|
|
|
|
|
|
|
|
|
|
. |
オーダーメイド殺人クラブ
著 辻村深月
集英社
2011/5/30 発行 |
中学二年のふたりが計画する「悲劇」の行方
親の無理解、友人との関係に閉塞感を抱く「リア充」少女の小林アン。普通の中学生とは違う「特別な存在」となるために、同級生の「昆虫系」男子、徳川に自分が被害者となる殺人事件を依頼する。

感想:
まるまる中二病のお話し。じめじめと陰鬱な青春物語です。
息苦しいほどに中二でした。模倣的なほどに。
辻村さんの魅力って、言葉にできないような小さな心の変化すらきちんと文章にしてしまえることだと思うのですが、今回もその魅力はいかんなく発揮されていて、中二病の中二病たる心理をあますとこなく表現されています。これはすごい。
ただストーリー的には、尺が長め。中だるみしています。単調な中二病状態にも徐々に飽きだして、中盤は退屈でした。
展開の仕方も若干強引な部分があり、「なぜここでこんなことに!?」と釈然としなかったりもします。少々粗いですね。
ただ作品としてのまとまりはよく、特に終盤の見せ場が全体をぎゅっと引き締め、それまでのグレーな雰囲気を引き立てていました。
読後感もすっきりとしていて悪くないです。
やっぱり辻村さんは、すごい。
★★★★
|
|
|
Booksメインへ TOPへ
|
|

|
. |
オー!ファーザー
著 伊坂幸太郎
新潮社
2010/3/25 発行 |
すべての伏線がつながるこの快感! 伊坂エンタメの技の冴えを、とくとご覧あれ。
我が家は、六人家族で大変なんだ。えっ、そんなの珍しくないって? まあ聞いてよ、母一人、子一人なのはいいとして、父親が四人もいるんだよ。

感想:
父親が大活躍する青春小説。
本の謳い文句「すべて伏線でつながる快感」はとても微妙。
事が起こるまでが平坦で退屈で、伏線でもなけりゃ読んでられません。なのでこれらは伏線なんだろうなぁとバレバレです。
伊坂さんの文章は嫌いじゃなかったはずだけど、どうも最近、私にはハマらなくなりつつあります。当たり前のことを丁寧に言う。それにウケてた時期は過ぎてしまったよう。そうなると、もっとプラスなにか欲しい。
本作はストーリーも多少雑でしたね。
回収できずじまいの伏線も見受けられます。ちょっと気持ち悪い。
が、設定は面白かった。父親が4人。しかもそれぞれタイプが違い、個性的。淡々としたストーリーに華を持たせていました。よいキャラです。
逆に主人公の受動的に過ぎる性格にはむずむずさせられましたが。
★★★
|
|
|
Booksメインへ TOPへ
|
|

|
. |
オープン・セサミ
著 久保寺健彦
文藝春秋
2010/4/10 発行 |
20代、30代、40代、50代、60代、70代。
いいオトナたちが経験する、6つの”初めて”。そこには新たな可能性が待っている、かも。
人生の扉よ、「ひらけ、ゴマ!」

感想:
一遍一遍、さりげないけど味がある、短編集でした。
一遍目の「先生一年生」には、声を上げて笑ってしまいました。
「彼氏彼氏の事情」にはなぜか心躍らされました。
「ある日、森の中」は少しの毒がいいスパイスになっています。
ストーリーもいいし、さっぱりとした文章も好ましい。
読後感もよくて、読み終わってからもしばらく胸にとどまるような、そんなお話ばかりでした。
良著です。
★★★★
|
|
|
Booksメインへ TOPへ
|
|
 |
. |
オイアウエ漂流記
著 荻原浩
新潮社
2009/8/22 発行 |
ありえないメンバーでのサバイバルは、だけど、意外に明るかった――。
たまたま乗り合わせた飛行機が遭難し、南の島に流れ着いた十人と一匹。水なし、火なし、愛はアリ(?)
ちょっぴり苦くて温かい“オトナのための漂流記”。

感想:
漂流した無人島での共同生活を描きます。
まず、笑っていいのかよくわからない微妙なノリがつらかったです。
メンバーの面々はキャラが濃く、自分勝手。ジョークなんでしょうが、それにしたってブラックで、笑うというより腹立たしくてしょうがありませんでした。(頭では、これもストーリーを盛り上げる布石だとはわかっているのですが、それにしたって…!)
中盤以降は憤りなく読めましたが、食料の問題が一段落してしまうと、途端にストーリーが単調に。
キャラの描き方も徐々に雑になっていきます。
結局、人間ドラマを書きたかったのか、無人島でのサバイバル記を書きたかったのか…? なんだかどっちつかずでした。
無人島といえば、2008年に桐野夏生氏も出しましたね「 東京島」。流行ってるのかな。
★★★
|
|
|
Booksメインへ TOPへ
|
|
|
|
黄金の王 白銀の王
著 沢村凜
生まれた時から「敵を殺したい」という欲求を植えつけられていた2人の王。彼らは争いのない平和な世の中を作りたいという思いを理解し、陰で協力し合う道を選んだが…。

感想:
二つの部族の、若き頭領のお話。
骨太で雄雄しく、ほろりとせつないストーリーでした。
のめりこみましたね〜。純粋に、筋が面白い。
登場人物らも魅力的です。男も女も老いも若きも、それぞれの美しさをもっていて、キラキラしてます。何人もお気に入りキャラができてしまいました。
中でも頭領二人は群を抜いていますね。二人の立ち居振る舞い、喜怒哀楽に、こちらも簡単に心乱されてしまいます。
独自の世界観もよかった。倫理観、しびれます。
文章力も問題なし。
どこをとっても完璧な作品です。
久しぶりに終わって欲しくないなと思いながらページをめくりましたね。ラスト、あっさりしてて、もっと読んでいたかったです。
★★★★★
|
|
|
Booksメインへ TOPへ
|
|
屋上ミサイル
著 山下貴光
大統領がテロ組織に拉致監禁されるという大事件が発生していたものの―日本の高校生たちにとって、それは遠い国の出来事だった。
それよりも、もっと重要なことがある。例えば、校舎の屋上でスケッチをすることだとか。

感想:
伊坂幸太郎のすごさがひしひしと伝わる小説でした。そればかり考えてしまいました。
正直、私はなぜこの作品がこのミス大賞を受賞したのか理解できません。第二の伊坂さんとして若者ウケを狙って?無理でしょー。
ストーリーがどうこう言う以前に、文章がきついです。へたくそってわけじゃないんだけど、磨く前の原石って感じもない。頑張ってるのは伝わるけど、空回りしている感じ。
それに、ダサいことを堂々ということがかっこいい、っていう趣旨はわかるけど、多様しすぎて辟易とさせられました。そういうキャラは一人でいいんだって!
ストーリーはご都合主義的です。
新人賞の作品なんだから、好意的に見てあげたい。けど私は受け付けませんでした。ごめんなさい。
編集さんがついてアドバイスをうけれるようになったら、飛躍的に良くなるかもしれませんね。応援してます。
★★
|
|
|
Booksメインへ TOPへ
|
|
 |
. |
おさがしの本は
著 門井慶喜
光文社
2009/7/18 発行 |
簡単には、みつかりません。この迷宮は、深いのです。生まじめでカタブツの図書館員が、お手伝いいたします。
極上の探書ミステリー。

感想:
図書館が舞台、図書館員が主人公。本好きならば惹かれずにはいられないテーマの小説です。
特徴は文体でしょうか。かたい。そしてとても正しい。大仰でちょっともったいぶった、正確な日本語が使われています。一貫しているので気持ちがいいです。
ただ、文章に引きずられてるんでしょうか、人々の所作が大味で気になりました。かくかくしてるというか…ナチュラルじゃない。終始芝居くさく、共感できませんでした。
「探書ミステリー」という考え方は面白いと思います。
同じようなテーマで、他の作家さんにも書いてもらいたい。
★★★
|
|
|
Booksメインへ TOPへ
|
|
おそろし
著 宮部みゆき
何が白で、何が黒か。
娘の心を溶かす不思議な江戸の「百物語」。

感想:
誰かが言った
日本の作家には二通りある。宮部みゆきと、その他大勢だ。
いやはや、やはりすごいね、宮部先生は。
どこにも力みがなく、無駄もなく、ただ自然に物語が進んでいきます。淀みのない川のよう。
そしてその存在感といったら!文脈からにじみ出るオーラがやんごとないです。だからスルスル読めるのに、軽くない。ひとつひとつ、語彙までしっかり頭に収まります。
ストーリーもしっかりしていて飽きさせず、盛り上げ方もお上手。文句の付け所がありません。
長い小説で、しかも時代物なのに(苦手なんです)、あっという間に読み終えてしまいました。
巨匠の仕事はすごいな。まざまざと見せ付けられました。ぎゃふん。
★★★★★
|
|
|
Booksメインへ TOPへ
|
|
|
|
 |
. |
鬼の跫音
著 道尾秀介
角川グループパブリッシング
2009/1/31 発行 |
心の中に生まれた鬼が、私を追いかけてくる。
もう絶対に逃げ切れないところまで。

感想:
ミステリー要素もプラスされている、ホラー短編集です。
ネタそのものは小物です。
が、とにかく描き方が秀逸。雰囲気が抜群にいいです。センスがキラッキラしてますね。かもし出す不気味オーラにあっという間に飲み込まれてしまいました。面白い!
圧倒的恐怖ではなく、ひたすらに不気味な世界観。酔いしれました。
★★★★
|
|
|
Booksメインへ TOPへ
|
|
|
. |
おひるのたびにさようなら
著 安戸悠太
河出書房新社
2008/11/30 発行 |
昼休み、会社の外階段で行われる三人だけの遊び。真司の任務は近くの病院へ行き、無音のTVの昼ドラを観ては、先輩女子社員にストーリーを想像して報告すること。視覚と聴覚のずれに揺れる世界をせつなく描く、企みに満ちた傑作!

感想:
耳鼻科に通う会社員男性と、ドラマの中の世界と、女優の心中と、そういうのが入り乱れてなんとなく終わっていくストーリー。
ストーリーだけでいうとつまらないです。
無音の昼ドラを見てストーリーを想像する、という遊びがまずつまらないし、想像したドラマの内容がつまらない。ドラマそのものも実につまらない。
売りは構成というか、いろんな世界が交差する点なんでしょうね。
確かに読んでいるとなんだかわけわかんなくなってきます。でもスマートかといわれるとそんなこともなく、ただ素人くさく混沌としています。
中でもうんざりさせられたのが、だらだら感。特に山の家で服を脱ぐシーンが無駄すぎて、原稿量の水増しにしか感じられませんでした。
でも文章力は悪くないと思います。さすがに文藝賞を取っただけあり、光るものを感じさせます。いかにも文藝賞あたりが好みそうな文章。今後磨けば物になるのでは。著者、お若いし。
★★
|
|
|
Booksメインへ TOPへ
|
|
オフェーリアの物語
著 山田正紀
人形と心を通わせることができる少女の不思議に満ちた旅
現実と幻が重なり合うふたつの世界で生きる少女リアが見つめるのは、人形の宿った魂、言葉が生れ落ちる瞬間……。

感想:
初めて読みました 山田正紀さん。
とても幻想的な世界観に驚きました。和の美しさが存分に発揮されており、色彩鮮やか。
奈須きのこさんが一時フィーバーしましたけど、奈須さんファンはこの小説好きだろうなーって思いました。なんとなく。
さて、内容ですが。
……内容かぁ。うーん。
人形にまつわる事件を、主人公らが解決していくってのが、ストーリーの骨組みです。
でも、第一話こそきちんとしてますが、他はぐだぐだしてます。
ただ、情景は美しい。もうそれに尽きますね。
内容がもうちょっと濃くないと。
★★★
|
|
|
Booksメインへ TOPへ
|
|
オリガ・モリソヴナの反語法
著 米原万里
1960年代のチェコ、プラハ。小学生・弘世志摩が通うソビエト学校の舞踊教師オリガ・モリソヴナは、名物教師として知られていた。
大人になった志摩は少女時代からの謎を解くべく、1992年ソ連崩壊後のモスクワに発つ--

感想:
強権政治に翻弄された人々を追う物語。
ストーリー自体はフィクションだけど、あげられる時代背景はノンフィクションです。
ほとんど知識のない私でもやすやす理解できるほど丁寧な文章で書かれています。そして、ほとんど知識のない私だからこそ、その時代のあまりの暴挙っぷりに、驚き、悲しみ、怒り、そして人の強さに感嘆しました。
それぞれの体験談などはとても興味深く、夢中で読みました。そしてそれらを上手にフィクションでつないでいくのですが、かなり自然でうまいです。さすが〜
ただ、やはりフィクションってのはちょっと無理があったのかなぁとも思います。「 嘘つきアーニャの真赤な真実」がすばらしすぎたからそう思うのかもしれない。だっておんなじような作り方だしさ。つい比べてしまう。
でも、「 嘘つきアーニャ〜」にはなかった、掘り下げた時代背景が描かれてて、とても勉強になりました。もちろん、面白かったです。
★★★★
|
|
|
Booksメインへ TOPへ
|
|
|
|
オリンピックの身代金
著 奥田英朗
「五輪開催は国家の威信をかけた重大事である。万が一の不祥事も許されない。全員心して挑め」
昭和39年夏、オリンピックに沸きかえる首都東京。開催妨害を企む若きテロリストと警視庁刑事たちの熱き戦いが始まる

感想:
力作です。
ここまでよくぞ、と感嘆するほど、調べ、練り上げ、磨かれた一冊です。隙がない。みっちりと詰まっています。面白いとか面白くないとかいう次元ではないです。
ラストのシーンは白熱の一言で、涙が出ました。
いつの間にか、自分はどっぷりあの時代の日本にいて今まさに目の前で五輪が行われているような錯覚に陥りました。
とにかくすごい。奥田さんの本気がびしびし伝わってくるよう。。
硬い内容、二段組ということで、躊躇したけど、読んでよかった。この本は、名作です。
映画化するだろうなぁ。うまい監督さんが撮るなら、すごく面白くなると思う。映像栄えしそうだ。
★★★★★
|
|
|
Booksメインへ TOPへ
|
|
|
|
|
Booksメインへ TOPへ
|
|
|
| Copyrightc2006毎日・本三昧Allrightsreserved |
|