毎日・本三昧 オススメ小説エトセトラ


毎日・本三昧

クリスタル・ヴァリーに降りそそぐ灰   .

クリスタル・ヴァリーに降りそそぐ灰

著 今村友紀

河出書房新社
2011/11/30 発行


ある日の授業中、突然<それ>はやって来た。遮断された高校、降り続く灰。彼女は意を決し、自宅へと歩き始めるのだが 変わりゆく世界の中の確かな希望を描く、第48回文藝賞受賞作!

感想:
突然瓦解した世界と、そこに取り残された女子高生のお話。

舞城王太郎をもっとひどくしたような独特の筆致が特徴。読むほどに慣れますが、最初はかなり目につらいです。特に読点がないのは最後までいただけませんでした。読点は日本語になくてはなりません。これは、絶対に。

前衛的な絵を描いたピカソですが、実はデッサン力は相当なものがあり、基礎がしっかりしているからこそ自由な絵を書くことができたのだといわれています。
文学にも同じことが言えて、適当に思いのたけを綴っただけでは駄文ですが、練られた支離滅裂には芸術があります。
本著はどちらだろう、と考えながら読んでいました。

読み終えた感想は「悪くなかった」です。
世紀末的な大地震に見舞われた今年、2011年。その年の瀬にふさわしい本だったかなと思います。
ガラスの散乱した道を行くように人生とは過酷なもので、一人きりだけど、一人ぼっちじゃない。たまに誰かのためになにかするし、誰かも自分のためになにかと戦ってくれることがある……。
3月に見た津波の映像を思い出しながら、そんなことを考えさせられました。

次はノーマルな文体で、ぜひお待ちしています。
★★★★



  Booksメインへ  TOPへ

 
 
  .

  Booksメインへ  TOPへ

 



Copyrightc2006毎日・本三昧Allrightsreserved