アンサンブルのまとめ方
さあ、アンサンブルの季節が今年もやって来ました。特にトロンボーンの場合、セクションでアンサンブルをやっているかいないかでは、合奏の時のパワーが天と地ほどの差がついてきます。なぜなら、トロンボーンは、美しいハーモニーを奏でるために生まれてきた楽器といっても言い過ぎではないからです。
どんなトロンボーンアンサンブルの演奏でも、ハーモニーが美しく響いているのが最も大切な基本だということを忘れないで下さい。それでは、トロンボーンアンサンブルの練習のポイントに話を進めましょう。
一、自分の譜面を楽譜通りにきっちり吹く。
これは基本中の基本です。ただ集まって吹きっぱなしにするのではなく、一人になって自分の譜面をきちんと練習しましょう。そしてその中で、
◎ アンブシュアが安定し、息でしっかり支えられた素直な音と、比較的正しい音程で吹けているか。
◎ 正しいタンギング(特別速い必要はないが、つっかえたり、衝撃音を伴ったり、音がゆがんだりしない)をマスターしているか、をチェックしましょう。
二、メトロノームをたくさん利用する。
これも非常に大切なことです。初めから終わりまでする必要はありませんが、大切なところ、合いにくいところを全員でメトロノームを聞きながらやって下さい。これは効果バツグンです。三、スコアを人数分用意する。
誰が主役なのか、そして自分のパートは誰と一緒なのか、次は誰に受け渡すのか、等を知るために、アンサンブルをやっている最中に何度もスコアを見る習慣をつけるのです。その他にも音程、曲の構造など、いろいろなヒントがたくさんつまっています。四、ダイナミクスレンジ(強弱の差)を広げよう。
アンサンブルの方が、合奏でやっているよりも、ダイナミクスの幅がつけやすいはずです。フォルテ、ピアノ、クレッシェンド、ディミニエンドの差をつけましょう。五、本物の音を聞く。
自分のやっている曲がCDであったら、何度も何度も聞いて、自分の中にイメージをうえつけましょう。もし、同じ曲がなくても、他のCDで本物の音を聞いて下さい。そして音のバランス、ニュアンス、ハーモニーの美しさを、どんどん真似をして下さい。六、なるべく第三者に聞いてもらう。
音程はもちろん、全体のバランスなどは案外自分達では分かりにくいものです。先生や友だちに聞いてもらい、助言を受けましょう。もちろんテープに録音をして聞くのも常識ですね。
七、美しいハーモニーを追求する。
曲の中にはキメるべきハーモニーが随所に出てくるはずですから、そこを取り出して、何度も何度も練習して下さい。うなりを消すことが大切なポイントになります。全神経を集中して下さい。どんなにメロディーを歌っても、音程が合わなければ、聞いている人を説得できません。八、うまくなるには集中力と回数が勝負!
だらだらやってはいけません。ただ通すだけの練習をするのではなく難しいところ、大切なところを取り出して、時にはテンポをゆっくりにして集中してやりましょう。そうすると、目(アイコンタクト)やブレスの気配でアンサンブルができるようになります。時間は少しずつでも、練習回数を増やすようにしましょう。10分でもかまいません。回数が自信と実力につながります。九、最後に。
私はアンサンブルは、友情だと思います。人を思いやる気持ちがなければいけません。ですから、時にははっきりとものを言うことも必要ですし、自分の演奏にも責任を持たなければいけません。コンクールの結果ももちろん大切だとは思いますが、それ以上に大切なものをアンサンブルで見つけられるよう、皆さん頑張って下さい。