毎日・本三昧 オススメ小説エトセトラ


毎日・本三昧


もうすぐ

もうすぐ

著 橋本紡


子どもなんて、すぐに出来ると思ってた。いつでも産めると思ってた。でも――。

人生で一番輝いているはずのカップルはみんな、誰にも言えない気持ちを抱えてその場にうずくまっていた――
私たち、本当にもうすぐ、幸せになれるの?

感想:
妊娠適齢期の私にはドンビシャなテーマでした。
前半のさまざまな例(記事)には心を揺さぶられ、居心地が悪いやら耳が痛いやら切ないやら。
登場人物らと同年代の女性なら、ここに出てくる話のひとつやふたつは身の回りで聞こえてくるのでは? 身近で共感を覚えます。

ただ、後半になるとどんどんストーリーが迷走していきます。
なにがいいたいのか?? いろんなことを取り上げすぎて、せっかくのテーマがうやむやになっているよう。もったいない。
中途半端。尻切れトンボ感も否めません。

せっかくここまで書いたんだから、最後までメッセージ性を保ってほしかったです。強い論調でもよかったような。急に及び腰?そんな印象です。

ほんとうにもったいない。
★★★



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猛スピードで母は

猛スピードで母は

 〈文庫
著 長嶋有


「私、結婚するかもしれないから」

現実に立ち向う母を子供の皮膚感覚で描いた芥川賞受賞作と、大胆でかっこいい父の愛人・洋子さんとの共同生活を爽やかに綴った文学界新人賞受賞作「サイドカーに犬」を収録。

感想:
さらりと軽いタッチで書かれているので、とても読みやすいです。
「サイドカーに犬」は父×愛人×娘、「猛スピードで母は」は母×息子。
ありふれた親子じゃない、なにか欠けていて不完全な、親子関係が描かれています。

「猛スピードで母は」のお母さんは、母子家庭という自分の状況を的確に把握し、育児や生活において、ある部分潔く諦めています。その、偽善もきれい事もない態度が、とても気持ちいい。
その息子も、子どもながらさっぱりと乾いた性格で淡々としているが、発想や考え方は全然子どもでかわいい。

印象的な作品ではないけれど、一度は読んでみたらいいと思います。
★★★



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妄想気分   .

妄想気分

著 小川洋子

集英社
2011/1/31 発行


日常の中にある異界への隙間……
すこしばかり耳を澄まし、目を凝らすと日常の中にある不思議世界への隙間が見えてくる。そこから異界を覗くとき、物語が生まれる。著者の学生時代から現在までのエッセイを収録。

感想:
思いがけずエッセイでした。

小川さんの文章は美しい。エッセイもしかり。
よく言うととらえどころのない、悪く言うと寄せ集めのような、そんなエッセイ集でした。それでもやっぱり文体は美しくて、ついつい丁寧に読みすすめてしまいます。

作家である小川さんだけでなく、妻である小川さん、母である小川さんも垣間見れます。
エッセイだというのにどこかファンタジカルになってしまうのは、小川さんの魔法なんでしょうね。

ますます小川さんが好きになる。不思議な魅力がつまった一冊でした。
★★★

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燃えつきるまで

燃えつきるまで

 〈文庫
著 唯川恵


彼を失うことは、自分を失うことだった…。

誰もが一度は経験する、絶望に近い失恋。31歳の怜子は、5年間付き合った耕一郎に突然別れを告げられる。そろそろ結婚を、と考えていた矢先のことだった。

感想:
言い得て妙なタイトル。まさに、燃えつきるまで。表紙も良いです。

一冊丸々、失恋でできています。
私も一度きつい大失恋をしてますので、当時の気持ちを思い出しました。

にしても、この主人公は悲惨すぎる。31歳で失恋ってだけでも十分ひどいのに、ダブルどころかトリプルパンチをうけてます。笑っちゃうくらいどん底。
そして、失意の中にいても妙にアクティブ。
うーん、共感したいのに、共感が、できない!すごすぎるんですもん。

壮絶な30女が燃えつきるまでを、ちょっと引いた目線で楽しむのが、正しい読み方かと。
★★★



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モダンタイムス 特別版 (Morning NOVELS)

モダンタイムス

著 伊坂幸太郎


検索から、監視が始まる。
漫画週刊誌「モーニング」で連載された伊坂作品最長1200枚。

感想:
半端なく重い。試しに量ってみると、917グラムでした。1キロ弱。そして開いてみると二段組。なんてこったい。

週刊(!)漫画誌掲載の長編小説です。言われてみるとなるほど、漫画っぽい。
文章はポップでライト。リズミカルで大変読みやすいです。
の、わりに、内容はハードかつショッキング。痛々しい流血場面も、何度も見せられてるうちに慣れてしまいました。なんというかハリウッド的ですね。派手で雄大です。

魔王」の続編にしては、コミカルすぎやしませんか?と思ったものの、私はこっちの方が楽しめました。
ジェットコースターのような怒涛の展開で、読み出すととまりません。言葉の面白さとか、発想の奇抜さが随所に見られ、いちいち楽しかったです。小さく気になる部分も、吹き飛ばされる感じ。まぁ、いいじゃん、面白いんだし、って。

ラストは…。
ゴールデンスランバー」があんな終わり方だっただけに、うーん。うーん。ねぇ?

読んでよかったです。充実の読書タイムでした。
小説を読む人がもっと増えればいいなぁ。
★★★★★



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モップガール

モップガール

著 加藤実秋


なんなのこの人たち!? なんなのこの会社!?

フリーターの桃子が就職した先は、事件・事故現場の後始末が専門のスペシャルな掃除会社だった

感想:
かっるーーい。
超ライトな雰囲気の小説でした。いいじゃん、細かいことは!さぁぐいぐい進もうぜ! って感じで、大雑把で大胆なストーリー展開を見せます。不自然なことは多々あれど、こういうものか、と思っちゃえばさほど気になりません。

テーマが面白いですね。事件・事故現場の清掃会社だなんて。新鮮。
一話完結の連作短編ミステリーですが、謎のほうはしょぼめ。つっこみどころ満載です。でもま、かっるーーい読み物ですから。寛容な気持ちで読めます。
★★★



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モナ・リザの背中   .

モナ・リザの背中

著 吉田篤弘

中央公論新社
2011/10/25 発行


五十歳を迎えた「先生」は、突然絵の中に迷い込んでしまう。絵の中の世界から描かれたものたちの声が立ちあがる、試みにみちた長編。

感想:
大学で美術関係の講義を持つ中年男性が絵の中に入り込んでしまう、ファンタジー色の濃い一冊。

偏屈な中年男とファンタジー、というのも異色なら、読み心地も不可思議でした。「試みにみちた」と謳い文句にあるけれど、まさにその通り。夢のように不条理な情景を、軽妙かつしっかりとした筆致で描きます。その丹念さ、しつこさには脱帽の一言。

文章を追うのが楽しくなる、そんな文章でした。
一文一文の的確さがインパクトとなって胸に残ります。

ただ、ストーリーは若干難あり。
「突拍子がないんだけど、実はきれいにまとまっている」という手法は、最初はいいけど、何度も続けられると、マンネリとしてきます。
ストーリーに重きを置く人には薦められないかなぁ。
★★★★
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モノレールねこ

モノレールねこ

  〈文庫
著 加納朋子


時をこえて届くあの頃からの贈りもの。儚いけれど、揺るぎない―「家族」という絆。

小学生の僕は、ねこの首輪に挟んだ手紙で「タカキ」と文通をする。ある日ねこが車に轢かれて死に、タカキとの交流は途絶えたが…。表題作ほか、「パズルの中の犬」「シンデレラのお城」など全8編を収録。

感想:
表題作を始め、全編すばらしいお話でした。
あったかくて優しくて、いちいちぐっときたり、ほろりときたり…。それぞれに味と深みがあって、するすると優しい世界に引き込まれていきます。読後感も最高で、ほっこりした気持ちになれました。

はずれのない短編集だと思います。文句の付け所がないんですもん。挿絵(!?)すらかわいい。
私は「パズルの中の犬」と「バルタン最期の日」が特に好きです。

血なまぐさい小説に疲れたら、手にとってみては…
★★★★★



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