毎日・本三昧 オススメ小説エトセトラ


毎日・本三昧

怪談   .

怪談

著 柳広司

光文社
2011/12/20 発行


驚き、震えよ。

鮮やかな論理(ルビ・ロジック)と、その論理から溢れ滲み出す怪異。
小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの『怪談』を、柳広司が現代の物語として描き直した異色の短編集。

感想:
柳広司版『怪談』です。六編からなる短編集。
趣旨が面白くて、読む前から楽しみにしていました。「雪女」や「耳なし芳一」など、有名な話が使われています。耳なし芳一なんて、子どものころ震え上がったっけ。

それなりに面白かったです。まとまりよく、読みやすく、どの話も無難な仕上がりになっていました。
ただ、どれもちんまりしていて、期待の枠を超えるような出来ではありません。八雲の「怪談」が元になっているといわれると、なるほど興味深いですが、ただの短編としてみると魅力は低いです。
特におどろおどろしさを出そうという演出が臭くって、あざとさが鼻につきました。本の最後のほうでは、「なんだか色物だなぁ」という感想に変わってきて、全部がネタのように見える始末。

そつのない一冊ではありましたが、それだけがとりえです。
★★★


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KAGEROU   .

KAGEROU

著 齋藤智裕

ポプラ社
2010/12/15 発行


第5回ポプラ社小説大賞受賞作。
「人間の命とは何か?人間の価値とは何か?」という深遠なテーマに、ダイナミックな物語構成で鋭く切り込む。
小説のあらたな領域に挑む意欲作!

感想:
友人に借りて読みました。

噂に違わぬ出来でした。「リアル鬼ごっこ」以来のクオリティーです。
とはいえさすがに、リアル〜超えはしませんでした。編集さんの手直しのおかげでしょうか。ぎりぎり体制は整えられています。

自殺志願者のお話。
だけど、暗さはそれほどありません。ギャグが寒々しく響き、独特の雰囲気がただよいます。ジャンルはSF??
文章が全てを台無しにしていますが、伊坂さんあたりが書いたら面白いかも……?と思える程度のストーリーでした。

ただ、やはりこの文章力は致命的です。
ご本人、普段本読まないんでしょうね…。どうして小説家になるなんて言い出されたんでしょう。これからどうするんだろう。小説家としてやってけるのかな。

残念なのは本の値段。
これで1400円とは、悪意を感じます。




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家族トランプ   .

家族トランプ

著 明野照葉

実業之日本社
2010/4/25 発行


風見窓子。33歳。一般職の正社員として勤務する会社に不満はない。友人以上恋人未満の相手はいるけれど、べつに結婚したいと思っていない。
しかし同居する両親から「干支三回りが限度」と宣告されてしまう…。

感想:
結婚適齢期のぼんやり女性が、現状を打開しなきゃなぁとぼんやりしているお話。

とにかくこの主人公、文句が多いわ、人のせいだわで、しょーもない女性の代表みたいな性格。
結局ストーリーも、誰かにひっぱられてハッピーエンドにこじつけようという、主体性のなさ全開です。

致命的なのは、この主人公に魅力が感じられないところ。共感も出来なければ、不憫とも応援しようとも思えない。
だからといって周りの人に魅力があるかというとそうでもなくて…。

全体的に展開もぼんやりしていて、無駄なセリフや描写が多いのに場の雰囲気は伝わりにくいという、よろしくない状況でした。
発想もなんだか古臭いですね。
★★



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神様 2011   .

神様2011

著 川上弘美

講談社
2011/9/20 発行


「あのこと」以降を描く川上弘美の問題作!くまにさそわれて散歩に出る──
93年発表のデビュー作を福島原発事故を受け改編。「いま」を生きる意味を問い、「群像」発表時から大きな反響を呼んだ問題作!

感想:
内容をしらず、タイトルだけで予約したので、届いたときは驚きました。小さくて薄い本なんですね。
読み進めてもっとびっくり。

「神様」と「神様2011」という二つの掌編からなります。
「神様」のほうは川上氏のデビュー作だそうで。デビュー当時からすごい人だったんだなぁと改めて感銘を受けるとともに、色あせないすごみをまざまざと見せつけられます。

一気読みがオススメ。「神様」と「神様2011」の違いが浮き彫りになって、しんと静かな心になりました。
くまは相変わらず親切だけど、だからこそ、いろんなことが胸にぐっと迫ります。

よい企画の本だと思いました。
露骨なメッセージ性も感じさせず、嫌味のないつくりなので、万人に受け入れられることでしょう。
★★★★



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神様のすること   .

神様のすること

著 平安寿子

幻冬舎
2010/1/25 発行


物語を書くことにしか情熱が持てない安寿子が、40歳間近で願ったことを、神様は100パーセント聞いてくれた。願いが叶うまでの、長い長い物語。

感想:
エッセイだと思わずに、手に取りました。
テーマは親の介護。
著者が実際に体験した介護を軸に、子ども時代などなど振り返ります。

きっと介護期間と執筆期間が近いからでしょうね。かなり生々しい内容でした。
まだまだ親御さんへの思いが昇華できていない感じ。「あのときの態度を今でも軽蔑している」とか、「あのときああ言ってくれていれば」とか、青臭い類の愚痴がぽんぽんでてきます。
子ども時代の描写も一様に薄暗い。
なにを楽しみに読み進めばいいのやら。途中途方にくれてしまいました。

それと身近な人すぎるからでしょうか、お母さんのキャラ設定(?)がうまく伝わってきませんでした。完ぺき主義?おっちょこちょい?プライドが高い?愚痴っぽい?いろいろ言うけど、どれがどうなの??お父さんの人物像は簡単に結べただけに、もったいない。
それだけ冷静に描くのが難しい、大切な存在だったということなのでしょうね。

ラスト、急に「深夜に書いたラブレター」のような熱を帯びだして、ちょっとひきました。
★★★


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