
い腎臓の病気がある方も腎臓からの排泄が遅くなる可能性があります。
したがって、アレルギ―体質や喘息、造影剤・薬剤アレルギーの既往 、 重い腎臓の病気のある場合は必ずお知らせ下さい。 裏に続く
せきど脳神経外科クリニック
<検査中や検査後に容態が急変した場合の対応>
検査中や検査後、容態に変化が起きた場合の処置については、主治医の判断にお任せください。
<検査後の副作用>
検査後しばらく経ってからの副作用はまれで、重篤なものは極めてまれですが、病院か
らお帰りになった後に何らかの異常があらわれた場合には、すぐにご連絡下さい。その際、
「MRI検査で造影剤を注射した」といぅことを忘れずにお話し下さい。
以上の説明をご理解いただきその内容を納得していただけましたら、同意書にご署名を
お願いします。患者さんの利益が副作用の可能性の不利益を上回ると判断した場合にのみ造影剤を使用します。
* なお、同意書を提出された後でも造影剤を使った検査を中止することができますので、
いつでもお申し出下さい。ただしその場合には造影剤を使用しないことで正しい診断
治療ができなくなり、不利益を受ける可能性のあることにもご留意下さい。
* 造影剤を使う可能性のある場合には、検査前の食事を1回ぬいてください。水分制限
はありませんが、牛乳など乳製品を飲むのは避けてください。(薬で眠ってから検査を
受ける場合には、別の飲食制限があります。主治医にお尋ね下さい。)
* ご不明な点がありましたら、ご遠慮なくお尋ね下さい。
せきど脳神経外科クリニック
|