演奏家3分間スピーチ(中学生向け)

あなたの心をとらえるアンサンブルはコレ! より

小宇宙を味わうなら

きわめつき金管アンサンブル派

僕は金管アンサンブルが大好きだ。CDなど聞くことも好きだし、何よりも演奏することがたまらなく好きなんだ。みんなももちろんそうだろう!! 強引かな?

でも、考えてみると、好きなことに理由なんかいらないんだよな。「好きなものは好きなんだ!」と言ってしまうと、このコーナーはここで終わってしまうので、僕がどうして金管アンサンブルが好きなのか、ちょっとだけ紹介しようと思う。

金管アンサンブルの黒船 P.J.B.E.の来襲

 二十年程前の、あの日の演奏会は今でも忘れられないなあ......。僕が音楽を志して、はじめて感動で泣いたのが上野の文化会館でのフィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルの演奏会だったんだ。ものすごかったんだぞ---。十人のブラス・プレイヤーが、あの大きなホールを揺るがしたんだ。輝かしい音色、スーパー・テクニック、そしてまろやかに溶け合った音色だった。今でこそ世界中から いろんなアンサンブルの団体が来て(もちろん日本にも素晴らしいアンサンブルがあるし)にぎわっているけど、その当時の日本ブラス・プレイヤーにとっては大事件だったし、それ以来、日本の金管アンサンブルが盛んになっていくんだ。

あの時の感動で、僕は金管アンサンブルにのめり込んでいったわけだけど、今レコードやカセットを聞いてみても、新鮮な音楽と絶妙なバランスや音色に驚かされるんだ。

もし、聞いたことがない人がいたら、先輩や先生に頼んでどうにかして聞かせてもらうといいよ。絶対に聞いてもらいたいなあ。P.J.B.E.は、金管アンサンブルのTバイブルUみたいなもんだから.....。

だれもが主役というウレシイ舞台がアンサンブルだ

どんなアンサンブルにもあてはまることだけれど、ブラス・アンサンブルではラッパの1番だけが主役じゃないんだ。いつもバンドの中では浮かばれないラッパの2番や、トロンボーンの君だって主役なんだぞ。特にブラスアンサンブルの中でのチューバは、もう大活躍なんだ。もちろん例のブッブッブッブッ(これ、もちろんマーチの前打ちね)もあるけれど、メロディもいたるところに登場し、ハーモニーでは一人で土台も受け持つし......。

つまり、全員が音楽の設計者なんだ。だから一人ひとりが責任を持つことが必要になってくる。これが、また面白いところなんだよ。人数が少ないぶんだけ自分の役どころが見つけやすいってところが楽しいんだね。

楽器特有の歌い方を研究できて味わえる

もちろん、金管楽器は「ファンファーレ」や「コラール」などが得意だとは思うけれど、性質上、木管楽器や弦楽器に比べると音楽性を表現すること、つまりT歌うUということがとても難しいと思うんだ。じゃどうしたらT歌えるUようになるかというと、やっぱり実戦で腕をみがくしかないと思う。もちろんソロの曲を引っ張り出してきて勉強することもとても大切なことだけれどハーモニーの中で歌ったり相手との掛け合いなどで楽しみながら勉強するには、ブラス・アンサンブルが最適だろうね。特にブラスアンサンブルではカッコいいメロディ、そして甘いメロディが各パートにふんだんに出てくるわけだ。CDやプロの演奏を参考にして、トランペットらしい、トロンボーンらしい、などなど--その楽器らしい特有の歌い上げ方を研究してみると、とても面白いと思う。

目と目で通じ合うなんてこともできるんだ

自分の楽譜を上手に吹くことだけがブラス・アンサンブルの楽しさじゃないんだ。T目と目UTブレスなどの気配Uというふうにバンドの中では味わえない楽しさがあるんだ。もちろん耳、つまりT聞くUということが大前提になるけどね。練習をたくさんしていくうちに自分が吹くことに余裕が生れてくるとこのT目と目UやT気配Uでメンバーとコンタクトをとることができてそれが快感になってくるんだ。もう最高!! つまりTあ・うんの世界Uというわけだ。(辞書で調べてね)音のはじまりと終わりだけに相手とコンタクトを取り合うなんて情けないぞ。送信アンテナと受信アンテナを使って、常にコンタクトを取り合うのがブラス・アンサンブルの面白さなんだ。

チャレンジしてほしい曲がたくさんあるゾ

君たちは金管楽器ってとても歴史が古いって知ってるね。もともと狩りの角笛から発達したものなんだけど、中世の頃になって教会の中での賛美歌の伴奏としてさかんに使われだしたんだよ。そして、御存知十六世紀のガブリエリによって金管は花開いたんだ。やはり金管楽器の醍醐味を知るにはガブリエリに限るね。ハーモニーやバランス、そして息のスピードを合わせることがとても勉強になると思う。(難しそうだけれど中学生でもできないことはないよ)

以下、有名な作品を掲げてみるけれど、ぜひ一度はチャレンジしてみてね。

八声のソナタ「ピアノとフォルテ」、ソナタ13番、ソ、ソ、ラ、ソの旋律によるカンツォーナ、聞けおさなごたちよ、天使が羊飼いたちにいわれた、第十二施法のリチェルカーレ、第一施法による八声部のカンツォーナ第1番、八声のカンツォーナ、五声部のカンツォーナ第1番などなど......。

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