毎日・本三昧 オススメ小説エトセトラ


毎日・本三昧


廃墟建築士   .

廃墟建築士

著 三崎亜記

集英社
2009/1/26 発行


七階を撤去する。廃墟を新築する。図書館に野生がある。蔵に意識がある。

ありえないことなど、ありえない。
ちょっと不思議な建物をめぐる奇妙な事件たち。

感想:
いつもどおりの、三崎ワールドです。
淡々とした文章の中に、ひそかな不思議が詰まっています。さりげないふりしてるけど、全然大胆な設定。今回は建物です。

「七階闘争」は好きでした。七階のあり方や歴史などが語られるシーンは特にシュールで、その設定にワクワクさせられました。主人公の混乱ぶりもほほえましくてよかった。
「図書館」の、生き生きした本の描写も素敵でしたね。

ただ、全体的にかたすぎる気もしました。
能書きが多くて、辟易とさせられたり。
作りこむのは結構だけど、それにおぼれちゃうと小説としての面白さは半減してしまうのかも。
今回の短編たちはオチも弱く、架空の能書きが書きたかっただけ!? なんて思ったり。

三崎さんの短編は好きです。次に期待。
★★★



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配達あかずきん (ミステリ・フロンティア)

配達あかずきん

  <文庫>
著 大崎梢


書店の謎は書店人が解かなきゃ

駅ビル内の書店・成風堂を舞台に、しっかり者の書店員・杏子と、勘の良い多絵のコンビが、さまざまな謎に取り組んでいく。

感想:
本屋さんが舞台の連作短編ミステリーです。主人公は書店員。本・本屋好きにはたまらない内容です。読んでると、ざわざわとしてるんだけど静かな、自分いきつけの本屋が目の前に広がります。落ち着きますね。
もっとも、私のいく本屋は、こんなに店員さん丁寧じゃないですけど…。

ミステリーとしての謎もなかなかのもの。ちょっともったいぶりすぎでしょ〜と思いながらも、謎が解かれると気持ちもすっきりします。特に「パンダは囁く」はのどに詰まってた異物が取れたような爽快感でした。

事件には毒が潜んでたりするけど、基本平和な雰囲気ですので、ミステリーが苦手な人も大丈夫かと。血とか出てきません。
続編が出てるそうなので、早速読んでみたいと思います。
★★★★



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儚い羊たちの祝宴  

儚い羊たちの祝宴

著 米澤穂信


あらゆる予想は、最後の最後で覆される−−。

ラスト一行の衝撃にこだわり抜いた、暗黒連作ミステリ。

感想:
収録作すべてがラスト一行で落ちるミステリ、だそうで。いいですね、面白いです惹かれます。
そうとは知らずに読んでいたので、私は毎回「あらま!」と驚かされました。趣旨を知って読んでたら、もう少し身構えていたかも。無知に感謝。

まず雰囲気が好きです。アンティークな印象。雇うものと雇われるものの距離感とか、登場人物らの折り目正しさとか、時代がかっていてそれだけで魅力的でした。
そして、黒い。暗いんじゃなくて、黒いんです。空気、真っ黒。なのに重くはない。不思議な読み心地です。
で、ラスト一行。気持ちよく、スパーンとオチをつけてくれます。良くも悪くも読み切れますね。

私は「北の館の罪人」と「山荘秘聞」が気に入りました。二つともオチが秀逸。特に「山荘秘聞」は伏線がナイスでした。
★★★★



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薄妃の恋―僕僕先生  

薄妃の恋 僕僕先生

著 仁木英之


さあ、ボクについてくることだ。この世界、二人で旅するには十分広い
大人気作『僕僕先生』から二年、あの超キュートな美少女仙人が帰ってきた! 

感想:
僕僕先生第二段。細かいところは忘れちゃったけど、デビュー作の「僕僕先生」には大満足だったので、続編はうれしい限り♪
今回も、僕僕先生と弟子の王弁が中国を旅します。
僕僕がくりだす仙術は摩訶不思議で目を見張るし、王弁のうぶな恋心はキュートだし、中国の町並みは物珍しくて面白い。読むのが楽しくなります。
語彙も古めかしいというかなんだか雰囲気があって、でも小難しくもなくて、いい感じ。

でも、うーん、なんだか物足りない。前作の驚きやワクワクが、ない、ような。
なんだか小さくまとまっちゃった印象でした。奇妙奇天烈、スケールのでかさが「僕僕先生」の売りだったはずなのに。
ちょっと残念でした。
★★★



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走れ!ビスコ   .

走れ!ビスコ

著 中場利一

幻冬舎
2009/1 発行


泣いてばかりいても何も変わらない。夢も希望も絶望も、すべて自分次第。
ワタシは、仕事に恋に、まっしぐら。

感想:
アクが強い! これは好き嫌いわかれそう。

舞台は大阪。
毒っけが強すぎてそれが笑いになる? そのノリは吉本に通じるものがあるような。
これが大阪流のユニークなのかもしれません。

とにかく、きつい。
冒頭からきっつい。
面白おかしいけど、どきつい! つらい。

ストーリーは新米OLが仕事にもまれて成長していく、というありきたりなものなんですけどね。
どのキャラも濃ゆくて、ありきたりの枠におさまりません。

元気印主人公にひっぱられて、読んでみる?
★★★



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橋をめぐる―いつかのきみへ、いつかのぼくへ  

橋をめぐる

著 橋本紡


引き返そうか、進もうか。
人生は橋を渡ることに似ている。

水の都・深川を舞台に描く六つの物語

感想:
橋をからめた短編集でした。

橋本さんらしい、やわらかいタッチで描かれています。地味だけど繊細で、雰囲気がやさしいですね。とても読みやすく、なじみやすい短編ばかりでした。

ただ、茫漠としており芯が細い印象もあります。読み終わるとすぐに忘れちゃうようなお話ばかり。
もう少ししっかりした作りだとよかったかな。

この土地(深川)に縁のある方なら、それなりに面白く読めるのかもしれません。
★★★



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パスタマシーンの幽霊   .

パスタマシーンの幽霊

著 川上弘美

マガジンハウス
2010/4/22 発行


恋愛の多彩な貌を描いて、深々と心にしみる短篇集。
深刻な感情がユーモアに転換され、そのあとに<しん>とした淋しさが残る22篇

感想:
1篇、10ページ弱の短いお話をそろえた短篇集。

私はかなり好みです。
小さくてふわふわしてて、濃くて、ポップで、切なくて…。読めば読むほど自然体にさせてくれる短篇集でした。
どのお話もよい味があります。こちらを力ませないゆるい文章と、くさくない適度なストーリーが、どこまでも心地いい。絶妙。
たまたま精神的に疲れていたこともあって、とても癒されました。読書はストレスにいいそうだけど、特にこの本は効果てきめんかと。

1篇ずつ大切に読みました。
どの話も好きです。
が、あえていうなら「海石」と「輪ゴム」がより好きかな。どちらもよりたゆたう感が強いです。不思議。せつない。ゆーらゆら。

川上さんの短篇集、もう少し読んでみようかな。
★★★★★




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パラドックス13   .

パラドックス13

著 東野圭吾

毎日新聞社
2009/4/15 発行


13時13分からの13秒間、地球は“P?13現象”に襲われるという。何が起こるか、論理数学的に予測不可能。
その瞬間、目前に想像を絶する過酷な世界が出現した! 崩壊した東京で繰り広げられる究極の人間ドラマ。

感想:
パラドックス13現象が結局理解できなかった私ですが、面白く読めました。
こういう世紀末な描写は好きです。
自分がこの状況に置かれたらどうするだろうなんて考えるのが楽しい。
ちなみに私だったら、都市部には向かわず、田舎に行きますね。で、自給自足。けど思った。農業に必要な土中の微生物や昆虫はいるのかな?あれも一応生き物なわけだし…。それがいないと生きていけませんね。

さて。
展開自体はうまいと思いました。魅せられる。いろんな意味で釘付けにさせられました。
終盤、どんどんページ数がなくなっていって、なのにどうなるのか予想がつかなくて…。小説でこんなに焦燥感を覚えたのは久しぶりです。

難を言うと、登場人物らが気持ち悪い。兄も弟も極端な性格で共感できないし、ほかのキャラもおざなりな設定だと感じました。
せっかくのヒューマンドラマなわけだから、そこは力をいれてほしかったような。

うーん。映画になりそう。
★★★★



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薔薇を拒む   .

薔薇を拒む

著 近藤史恵

講談社
2010/5/26 発行


美しい少女との目眩く日々。
歪んだ愛の代償は?

気鋭の作家・近藤史恵が描く、禁断の長編ゴシック・ミステリー!

感想:
『禁断の長編ゴシック・ミステリー!』だなんていうから、濃厚で匂いたつほど美しい、雰囲気たっぷりな小説を期待してしまいました。
やはりそこは近藤さんですね。さっぱりとした文体でさくさくすすんでいきます。

舞台は湖畔のお屋敷。自然が美しく、そこに住む奥様もお嬢様も美しい。ついでに言うと主人公ら少年二人も美しい。が、平和は続かず……。というストーリー。

ミステリーとしてはだいぶ弱いです。
「ゴシック」というほどでもないし。(あえていうなら昼ドラ風)
ただ、さっぱりとした文章は癖がないので読みやすく、ずっと惹きつけられたまま読み終えられました。
さすがにストーリー配分は見事で、だらだらしたところもなく飽きません。

オチはともかく、楽しく読書できました。
★★★★



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犯罪小説家  

犯罪小説家

  <文庫
著 雫井脩介


新進作家の出世作『凍て鶴』に映画化の話が持ち上がった。
監督に抜擢された人気脚本家は『凍て鶴』に、かつて伝説的な自殺系サイトを運営していた木ノ瀬蓮美の影響が見られると、奇抜な持論を展開する…

感想:
思い込み激しく、飛躍もしててついていくのが大変なストーリーでした。けど、面白かった。

なんというか、雫井さん、上達されましたね。
文章がすらすら読めます。どこにもでっぱりがなくて、躓かない。ちょっと感動しました。すごいすごい!
ストーリーは野太く、多少荒れてるんだけどしっかりした力強さを感じさせます。
万年筆のときも思ったけど、雫井さんて伏線がでかい。伏してない。読者からみると真相ばればれで、「志村、後ろ後ろ!」てなもどかしさを感じさせられます。本作も同様だったわけですが、ラストに向けて混沌としてきて、読み終わった時は、だまされた感いっぱいでした。なんだろうこれ。あぁ、充実…。えーい、星五つだぁー。

作中の小説家が書いた「凍て鶴」も面白そうでした。話がどんどん「凍て鶴」から遠のいていくのが少し寂しかったです。有川さんみたく、「凍て鶴」も書籍化してくれたら読むなぁ。
★★★★★



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阪急電車

阪急電車

著 有川浩


恋の始まり、別れの兆し、そして途中下車……
関西のローカル線を舞台に繰り広げられる、片道わずか15分の胸キュン物語。

感想:
有川さんお得意の、スィートな連作短編でした。若々しさに溢れて、きゃぴきゃぴと甘酸っぱい。
けど、本作はかなり平らに均されてます。かなり甘さ控えめじゃありませんか!読者層広げようとしてるのかな。確かに、このタイトルだったら今まで有川さんの本を読んだことない人でも手にとるかも。

さて、中身ですが。
かわいらしい短編たちです。毒にもクスリにもならないというか、まぁ読みつぶすにはちょうどいい。さらりとしていて、読みやすいし、後味も悪くない。

今津線沿線にお住まいの人は、結構楽しく読めるかも。
かくいう私もかつて門戸厄神に住んでたことがありました。町並みなど全く触れられてなくて、ちょっと寂しかったですが……。
★★★



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