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おまえさん
著 宮部みゆき
講談社
2011/9/22 発行 |
売り出し中の瓶屋の主人、新兵衛が斬り殺された。
“ぼんくら”井筒平四郎は、将来を期待される信之輔と調べに乗り出す。その斬り口は、少し前にあがった身元不明の亡骸と同じだった。両者をつなぐ、隠され続けた二十年前の罪。さらなる亡骸…。
大人気“ぼんくら”シリーズ第三弾。あの愉快な仲間たちを存分に使い、前代未聞の構成で著者が挑む新境地。

感想:
ぼんくら、日暮しに続く第三弾。時代ミステリー小説です。
さすがに宮部さんが描くだけあり、親しみやすく、読みやすく、わかりやすい読み物でした。時代モノが苦手な人も、宮部さんの描く物だったらサラサラ読めると思います。どこをとっても達者。こなれています。
けどね、今度のはとても残念な小説でした。
水増しがひどすぎます。
原稿量を増やすためだけに文章が連なっておりました。どこが、ではなく、全て。全編にわたって、水増し行為が行なわれています。
意味のない会話文、意味のない描写、意味のない挿話、意味のない注釈。
もちろん達者な宮部さんが行なうのですから、水増し文もそれなりに読めます。
だけどそもそも気を入れて描く気がなかったのでしょう。無意味に場を延ばすが故に、キャラ設定がむしろ薄まってしまい、変にぶれていました。みな個性的で魅力のある面々だろうに、能面で色もありません。場面場面でキャラが変わってしまっているといっても過言ではないくらい。
冗漫なおかげで、ミステリーとしての肝も弱まっています。
さらさらと上っ面を流れるだけで、心をひっかかれることもありませんでした。ひたすらだらけているのに、けっして「丁寧な描写」でもありません。
十分一冊でおさまった内容の小説です。それをわざわざ上下巻にして3600円で売るということ。
こんなことをしているから、出版業界はオワコンだといわれるのでは。
ますます本を買う人は減るでしょうね。
★★★