毎日・本三昧 オススメ小説エトセトラ


毎日・本三昧

マイマイ新子   .

マイマイ新子

著 高樹のぶ子

マガジンハウス
2004/9/30 発行


主人公は9歳の女の子・新子。ときは高度経済成長直前の昭和30年。テレビ電話も冷蔵庫もまだまだ普及していないけれど、どこまでも豊かだった時代に、多感な少女・新子がまきおこす冒険。大人から子供まで楽しめる、著者新境地の物語。

感想:
昭和30年代に生きる少女の青春物語。
何気なく図書館で手に取ったんですが、これが当たりでした。

とにかくいきいきしています。
主人公の新子はもちろん、彼女を取り巻く空気、環境、時代、人々、太陽の光すらキラキラ輝き、泥臭くはがゆいんだけど、素朴で質実、隅から隅まで美しい。
新子の少女らしいそっけなさとあいまって、さっぱりとした中に濃厚な「昭和30年」という時代がぎゅうぎゅうに詰まっていました。
面白かった!

文章もしっかりしており、安心して身を委ねられますね。
冒頭に出てくる「千年の〜」という言葉が、最後まで読むと意味を持ち、ぐっと胸に迫りました。

頑固で落ち着かないけれど、明るくはじけるような少女、新子をずっと追っていたくなるような、かけがえのない一冊です。
★★★★★

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魔王

魔王

著 伊坂幸太郎


人々の心をわし掴みにする若き政治家が、日本に選択を迫る時、長い考察の果てに、兄は答えを導き出し、弟の直観と呼応する…。
未来にあるのは青空なのか、荒野なのか。世の中の流れに立ち向かおうとした、兄弟の物語。

感想:
とっても不思議な小説でした。政治小説?超能力?兄弟愛??
「魔王」は兄の目線で、「呼吸」は弟の恋人の目線で話がすすみます。

独特の暗さを持つお話です。
恥ずかしなが、ファシズムやムッソリーニの名前は知ってるけど…レベルの私には、兄の心境がいまいち、「?」という感じでした。というか、兄の思考がクールというかネガティブというか内向きというか。
ユーモラスな言葉運びでクスリとなる部分もあるのですが、愉快にはならない。暗い、です。

一転「呼吸」の方は女性目線なだけあって、雰囲気ががらりと変わります。最近読んだ西加奈子さんのような文章。ふわふわとしたやわらかさを感じます。
ですが、やっぱり暗い。ひたひたと忍び寄ってくる暗さがあります。

「魔王」では、直接的に危機感を覚えているのに対して、「呼吸」では危機感がなりを潜め、漠然としたものなっています。それでもなんか怖い。その対比が面白いなぁと思いました。
★★★



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マザコン

マザコン

著 角田光代


母と娘、母と息子、父と娘、夫と妻、恋人同士―それぞれの関係の微妙な変化の中で浮かび上がる母親の存在。
淡くもあり、濃密でもある人とのかかわりを切なく描く8編を収録した作品集

感想:
母親の存在を強く意識した短編集です。
母にネガティブ寄りの歪んだ感情を抱いてる人々が、ねちゃねちゃと事あるごとにマザーコンプレックスを発揮します。地味で暗い話が多く、気が滅入りました。

起承転結がなく、作中のネガティブな気が読み終わった後も付きまとってくるようです。
すごい、と思う反面、この手の短編集は苦手です。
★★★



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街の灯

街の灯

  <文庫>
著 北村薫


昭和七年“時代”という馬が駆け過ぎる

士族出身の上流家庭・花村家にやってきた若い女性運転手。令嬢の“わたし”は彼女をひそかに“ベッキーさん”と呼ぶ。そして不思議な事件が…。

感想:
昭和初期の上流階級を舞台にした、プチミステリー連作短編です。
どちらかというと平和で罪のない謎に令嬢が挑みます。ほのぼのと、そして気品あるやりとりが新鮮。
血なまぐささや、人間関係のいざこざなどがでてこないので、安心して読みすすめられました。

ただ、ちょっと刺激がなさすぎて、退屈っちゃー退屈です。陰の立役者、ベッキーさんも印象が薄いですし、全体的に締まりがないように思います。
もうちょっとぴりっとした刺激もほしいかな。

もうすぐシリーズ二作目が出るそうです。
★★★



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窓の魚

窓の魚

著 西加奈子


誰かといるのに、ひとりぼっち。誰も、本当のあたしを知らない-。
ある日、2組のカップルが温泉へ向う。でも、裸になっても笑いあっていても、決して交わらない想い。
大人になりきれない恋人たちの一夜を美しく残酷に描く。

感想:
西さんはイメチェンを図りたいのでしょうか。「こうふくシリーズ」もそうだし、本作もそうだけど、いままでの西さんとは一味も二味も違います。
私はどちらかというと、昔の西さんが好き。日本語のセンスを最大限に発揮して、ほんわりとあったかい作風が好きでした。

今回の小説は、なにかに飢えていて苛立ちを抱えた大人が、不穏な一夜を過ごすお話です。
それぞれが孤独で、鬱々ゆらゆら絡み合います。じめっとした空気感が気持ち悪く、ページを捲る指が止められませんでした。

相変わらず言葉の使い方が上手ではっとさせられますが、やはり陰鬱なストーリーでは栄えないなとも思いました。
マンネリでも何でもいいから、あの頃の作風に戻ってもらいたいなぁ……
★★★



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真夏の方程式   .

真夏の方程式

著 東野圭吾

文藝春秋
2011/6/6 発行


夏休みを伯母一家が経営する旅館で過ごすことになった少年・恭平。仕事で訪れた湯川も、その宿に滞在することを決めた。翌朝、もう一人の宿泊客が変死体で見つかった。彼はなぜ、この美しい海を誇る町にやって来たのか…。湯川が気づいてしまった真相とは―。

感想:
美しい海岸に面する宿が舞台のミステリー。ガリレオ先生こと湯川が事件に巻き込まれます。

ミステリーとしては王道を行きますね。ストーリーがすすむほどに謎が増え、終盤で一気に解決をみます。
が、全体的に不出来。
なんだかギャグみたいなんですよね。全然シリアスなんだけど、もはやギャグっていう。
湯川のキャラも、宿の親子も、その友人も、湯川が行なう実験も、二転三転するストーリーも、被害者が殺された動悸も、登場人物らのもったいぶりかたも、なにもかも。
特に真相は、ウケ狙ってるでしょ?と思わず突っ込んでしまいたくなります。
深刻ぶってるのが余計にイタイ。

元凶は原稿枚数の多さだと思われます。
内容に反し、長い。冗長。だらだらして、無駄な会話や描写が多いんですよね。この内容なら300ページでも十分でした。

人気シリーズなのだから、応援したいです。
★★★

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まほろ駅前多田便利軒

まほろ駅前多田便利軒

  〈文庫
著 三浦しをん


東京のはずれに位置する“まほろ市”。この街の駅前でひっそり営まれる便利屋稼業。今日の依頼人は何をもちこんでくるのか。痛快無比。開巷有益。やがて切ない便利屋物語。

感想:
軽快で読むのが楽しい小説でした。
登場人物がそろいもそろって、いい味出してます。そして、その味を引き出す絶妙なストーりー展開。小難しいこと言いっこなし、でも決して軽くはない、そんな連作短編です。

どっちかっていうと若い子にうけそうだなぁ。読みやすいし、キャラが若い子向けって感じがします。
連続ドラマにありそう。いつかドラマ化するかも?してもおかしくない。少女マンガ化っていうのもありかも。

第135回直木賞、ダブル受賞の「風に舞いあがるビニールシート」も良いです。
★★★★



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まほろ駅前番外地   .

まほろ駅前番外地

著 三浦しをん

文藝春秋
2009/10/15 発行


「まほろ」の愉快な奴らが帰ってきた。

多田・行天の物語をはじめ、星、曽根田のばあちゃん、由良、岡老人の細君が主人公となるスピンアウトストーリー全7編を収録。

感想:
まさか「まほろ〜」の続編が出るとは思ってませんでした。
ワクワクしながら読ませていただきましたよ。

連作短編です。
ちょこっとヤクザな男が二人、やさぐれつつも便利屋業に勤しみます。
軽快でコミカルな展開は前作どおり。明るく楽しく、ぴりっと切なく。一遍一遍、きちんとできあがっています。

ううむ。
が、私はちょこっと物足りないな…。なんでだろう。
悪くもないが、良くない、というのが正直な感想です。
唯一いいなと思ったのは「岡婦人は観察する」でしょうか。老夫婦と便利屋二人が無理なく混ざり合ってて良い感じでした。

更に続編とかでちゃったりするのかしら…??
★★★


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ママの狙撃銃

ママの狙撃銃

  <文庫>
著 荻原浩


世界の平和より、今夜のおかず

福田曜子はふたりの子をもつ主婦。夫の孝平は中堅企業のサラリーマン。
ふたりは、ごくふつうの恋をし、ごくふつうの結婚をしました。ただひとつ違っていたのは…。

感想:
タイトルどおりの話なのであります。
平凡だけど、良き妻であり主婦でありママである曜子さんは、実は良き狙撃手で暗殺者でもあるのだ。
設定自体、目新しいものではないけれど、なかなかおもしろかったです。

曜子さんは少女時代の10年間をアメリカのオクラホマで祖父と暮らしていました。広大な自然の中、包み込むように優しい祖父との生活は、なにげない事すら色鮮やかでキラキラとしています。読んでて癒されます。
にもかかわらず、曜子さんと祖父の共通の関心事は、銃を撃つこととか、武器を作ることなんですよね。とってもリアルできな臭い。

でも、そのおかげで、曜子さんは戦う力を得ることができた。いじめられても、泣くだけで終わる人間にならずにすんだわけだ。
戦うこと、自衛するということの大切さを感じました。こういう事を教えてくれる大人がいたら、軟弱な子どもが減るのではないかな?

銃のマニアックぶりはすごいです。ミッションの綿密さも。曜子さんの良き家庭人っぷりもお見事。
テンポのよいストーりー展開に、まったく飽きずに読み終えられました。
★★★★



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真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-A 真夜中の五分前five minutes to tomorrow side-B

真夜中の五分前

著 本多孝好


愛したのは誰?
信じられないのは自分?それとも君?果てしなく愛おしい幕切れへ、時計の針は、廻る。

感想:
だめ。私はダメでしたこの本。amazonの評価がいいので非常におどろいています。

お洒落で雰囲気重視なカフェのような一冊。洒落ているということにかなりのこだわりを見せ、反面内容は薄い…。いちいちリアリティーに乏しく、ツンとすましてる印象です。
私はなじめませんでしたが、こーゆー文章が好きな方もおられるんですねぇ。ふえ〜。

ストーリーにも特に心動かされませんでした。あえていうと、双子をなんだとおもっとるだ、くらいでしょうか。

にしても、これをAとBに分けたのはなぜ??トータルで2400円もかかるんですよ!良心的じゃない。あぁ、こんなところも偉そうなカフェを彷彿とさせるわ。
★★



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真綿荘の住人たち   .

真綿荘の住人たち

著 島本理生

文藝春秋
2010/2/10 発行


あなたが欲しい。それはいけないことですか?

レトロな下宿、真綿荘に集う人々の恋はどこかいびつで滑稽で切ない……。不器用な恋人達、不道徳な純愛など様々なかたちを描く
感想:
女ばかりの下宿に大学のため上京してきた男の子が住む…なんてエロゲでありそうなシチュエーションで始まる本著。テーマは、ちょこっといびつな恋、ってところでしょうか。

純愛あり、三角関係あり、同性愛あり…、住人それぞれの目線でそれぞれの恋愛が描かれていて、それぞれ個性的でおもしろかったです。
特に私は、鯨ちゃんの章が好き。かわいらしくてよいです。

若い彼らが恋に悩むわけですから、多少じめっとする部分はあるものの、全体的にさわやかで好感と共感がもてますよ。青春ですな〜。

が、やっぱり…。
最後の最後に来て、いつもの島本理生病が……。もうこうなったら病気といわせてもらいましょう。結局こうなっちゃうんだよなーこの人は!またその展開ですか。
なんてちょこっとうんざり。
が、読みきってみるとストーリーとしてきちんとノっているので、納得しました。例のこと、蛇足になってません。さすがだ…。やはりプロだね。

にしても島本さんは過去なにがあったんでしょうね。。
★★★★



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