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夜明けの街で
著 東野圭吾
角川書店
2007/7 発行 |
不倫する奴なんて馬鹿だと思っていた
渡部の働く会社に、派遣社員の秋葉がやって来た。
その後、距離は急速に縮まり、越えてはならない境界線を越えてしまう。しかし、秋葉はある事件と関わっていて……

感想:
なるほど。
さすが東野さん。よどみない文章で綺麗にまとまった一冊でした。読みやすくて、わかりやすい。無難な感じですね。
ただ、ぱっとしません。
テーマが「事件」なのか「不倫」なのか?ぼやけていて、筆がうろうろしている印象を受けました。どっちつかずで、どっちもぱっとしません。
なにが言いたいのかなーって思ってるうちに、つつがなく物語は終了。 うーん。
文章が上手なぶん、さっくりと読み終えてしまいます。登場人物も、ストーリーも、なにも心に残りませんでした。
★★★
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夜市
著 恒川光太郎
角川書店
2005/10/26 発行 |
何でも売っている不思議な市場「夜市」。
大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司から「夜市にいかないか」と誘われた。
裕司に連れられて出かけた岬の森では、妖怪たちがさまざまな品物を売る、この世ならぬ不思議な市場が開かれていた。

感想:
ホラーということで、ビビりながら読みました。私、怖いのすごい苦手なのです。
でも、全然おどろおどろしくなくって、ほっ。
幻想的で描写のひとつひとつが美しいです。ホラーというよりファンタジカルな感じ。
日本ホラー小説大賞を受賞した「夜市」は、時空の狭間に出現する夜の市でのお話。わけわかんない生き物が、ものすごい金銭感覚で、わけわかんないもんを売っています。
最初は「こんなとこあったら面白いだろうな」と思いながら読んでいたのですが、じわじわと薄ら寒い気分になってきます。あぁ、やっぱりホラーだ。
「風の古道」は、凡人には入れない古い道のお話。
こちらも不思議な世界観で、ぐぐぐっと引き込まれます。冒頭がものすごい好き。
どちらも恐怖心をあおるというよりも、雰囲気で盛り上げていくタイプ。
目の前にざーっと風景が広がるような文章で、美しさと不気味さに引きつけられます。
★★★★★
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著 角田光代
逃げて、逃げて、逃げのびたら、私はあなたの母になれるだろうか−−
理性をゆるがす愛があり、罪にもそそぐ光があった。家族という枠組みの意味を探る、著者初めての長篇サスペンス。

感想:
きちんとしたストーリーのある、骨太な一冊でした。
ある女が、不倫相手の赤ちゃんを誘拐。その逃亡生活を描いています。
ドキドキハラハラというより、せつなさが前面に押し出されていて、そこらへんは角田さんらしいですね。
愚か者だなぁと思える、人間臭いキャラが多く登場しました。主人公やその不倫相手と妻なんか特にそう。むかつくくらい。
こんなの読むと、不倫ってほんとやだなって思います。あ、不倫をやめさせたい友達なんかに読ませるといいかもね。
ただ、主人公の赤ちゃんへの愛情はとても真っ直ぐで愛情深く、ほほえましかったです。やはり子どもはいい。
2章のパートはちょっと蛇足かな?と私は思いました。もうちょっと短くまとめてもよかったかも。1章がショッキングな分、退屈感あり。
ラストは爽やかで好きですけど。
★★★
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著 東野圭吾
文藝春秋
2005/8/25 発行 |
これほど深い愛情に、これまで出会ったことがなかった。いやそもそも、この世に存在することさえ知らなかった。運命の数式。命がけの純愛が生んだ犯罪。
第134回直木賞受賞作品。

感想:
直木賞受賞した本作。けど、期待して読まないように…と自分に言い聞かせながら読み始めました。がっかりするの、いやですもんね。
実際読んでみて、鳥肌が立ちました。素晴らしかった!
容疑者の深い愛と、見事なトリックに完敗です。泣けました。
こんな根本的なところを覆されるとは…、著者の文才っぷりと、発想には頭が下がります。
純粋におもしろかったです。完全無欠のミステリー
★★★★★
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用もないのに
著 奥田英朗
文藝春秋
2009/5 発行 |
ニューヨーク、北京、そのへん。
ものぐさ作家がお出かけすれば、なぜかいつも珍道中

感想:
エッセイです。
野球好きものぐさおやじのゆるい体験レポートといった体。
奥田さんが書いた、というブランドがなかったら、読むのがきついかも。
基本的に、私は奥田さんの「斜めから馬鹿にして」という視点が苦手だしね…。
典型的な中年日本人、という印象が残りました。
アメリカに憧れてて、海外に行くと日本と比べてすぐに卑下して、野球でくだを巻く。
うーん。なんといいますか…魅力を感じられない…。どうしよう。
ただ、文章センスはさすがです。半分ひっちゃってる読者すらも飽きせない。ちゃんと最後まで読めましたもの。
もしかしたら同年代の方のほうが、ずっと面白く読めるのかも。
★★★
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著 松井今朝子
なぜ、吉原一の花魁葛城は、忽然と姿を消したのか?
遣手、幇間、女衒ーー人々の口から語られる廓の表と裏。やがて真実が明らかになっていく……。
吉原を鮮やかに浮かび上がらせた、時代小説のあらたな傑作!

感想:
吉原で起きた、花魁の珍事件を追ったお話です。
時代小説を苦手とする私でも難なく読めるほど、ユーザーフレンドリーな一冊でした。聞きなれない単語にはきちんと説明が入るし、風習なんかも噛んで含めるように丁寧に描かれています。しかも全編、語り口スタイル。とってもとっつきやすいですね。
ストーリー自体は特に目新しいものではありませんが、じわじわと謎に近づいていく展開は楽しかったです。
花魁の華やかさも見もの。
ただ、最後の方は文章に飽きてきてしまいました。
★★★
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著 浅倉卓弥
挫折した音楽家の青年と脳に障害を負ったピアニストの少女との宿命的な出会い。そして山奥の診療所で遭遇する奇蹟
ひとつの不思議なできごとが人々のもうひとつの顔を浮かび上がらす ....

感想:
脳障害をテーマにした、奇蹟物語です。「 このミステリーがすごい大賞」を受賞していますが、ミステリー要素は皆無。どちらかといえばファンタジカルかな。だのに選ばれたってことは、それだけずば抜けてたってことでしょうか。
デビュー作でこの出来は普通にすごいと思います。
丁寧で慎重な文章運びですよね。非現実的な展開ですが、おいていかれるようなことはありませんでした。
ストーリーもよく練られています。全体的にわざとらしい感じはしましたが(スムースに事が運びすぎ!?)、呑める範囲です。
私は、浅倉氏がこの次に出した時代小説「 君の名残を」の方が好きです。さらにこなれた浅倉氏を楽しめる作品ですよ。
★★★★
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著 角田光代
出産にはいくつものストーリーがあり、悩みと笑い、迷いと決定が詰まっているのだろう。
だめ妊婦、ばんざい!
天才ロックギタリストの誕生日に母親になる予定の「私」をめぐる、切ないマタニティ日記。

感想:
最後の最後まで、エッセイだと思ってました。だって、日記風なんですもの。とってもリアルなんですもの。確かに、ようできた話やなぁ、嘘みたいやなぁとは思ったけど、すべて「小説」だとはね。おみそれしました。
小説だと思って読み返してみると、確かに角田光代さんらしい小説です。
さらりとしてるけど、時に繊細で、たまに素敵なことが書いてあって、心の芯にスーっと届く感じ。
妊婦もそうでない人も、出産経験者もそうでない人も、女性だったら共感を持って読めるのではないでしょうか。
★★★
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著 法月綸太郎
「頼子が死んだ」。
17歳になったばかりのひとり娘を殺された父親の手記の最初の1行だ。手記は、父親の孤独な推理行と、遂に犯人をつきとめ相手を刺殺、自らも死を迎えるところで終わっている。
だが本当の物語はこの手記を名探偵・法月綸太郎が読んだ時に始まるのだ。

感想:
壮絶な話でした。
冒頭の手記、その後の展開、そして真相と、コロコロと移りゆく推理が面白い!これぞミステリー小説!読む醍醐味を味わえます。
「頼子のために」という題名が素敵で読み始めたのですが…、いやぁ、すごい。
とても悲しくて嫌な話です。やりきれないほど、愛に溢れた話でもあります。
忘れられない小説のひとつになりそうです。
★★★★★
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夜の果てまで
著 盛田隆二

感想:
なんとなく古めかしい雰囲気のする恋愛小説でした。一回り年上の主婦に惹かれる大学生ですって。いかにも前時代的。「逢引」なんて言葉が似合っちゃうお二人なんです。
ストーリーはきわめてオーソドックス。昼ドラあたりでやりそうな感じですね。
ミソは登場人物のキャラなのでしょうが…。主人公の大学生は青臭くてイラつくぐらいガキンチョ。お相手の主婦は美人で苦労人。その旦那は愚鈍。と、これまたオーソドックスなんですねぇ。見事に王道いってます。
なんなくスラスラ読めたけど、心に残ったかといわれると首をひねる。面白くなかったわけじゃないんだけどね。
私にとってはちょっと古典入った、フツーの恋愛小説でした。
★★★
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夜の光
著 坂木司
慰めなんかいらない。癒されなくていい。欲しいのは、星の距離感。
これは天文部に集うスパイたちが、最前線で繰り広げた戦闘の記録

感想:
仲良し高校生(!?)が日常の謎を解決する、連作短編ミステリーです。
精度が低いなぁというのが第一印象でした。
文章で魅せるのかっていうと、そうでもなくてもっさりしてるし、だからといってミステリー度も低め。どこに照準がおかれてるのかいまいちつかめません。全体的に、ぼんやりした仕上がりになっていました。
「戦場」「スパイ」という概念も、大仰なわりに共感を得にくいのでは。十分に生きていないように感じました。
キャラもありがちで、いまいち躍動感がありません。
と、ぶーぶー文句を言いましたが。
真ん中よりちょっと下。けど、台詞が多くて読みやすい。小さい謎がきちんと解決されて、すっきりと読み切れます。登場人物らと同年代だったら、それなりに楽しく読めるかもと思いました。
星を見る、という行為自体新鮮だったり。星が見たくなったなぁ。
★★★
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著 恩田陸
あの一夜に起きた出来事は、紛れもない奇蹟だった、とあたしは思う。
三年間わだかまっていた想いを清算すべく、あたしは一つの賭けを胸に秘め、当日を迎えた。
気ばかり焦り、何もできないままゴールは迫る――。

感想:
まる一日かけて80キロを歩く、という壮絶な学校行事を舞台にした、「血」のお話。
韓国ドラマにありそうな「血」の話なんだけど、そこは恩田陸。「ありがち」なんていわせません。
友情あり、恋愛あり。等身大の、まだまだ幼くて透明度の高い高校生達が、真摯に歩く姿は好感度大でした。
昼→日没→真夜中→夜明け→朝と、変化する空と、田舎の風景がいい感じ。プチロードムービー?読み応えあります。
よくこんなイベント参加するなぁと思って読んでいたけど、途中から彼らがちょっと羨ましくなってました。ビバ青春!
それにしても、24時間テレビで100キロマラソンをしているけど、普通に歩くだけでも80キロいけるのですね。なんかちょっと裏切られた気分だ。
★★★★
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著 井上荒野
8つの小さな旅のなかで、平穏だったはずの日常の皮膜が剥がれおちていく。
フェミニンなのに、骨太。繊細なディテイルと確かな心理描写が魅力の短篇集

感想:
うまい。感心してしまうくらい、上手な構成、展開、日本語です。
まず、起承転結が薄い、にも関わらず、一編一編読み終わるごとに、胸にすとんと落ちる感じがあります。
何気ない日常を描いてただそれだけ、では終わらせない。フィーリングで描くのではなく、最初からちゃんと構成されているんだなと感じました。
そして、日本語のセンスがいい。キラキラ光ります。
あとがきすらも、あんな短い文章にぎゅうぎゅうに凝縮された小さな世界がきちんと存在していて、簡単に私を魅了してしまいます。
地味だけど、実力のある一冊。
私は「終電は一時七分」が好き。ぼんやりとした内容ながら、ラストの「終電は一時七分よ」の一言がとても色鮮やかで、印象的です。
★★★★
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四とそれ以上の国
著 いしいしんじ
心の奥底に秘められた言葉、記憶、すべてを解き放つ、「それ以上」の物語。

感想:
四国が舞台の、ファンタジー(!?)短編です。
ひたすら読むのが大変でした。
集中して読もうとするんだけど、どんどん意識が文章から離れていって、内容が頭に入らない。読めば読むほど朦朧となります。読まれるのを拒否してるの?と思いたくなるほど、右へ左へふらふらと、意味は不明で、ぼうっとしていました。
とても不思議な読み心地ですね。
好き嫌い分かれそう。
けど、四国らしさが織り込まれていて、旅をした気分にさせてくれます。特に「峠」と「藍」はいい感じ。
”大歩危”だけ頑なにルビをふらない辺り、にくいです。
★★★
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著 荻原浩
新潮社
2006/9/28 発行 |
フツーなんかじゃ、この時代を生き抜けない。
ぼくは今日から、トクベツな子どもになることにした―
何をやっても、みんなと同じに出来ないワタルは、ある日死んだ父親に関する重大な秘密を発見する。その瞬間から、少年の孤独なサバイバルゲームは始まった。
感動青春大作。17歳の哀しみと温もりが、いま鮮やかに甦る。

感想:
突拍子もない発見をしてしまった少年の、孤独と成長の物語です。
途中まではぼんやりした妄想ストーりーで退屈だったのですが、彼が成長するにしたがって青春の色合いが強くなり、読むのが楽しくなりました。
小さな村での差別や、イジメ、暴力など暗い話題も多く盛り込まれていますが、スポーツに汗する姿や、恋愛、親子愛など、素敵な要素も豊富です。いろんなことに直面して成長していく少年の姿は、逞しくもありか弱くもあり…。
読み終わった時、どこか達成感に似た気持ちを覚えました。充実した読書タイムだったなぁ!
内容充分の、読み応えある一冊でした。
★★★★
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