Φは壊れたね 著 森博嗣 おもちゃ箱のように過剰に装飾されたマンションの一室に芸大生の宙吊り死体が!現場は密室状態。死体発見の一部始終は、室内に仕掛けられたビデオで録画されていた…。 森ミステリィ、新シリーズいよいよ開幕。 「Φは壊れたね」とはすごいタイトルですねぇ。森氏らしい。 やはり森ミステリィといわれると、期待してしまいます。私は彼のデビュー作からのファンなので、毎回読むときはドキドキしちゃって。 だもんで、今回の作品はがっかり感のほうが強かったです。 失速気味なんですよね。登場人物やトリックも、そんなに魅力的じゃないし。 おもしろくないってことはないんだけど、おもしろい!ともいいがたい。いうなれば凡作? 森氏の文章は相変わらず冴えてて、読むのは楽しかったんですけどねぇ…。どうにも。 ★★★ |
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ファミリーポートレイト 著 桜庭一樹 ママの名前は、マコ。マコの娘は、コマコ。 うつくしく、若く、魂は七色に輝く、そしてどうしようもなく残酷、な母の“ちいさな神”として生まれた娘の5歳から34歳までを描く。 感想: 第一部は結構好きです。 ロードムービーのように登場する村や町は、物語めいていて美しく、それぞれの色とにおいを持っていて、そこで生活する母子二人の関係を鮮やかにうつします。童話のようにフォーカスをあてたような町たちは、過酷で残酷な面をさらすのに、とても魅力的なのです。 母子の様子は、なんというか、切なくて痛々しくて、うーん。けど、娘がまっすぐな塊なので、それほど読むのが苦痛ではありませんでした。 少しずつ年をかさねる二人がどうなるか、ワクワクしてたわけです。 そして第二部。私は、第二部は、長い長い蛇足なのではないか、と感じました。 第一部のあの、異常のさきにあった美しさがすっかり消え去って、普通の人の普通の話になっちゃったような。 最後のあの文言が言いたいから、第二部書いちゃったような。 第二部の俗っぽさにもひきましたし、なんというか、あまり好きではないです。ただ、ひたすら、長かった! 第一部の続きが読みたいです。 ★★★ |
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ファントム・ピークス 著 北林一光 おまえはいったいなんなんだ?なぜここにいる? 半年前に失踪した妻の頭蓋骨が見つかり、絶望する三井周平。数日後、沢で写真を撮っていた女性が行方不明になる。 それは恐怖の連鎖のきっかけにすぎなかった。 おどろきました。あまりに面白くて。 宮部みゆき氏も言っておられますが、ページをめくる指がとめられません。なにが起こっているのか?知りたくてどんどん物語に引き込まれます。大変力のある小説でした。 ストーリーが面白いだけでなく、それを引き立てるように、文章がしっかりしています。デビュー作だとは思えないほど、よどみがない。 テンポもよく、スムーズにストーリーが展開していき、もったいぶった書き方をしていないのも大変好感が持てます。ストレスなくすんなりと読めました。 こんなに夢中になって、興奮して、ハラハラして読書したのは久しぶり。 充実の読書タイムでした! ★★★★★ |
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ブーの国 著 明川哲也 あなたの胸のうちに、たましいのふるえるような愛のさけびはあるか。自分の居場所を探しつづける人たちのための壮大なファンタジー。 ブーの国は、1本の木の中に眠っていた。根に溜め込んだ物語はとてつもない量だった…。全4編を収録。 一本の木の中に眠っているブーの国。 どの世界でもそうなのですが、このブーの国でも虐げる者と虐げられる者がいます。その、虐げられる者達のお話。 はっきりいって陰鬱なストーリーです。人々に傷つけられたり、無視されたり…。死の匂いが濃くて、救われない気分になります。 一章ずつ主人公が変わるスタイルです。 そして、最後に全てが繋がります。それはもう見事に。 じんわり胸に残る作品になりました。人間の本質をついています。 ★★★★★ |
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風味絶佳 著 山田詠美 鳶職の男を隅から隅まで慈しみ、彼のためなら何でもする女、「料理は性欲以上に愛の証」とばかりに、清掃作業員の彼に食べさせる料理に心血を注ぐ元主婦など、お互いにしかわからない本能の愛の形を描いた珠玉の6篇を収録。 なるほど…。 きわめてプライベートな男女の営みを、エロス抜きで描いた短編集ってところですか。 ディープな愛情表現が見れて、勉強になります。 でも、私はあまり好きじゃない内容でした。 なんか、人ののろけ話聞いてるような気分になってしまうんですもん。もー二人、勝手にやってよって感じ。 表題作の風味絶佳はよかった。一番好き。6篇の中でもこれだけ光ってます。グランマ最高。 映画化もされましたね。予告編を見た限りでは、キャストはドンピシャ!内容はどうかな? ★★★ |
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その向こう側は、決して覗いてはいけない――。 子どもの頃、誰もが覗き込んだ異界への扉を、青春ミステリの旗手が鮮やかに描きだす! 感想: 最初の話、「踊り場の花子さん」で心をズキュンと射抜かれてしまいました。 なんてこった。おもしろすぎる。怖すぎる。 また辻村さんお得意の学園ものかぁと、安心して読み始めたのがいけなかった。予想外に怖くて、魅力的で、一篇あっというまに読み終えてしまいました。そして、次の話に行く前に、もう一度読み返し…。 どうしてこの話が表題にならなかったのか不思議でなりません。 一篇目があまりにすばらしすぎたせいで、他の作品はかなり色あせて感じました。 それなりに面白いんですけどね。特に「おとうさん、したいがあるよ」の不思議な空気感は好きです。 けど、やはり物足りない。あんなすごいもの読んじゃったんだもの。 すべてを読み終えてから、また「踊り場の花子さん」を読み返し。 やっぱり面白い。そして怖い! ★★★★ |
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ブラザー・サン シスター・ムーン 著 恩田陸 ねえ、覚えてる? 空から蛇が落ちてきたあの夏の日のことを―― 本と映画と音楽……それさえあれば幸せだった奇蹟のような時間。 感想: これでいいの?有名作家として、これで本当にいいの?出して大丈夫? と心配せずにはいられない、そんな一冊でした。 たらたらと思いついたことを垂れ流している、小説のような、雑記のような、とらえどころのない読み物です。 投げっぱなし。 「小説書くぜ!」という意気込みが感じられません。 起承転結も、オチも、ストーリーさえも、ほぼなくって。ただひたすら、あーだったんだ、こーだったんだ、こんな質問うざいんだー、こういうこと言われるけど、あれって負け犬の遠吠えだよねー、まぁ別にいいけど。私って成功者だしー。昔は自尊心でがちがちだったけど、今はもう脱皮?そういう人見ると、懐かしいなぁとかおもっちゃうわけー。 みたいな? 小説らしき文章にまぎれて、恩田さんの本音が垣間見れた。なーんて。そんなことないんでしょうけど。 でも、私にはそんな風に読めました。 え、青春小説? ★★ |
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プラスマイナスゼロ 著 若竹七海 なんか最近、アタシら死体に縁がねーか? はじまりは、落ちてきた一匹の蛇だった。 凸凹女子高生トリオが、海辺の町・葉崎を駆け抜ける!! 感想: 爽やかバージョンの若竹さんです。 軽くて、ユーモアてんこ盛り。わかりやすくって読みやすい。スルスル〜と数時間で読めてしまいました。 凸凹コンビという設定はありがちでも、掛け合いは軽快で楽しいです。 超個性的な三人なんだけど、胸焼けするようなくどさはありません。あくまでも、爽やか。気持ちいい。 のんきに読み進めてたら、スパーンと謎があかされたりして、驚かされます。 謎のレベルは、本の雰囲気そのままに、軽めです。けど私は結構好き。 さらりとしてて、終わり方がうまいんですよね。謎を気持ちよく消化できました。 にしても、葉崎市、いいなぁ。葉崎山高校、魅力的。 ★★★★ |
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フラミンゴの家 著 伊藤たかみ 町の下半身と揶揄される「さかえ通り」商店街で実家のスナック経営を手伝うバツイチ男。 元妻が入院したため、離婚後会っていなかった思春期の娘と一緒に暮らし始めることになり…… どこにでもありそうなお話。なんだけど、上手に描かれています。すごいなぁ、さすがだなぁ。 ありがちなテーマながら、登場人物らが魅力的で気持ちがいい。滑稽なんだけど、嫌味がなくて楽しい。さらさらと時間が流れていて、とても自然にストーリーに入り込めました。大阪弁もとってもナチュラルです。 終盤あたり、ちょっと中だるみしちゃうんだけど、それでもラストはきゅっと締める。 うん。いい。 なんとなく腑に落ちない、というか中途半端な気もしないでもないけどね。ま、いいや。 概ね、満足 ★★★★ |
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ブランケット・キャッツ 著 重松清 2泊3日、毛布付き 我が家にレンタル猫がやってきた。 いまを生きる孤独と救済を描いた、猫とひとの物語 重松節、炸裂。いい意味でも悪い意味でも、いつもとおんなじテイストな本でした。 今回のテーマは猫です。いろんな猫がいろんなおうちにレンタルされていくという、連作短編にうってつけな設定です。 いつものようにクサイ仕上がりで、恥ずかしいやらうっとうしいやら…。まぁそれはいいや。重松さんの良さってきっとそこなんだろうし。 ただ、私が残念だなぁと思ったのは、テーマでもある猫のこと。 重松さん、実際にはあまり猫のことご存知ないのかなぁ…。登場する猫ちゃんたち、リアリティーゼロなんです。 それに、猫に対する愛情が薄いというか。お話の小道具として使われてるだけって感じがします。ちょっと寂しい。 家族のこと、描きたいんでしょうけど、もうちょっと猫に愛をもってほしかった。猫好きとしては。 いつもの重松さんを楽しみたい人は、満足されることでしょう。 ★★★ |
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このことは誰も知らない。五月末日の木曜日、午後四時のことである。大阪が全停止した。 女子になりたい中学生・大輔と彼を守ってきた幼馴染の茶子。彼らが暮らす空堀商店街に、会計検査院の調査官3人の手が伸びる 感想: 京都、奈良に続き、ついに大阪が舞台です。 本著は、発売すぐに書店でも大きく取り扱われ、飛ぶように売れてるようですね。 驚いたのは、関西の情報誌、関西ウォーカーの誌面で、「あのプリンセス・トヨトミにでてきた場所はココ!」みたいなコーナーができていたこと。「”あの”プリンセス・トヨトミ」で通じるんだ〜と感心しました。 で、小説の中身ですが。 はっきりいってがっかりでした。 かたい。わりに、理屈が通らない。展開がご都合主義。ワクワクしない。 いつ面白くなるんだろう…と読みすすめましたが、結局その瞬間は訪れませんでした。 ただ、大阪在住者としましては、知ってる地名がでてくるとうれしかったりします。その地名の由来なんかにはワクワクしたりして。 それと、すでにある大阪の典型的イメージを多用しなかった点は評価できます。お笑い要素とかその食文化などなど。 まぁ、とにかくがっかりでした。 ★★ |
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ブレイクスルー・トライアル <文庫> 著 伊園旬 懸賞金1億円の<ブレイクスルー・トライアル>に参加することを決めた、門脇と丹羽。それは、技術の粋をつくした難攻不落の研究所に侵入し、制限時間24時間以内に、所定のものを持ち帰るというものだった。 難攻不落の研究所から、所定のブツを持ち帰ったら勝ち。 あらすじは単純明快。そして面白そう。興味を惹かれる内容です。 事実、刺激的で派手な展開が続き、それなりに楽しめました。頭脳戦あり、銃撃戦あり、格闘技あり、友情から複雑な生い立ちまでと、とってもバラエティー豊か。 とくに、ミッションインポッシブル的な、潜入シーンはワクワクしました。 ただ、新人さんだからしょうがないのかもしれませんが、細部に臭さが残ります。 今後、スマートな作品を生み出していってくれることに期待。 ★★★ |
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不連続の世界 著 恩田陸 音楽ディレクター塚崎多聞の妻ジャンヌが突然、里帰りし、そのまま音信不通になって、そろそろ1年になろうとしていた…。 「月の裏側」の塚崎多聞、再登場。詩情と旅情あふれる、恩田陸版「怖い話」 感想: 恩田陸らしい連作短編でした。忍び寄るひたひたとした不気味さがなんともいえません。開いてみると「なんだそんなものか」程度のネタなんだけど、それまでの雰囲気作りがとにかくいい。まさに夏の夜に読みたい一冊でした。 主人公が透明で無個性なのも、ストーリーが引き立ってよかったです。 個人的には、「木守り男」での夢の話が気になりました。恩田氏が実際に見た夢だそうですが、ラストはどうなるのだろう。作家さんは見る夢も創造的なのだなぁと思いました。 ★★★ |
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