毎日・本三昧 オススメ小説エトセトラ


毎日・本三昧


横道世之介   .

横道世之介

著 吉田修一

毎日新聞社
2009/9/5 発行


きっとどこかで会っている。

なんにもなかった。だけどなんだか楽しかった。懐かしい時間、愛しい人々。吉田修一が描く、風薫る80年代青春群像。

感想:
大学の一年間にスポットを当てた青春モノです。

良いです。
なんでもない平凡なストーリーなのに、とても良い味出しています。ワクワクする展開なんてひとつもないのに、詠み進める手が止まりません。気づけばしっぽり、世之介のペースに巻き込まれていました。

まず、自然体でのびのびぼーっとしてる主人公・世之介のキャラが良いです。とにかく害がないだけの男なのに、なんだか応援したくなる。
そしてさすがに文章がすばらしい。どうでもいいようなシーンにもきちんと手がはいってる感じ。飽きさせないのはさすが。

1年間に的を絞ったのも成功しています。サラサラと流れて行き過ぎない、ちょうどいい配分だったのでは。

80年代らしさはあまり感じられませんでしたが、青春モノとしての質は一級品です。
★★★★



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黄泉坂案内人   .

黄泉坂案内人

仁木英之

角川書店
2011/6/30 発行


タクシー運転手の速人は、入日村という村に迷い込む。村で会った少女・彩葉は、ここは現世とあの世の狭間に漂っているという。現世に戻れなくなった彼は、彩葉と共に迷える魂の「未練」を解く仕事を始めることに…。

感想:
日本を舞台にした妖怪物語。こちらとあちらを繋ぐタクシー運転手が迷える魂を導きます。和風ファンタジー。

僕僕先生シリーズは悪くない出来だっただけに、こちらには失望感が強いです。
設定は悪くないと思うんですよ。和風妖怪モノってそれだけで大体面白いし、入日村というちょうど境目の村を舞台にしたのも良かった。
なのに、面白くない。
登場人物に存在感がないし、主人公も紙のように奥行きがない。ストーリーも完全にご都合主義だし、なにより、文章が陳腐…。
最後のほうなんて、やっつけ仕事のようにすら感じました。

仁木さん。もう小説家としてはやっていかないつもりなんでしょうか???
★★


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夜の神話   .

夜の神話

著 たつみや章



非常事態発生! パパたちの原子炉が……

ド田舎に越してきた小六のマサミチは、同級生となじめずふてくされる日々。
寄り道したお宮で青年に呼びとめられる。その方はツクヨミの神様だった…。

感想:
原子力+神様+子ども のちょっと変わったテーマの児童書でした。

なんというかてんこ盛りです。幻想的だったり、超現実的だったり、もちろんファンタジックでもあり、多分に説教くさくもあります。盛りだくさん。
そして、とても大味です。

お子様にはこれくらいざっくりとインパクトのある話のほうが楽しめるかもしれませんね。
とにかくエンターテイメントしてます。

私はもうちょっと繊細な話が好きかな。でもそれなりに楽しめました。
★★★



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よろこびの歌   .

よろこびの歌

著 宮下奈都

実業之日本社
2009/10/25 発行


御木元玲は声楽を志していたが、受験に失敗。挫折感から同級生との交わりを拒み、コンプレックスからも抜け出せない…。

あきらめ、孤独、嫉妬…見えない未来に惑う少女たちの願いが重なりあったとき、希望の調べが高らかに奏でられる―

感想:
音楽をテーマにした青春連作短編集。
宮下奈都さんらしい一冊です。
傷つきやすくて、考えすぎて、繊細で、でもちゃんとあったかい答えが待っている安心感がある。ようするに青春まるだしな小説です。

安定していて読みやすいですね。
でもなんとなく、これまでの作品にあったキラキラした感じは薄らいでいるような…?
言葉のセンスとか、ストーリーの運び方とか、なんだかちょっとやぼったい。

この小説だからこそ!の部分が最後まで見出せませんでした。
無難な印象。
重松清さんとか好きな人だったらどストライクなのかもしれません。
★★★




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よろずのことに気をつけよ   .

よろずのことに気をつけよ

著 川瀬七緒

講談社
2011/8/8 発行


被害者は呪い殺されたのか!―謎が謎を呼ぶ、呪術ミステリーの快作。変死体のそばで見つかった「呪術符」の意味は?呪いと殺人の謎に文化人類学者が挑む!
第57回江戸川乱歩賞受賞作。

感想:
久々に江戸川乱歩賞の受賞作を読みました。
呪術をからめた殺人に、人類学者の先生(若い)が少女とともに挑みます。

展開なんかは古典的なミステリーです。殺人が発生し、それを博学な先生がコアな知識を武器に解いていきます。テーマとなるのが呪術で、そこが他の小説とは違う魅力なんでしょうね。
呪術の講釈は普通に面白かったです。ものめずらしいし、神秘的で刺激的。よく練られていると思いました。
ストーリーの破綻も少なく、大きなつまずきもなく、無難にまとめられていると思います。

ただ惜しむらくは、表現力描写力。文章を書く力はまだまだこれからといったところでした。登場人物に厚みを持たせ、豊かな表現が出来るようになれば、今後の活躍も広がりそうです。
頑張れ♪
★★★



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