毎日・本三昧

ネオカル日和   .

ネオカル日和

著 辻村深月

毎日新聞社
2011/11/25 発行


新鋭作家・辻村深月の興味の赴くままに、人気アニメから伝統芸能まで日本の新(ネオ)カルチャーの現場を歩く初のルポ&エッセイ集。各紙誌へのコラムも満載、ショートショート・短編小説を特別収録

感想:
うっかりエッセイを借りてしまいました。まぁいいや、辻村さん好きだし。

ルポエッセイと、掌編と、エッセイで成っているごちゃ混ぜな一冊。どの書き物もとても短くて4ページほど。さくさくブツブツと話題が転がります。
ネオカルなルポエッセイは豪華な取材先にもかかわらず、それぞれのページ数が少なくて贅沢な限り。これで採算取れるんだろうか…、と妙に感心してしまいました。

内容はどれも殊勝な感じ。気の抜けたような、遊びのない文章が続き、ちょっと面白みにかけるかも。
ただ、表紙のイラストはご本人の特徴を捉えてて、なんだか素敵です。
★★★


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ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ   . ネガティブハッピー・チェーンソーエッヂ 〈文庫
著 滝本竜彦


「雪崎絵理は戦う女の子だ。美少女戦士なのだ。」
彼女が夜な夜な戦うのは、チェーンソーを振り回す不死身の男。

目的を失った日々を”不死身のチェーンソー男”との戦いに消費してゆくセーラー服の美少女絵理と高校生山本の切ない青春。


感想:
セーラー服美少女戦士が、チェーンソーで襲ってくる敵と毎夜戦う、というびっくり仰天な設定。
主人公はひょんな事から知り合った美少女の助手として、陰ながら彼女の手助けをしていきます。
…なんて愉快な設定なんだ!美少女戦士は強くて美しく、敵は不死身で執拗。こーゆーのワクワクします。
戦闘シーンもかっこいい。

アクションなストーりーなのですが、そこは高校生。鬱々とした気持ちを抱えていたりして、地味に悩んでいたり。

ただ、所々、バイク事故を起こした友人の名前が出てくるのですが、彼とのエピソードがあまり紹介されてないので、主人公の気持ちについていけなかったです。
それと、中盤あたりで特殊な設定にもなれてしまい、飽きが来ました。

なにはともあれ、設定の発想はとても好きです。
戦え!セーラー服美少女戦士!!
★★★★



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ネクロポリス 上 ネクロポリス 下   . ネクロポリス  〈文庫
著 恩田陸


故人と再会できる聖地―アナザー・ヒル。
連続殺人、不可思議な風習、天変地異、そこに新たな事件が―めくるめく想像力でつづられる謎とファンタジーの結晶体。


感想:
おヒガンのお話。ファンタジーホラーミステリーってか。

日本とイギリスの文化が混ざり合ってて、面白い世界観です。
陸の孤島にて次々と起こる事件。テンポよく進展していくので、手がとまらない。結構な大作なのにさらっと読めてしまいました。
充満してる異世界な不思議空気がたまんないのです。

ラストが拍子抜けだったのには残念でしたが、それ以前で充分楽しませていただきました。
ネクロポリス、行ってみたいなぁ。
★★★★



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猫島ハウスの騒動   . 猫島ハウスの騒動
著 若竹七海


30人ほどの人間と100匹を超える猫が暮らす通称・猫島。
民宿・猫島ハウスの娘・響子は夏休みを迎え、家業の手伝いに精を出す日々。そんなある日、奇妙な事件が起こる。のどかな「猫の楽園」でいったい何が!?


感想:
愛猫家の楽園、猫島を舞台に物騒な事件が起きるお話です。
右も左も猫ネコねこ…。人間の登場人数より、猫の数のほうが多いんですよ。猫好きにはたまらない素敵な設定であります。
表紙もかわいい。

若竹七海といえば、「シニカルな毒」というイメージですが、本作はかなり爽やかです!びっくりしました。毒抜きでもちゃんと書けるんですね、この人。
ユーモアたっぷりで、テンポも良く、さくさく読めます。もちろんユーモアは正統派。ブラックユーモアは影を潜めてます。
ほのぼの、のんびりとした孤島の雰囲気そのままに、穏やかな気持ちで読みすすめられました。

ただ、ミステリーとしては弱いので、そこらへんを期待するとがっかりするかな。
本作の売りは、猫とほっこり、ってことでしょうか。

ところで、響子ちゃんと虎鉄君、いったいなにがあったんでしょうね…。気になる。
★★★
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猫と魚、あたしと恋   . 猫と魚、あたしと恋 〈文庫
著 柴田よしき


「猫は水が嫌いなのに、どうして魚が好きなんでしょう? 女の子は辛いこと、苦しいこと、めんどくさいことなんかみんな嫌いなはずなのに、なぜ、いつも恋を追い掛けているのでしょう?」(「あとがき」より)
 不倫、万引き、覗き、睡眠傷害……。日常を生きるために、恋をまっとうするために、普通に“壊れて”しまう“あたし”たちをストレートに描く九編。


感想:
おもしろい短編集に出会えると、本当に嬉しくなります。
この短編集もそう。読み終わったあとに満足感を感じるのは久しぶりです。

主人公は全て女性。いろいろなタイプの女性が、日常のフトした事をきっかけに変わっていきます。
テーマは不倫や犯罪、ストーカー、嫁姑問題など。日常のあちこちに潜んでいそうな、ありふれたテーマです。
それでもありきたりなストーリーにならないのは、ラストのオチが見事だからじゃないでしょうか。

「深海魚」は、突き抜けすぎてておかしいし、「どろぼう猫」のラストには感嘆させられました。
「誰かに似た人」の、二転三転する展開も楽しかったです。
その他、どれも充実したいい作品だと思いました。
★★★★★



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猫泥棒と木曜日のキッチン
猫泥棒と木曜日のキッチン

著 橋本紡


お母さんが家出した。あっさりとわたしたちを捨てた―。

残された高校2年生のみずきは、新しい家族とともに淡々と日常生活を送る。しかし、捨てられた猫をみつけたことにより、その日常が変わろうとしていた。捨てられた子どもたちと捨てられた猫たちの物語。

感想:
父親はいず、母親は家出。まだ高校生の主人公みずきは、種違いの小さな弟と二人生活を余儀なくされる…。と、設定はとても重いものですが、軽快な文章と、何事にも囚われないみずきの性格とで、重々しさは全く感じません。

育児放棄、幼児虐待、動物虐待など、悲惨なテーマを取り上げつつ、悲惨な展開にならないのはすごい。

しっかりとしていてさばけた娘と、子どものように感情的なもろい母親。その対比もおもしろいと思います。
★★★



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猫目堂
猫目堂

著 水名月けい


山奥の小さなバス停、その近くにあるレンガ造りの小さなお店「猫目堂」。
どこか懐かしい感じのする不思議なお店に迷い込む、さまざまな想いを持った人たち…。
やさしさと夢が溢れ出るファンタジー・ノベル。


感想:
お子様向け、なんでしょうか。にしてはルビ全くないんだけど。大人向けの読み物だとしたら、あまりに幼稚。
著者は本職の作家さんではないようなので、まぁこんなもんなのかなぁ。山奥でハーブコーディネーター(!)をなさってるようです。せっかくだから、ハーブやスローライフをテーマにしたものを書かれたらよかったのに…。

やさしさがたくさんつまったファンタジーです。
恥ずかしくなっちゃうような内容なのですが、それだけ純粋だということでしょうか。
小学生くらいのお子様が読むのには、良いと思います。
★★



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猫路地
猫路地

編 東雅夫


迷い込んだら抜けられない。猫の魔法は手ごわいから…。

菊地秀行・皆川博子・別役実・谷山浩子など、猫好き作家20人による、猫ファンタジー競作集。「猫火花」「猫眼鏡」「妙猫」ほかを収録。全編書き下ろし。


感想:
まさに猫路地を歩いているような感覚に陥る本です。ええ、不思議で怪しい、でも落ち着く、猫ばかりの路地。

10ページほどの短編が20話収録されています。一遍ずつ書き手が違うので、猫+ファンタジーという同テーマにもかかわらず、それぞれに味のある作品で、飽きさせません。
面白かったり、妖しかったり、ぞっとしたり、悲しかったり、耽美だったり、ほっこりしたり…。
ただ猫のかわいさにかまけてあぐらをかいているような作品は一作だってありません。不思議猫ワールドを堪能できます。

猫好きな私の贔屓目ぬきにしても、よくできた競作集だと思います。
猫の不思議な魅力にとりつかれてる人はもちろん、そうでない普通の人も楽しめる一冊です。
★★★★★




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猫を抱いて象と泳ぐ   . 猫を抱いて象と泳ぐ
著 小川洋子

文藝春秋
2009/1/10


触れ合うことも、語り合うことさえできないのに…
伝説のチェスプレーヤー、リトル・アリョーヒンの密やかな奇跡。

感想:
『博士の愛した数式』を彷彿とさせる、小川さんらしい優しい小説でした。
今度のテーマはチェス。
チェスってなに?状態の私でも、読みすすめるほどにその美しい世界に魅せられました。

とにかく言葉のセンスはぴかいちですね。
駒がまるで生きているようだし、なにもかもがとても魅力的に語られていきます。
気づけばどっぷりとチェスの宇宙に浸りこんでいました。

ラストもよい感じで、読後感最高。
ただ、まとまりは悪いのかな~なんて思ったり。
それと、どれもこれも魅力的なわりに、主人公は好きになれませんでした。
これは好みの問題かな。
★★★



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ねずみ石   . ねずみ石
著 大崎梢

光文社
2009/9/25 発行


祭りの夜には、ねずみ石をさがせ。かなう願いは、ひとつだけ。

中学一年生のサトには、四年前のお祭りの記憶がない。その夜、村ではひとつの惨殺事件が起こっていて…

感想:
中学生が活躍する青春ミステリーです。少年が主人公の割りに結構ハード。小さな村を舞台に、血なまぐささ漂います。

ストーリー設定はなかなか面白そうなのです。村、祭り、しきたり、そして小さな村社会。ミステリーが盛り上がる要素てんこもりですもの。
けど、なんだろう。ちょっと力いれすぎなのかな。作為的というか思わせぶりというか、不自然にあっちもこっちも匂わせすぎてて、逆に鼻白んでしまうのです。
面白くしようという意欲は伝わるのだけど…。
最後まで読んでも、いまいちすっきりしません。

ただ、すらすらと読みやすいです。
★★★




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