オーケストラのお仕事 2001年4月

4月1日(日)

なんだかあっという間に四月になってしまいました。

日もずいぶん長くなって来ましたね。まだ雪が降ったり冬のように寒い日もあったりしますが

桜もきれいに咲いて今が満開ですね。今日は本当に美しい桜を見かけました。

でも今年もゆっくりお花見をするヒマはなさそうです。

3月29.30.31日の演奏会は少しづつプログラムが違って3日間で6曲を演奏しました。

アルミンク氏はまだまだ若い指揮者ですが、すごく勉強もして来ていらしたし、ソリストの横山幸雄氏も花崎薫氏も素晴らしくて楽しかったです。

明日からはヤナーチェクのグラゴルミサとシューベルトの練習が始まります。

グラゴルミサは初めて弾く曲ですが金管がカッコいいですよ。ラッパのデイブが「いい曲だ」って言っていましたが実にトランペットが大活躍です。

2nd.には最後に非常に難しいところがあって(コンバスとチェロも同じパッセージらしいです。私達よりもっと大変!)

またまたこれからさらいます。(でもきっと他の楽器の影に隠れて聞こえないと思うんですが.....。)

4月6日(金)

桜が終わってしまいますね。毎年来年こそはお花見をしたい、と言いつつ、できないで何年経ったことでしょう。

本当に来年こそはゆっくりお花見をしたいです。

昨日、1回目のシューベルトとヤナーチェクのグラゴルミサの演奏会が終わりました。

今日もう一回同じプログラムの演奏会があります。

両方とも違う意味で難しい! いい曲なんですけどね。

今回の演奏会は札幌に行かれるので辞められた根津さんが手伝って下さっています。

彼女は札響でグラゴルミサを弾いたことがあるので力強い助っ人です。

明日は小堺一機さんのいらっしゃるポップスの演奏会の練習です。

小堺さんはタップも踊られるそうですし楽しい方なので楽しみにしています。

4月7日(土)

いや〜、楽しかったです。今日の練習。

小堺さんはエンターティナーですねぇ!

陰でどれだけ練習しているかと思うと頭が下がりますが、その場にいるとただただ可笑しくて、練習で笑い転げてしまいました。

練習の時にまで私達を笑わせようとしてくれるサービス精神が嬉しかったです。プロですね。

タップダンスも相当練習なさっているようでしたし、.....あんまり演奏会の前にネタを教えてしまってはいけないかな?

他にもいろいろ趣向があります。

笑いたいな、って思っている方は明日ぜひいらして下さいね。

でもクラシックの演奏会だと思わないで来て下さい...?

1回しか演奏会がないのが残念です。

4月9日(月) 暖かですね。

昨日は本当に本当に楽しい演奏会でした。

近日中に演奏会の模様をアップしますね。

でも演奏会というより小堺さんのショーでしたね。素晴らしかった! 

あんなに芸達者だとは思いませんでした。見えないところで努力されているんでしょうね。

ぜひぜひ いつかまたご一緒したいです。

さて、いよいよ明日からバレエのロメジュリの練習が始まります。

オーケストラも舞台に乗ります。衣装もつけるとか?

どんな感じになるのでしょうね。楽しみにしています。

4月11日(水)

バレエの練習が始まりました。

練習の前にロストロポービッチ氏がお話になったのですが、

モスクワ音楽院時代にプロコフィエフからロメオとジュリエットについていろいろ伺った(!)そうです。

演出の事や曲のこと、後で書き直したところの事などなど...。プロコフィエフは書き直した方のバージョンはお好きでなかったそうです。

  でもすごいですよね。直接プロコフィエフと話をしているなんて。

ロストロポービッチ氏のお話を伺っているとさりげなくすごい話がでてくるのでびっくりしてしまいます。

エリザベス女王と食事をした時に...、というお話もなさったこともあります。

今回も、プロコフィエフはこう言っていたから、というところがたくさんありました。

明日からはバンダも入って練習します。

バレリーナとの合わせはもうちょっと先のようです。

 

 

4月14日

11日にビオラの首席奏者の白尾偕子さんが亡くなられました。

新聞にも載っていたし本当なのでしょうがまだ信じられません。あのエネルギッシュな偕子さんが...。

今は具合が悪くても、充分養生して、秋には元気に復帰してくれると思っていたのに...。

彼女とは学校は違いましたが同学年で、大学3年の時に新日フィルでエキストラ同士として知り合いました。

彼女がついていたドイツ語の先生を紹介していただいたり、ドイツに行った時には一緒にご飯を食べたりしました。

帰って来て新日フィルの団員になったのでまたおつき合いが始まりました。もう二十数年間です。

偕子さんは溌溂として活き活きといつも前向きに生きていて、女性としてもすごく魅力的で、

皆さんもよくご存知と思いますが本当に素晴らしい演奏家でした。

彼女の抜けた穴はどうやって埋められるのか皆目見当もつきません。

本当に残念です。

辛いです。

 

4月18日

一昨日に偕子さんの葬儀がありました。

最後のお別れをしました。穏やかな本当に良いお顔をしていらっしゃいました。

それなのにまだどこかで悪夢を見ている気がしています。

夢だったらどんなにいいでしょう。

偕子さんに「昨日こんな夢見ちゃって。」って笑って話せたらどんなにいいでしょう......... 。

偕子さんとのお別れに何百人もの方がいらしていました。

ロストロポービッチ氏もいらっしゃって葬儀の最後にバッハを献奏なさいました。

ドン・キホーテで共演なさってからはお会いになるたびに「おお!サンチョ・パンサ!」と喜んでいらしていたのを思い出しました。

偕子さんがロストロ氏の音に乗って天上まで上がって行かれたのではないかと感じました。

ご主人様が、妻としても母としても素晴らしかったと御挨拶の中でおっしゃっていました。

あまりに才能がありすぎて その上魅力的なので神様が自分のそばに早く呼んでしまったのではないかと思ってしまいます。

日本人だけれど良い意味で日本人らしくなく、あれだけ立派な経歴の持ち主なのに偉ぶらない本当に魅力のある素晴らしい人でした。

4月18日(水)

東京でのプロコフィエフのロメオとジュリエットの公演3回が終わりました。

ジュリエットは可憐ではかなげな感じがするとても素敵な方でした。

舞台自体が3段階の高さになっていて、まん中の高さの舞台にオーケストラが乗っています。

オーケストラを分断して左右に通路をとってオーケストラの後方にも前方にもバレエの舞台があります。

オーケストラの奥の一番高い舞台は部屋の中の設定が多く、一番低いお客様に近い舞台が外でのシーンが多いそうです。

時々オーケストラの中の通路をバレリーナが駆け抜けます。

ロストロ氏はプロコフィエフの別荘に5年間も住んでいたそうです。

プロコフィエフはロストロ氏を大層可愛がっていた様子ですし、ロストロ氏はプロコフィエフを尊敬していらっしゃいます。

天才は天才を見つけられるものなんですね。

 

4月22日(日)

バレエの仕事が終わりました。

写真を撮っていたのですが、全部終わるまではと控えておりましたが公開いたします!

上の舞台とオーケストラの乗っているまん中の舞台。
オーケストラの舞台と一番下の舞台。
オーケストラの雰囲気
楽屋で記念撮影
いかがですか?

プロコフィエフとロストロ氏のエピソードがもう一つありました。

交響曲第7番はロストロ氏がボーイングをつけたそうです。

「だから変えるなよ!」

といたずらっぽくおっしゃった時には、すごいなぁと思いつつも大爆笑でした。

4月30日(月)

一昨々日と昨日の演奏会は白尾偕子さんが亡くなってから初めての自主公演でしたので、

演奏会の前、追悼にエルガーのセレナーデから2楽章を演奏させていただきました。

この曲は昨年の11月の定期演奏会で演奏いたしました。

ビオラの木村恵子さんから伺ったのですが、その時は偕子さんがトップでビオラセクション全員乗っていたそうです。

弾いているうちに偕子さんのお元気だった時の姿が浮かんできて.........、演奏するのが辛かったですが

偕子さんがいつも全身全霊で演奏をしていたのを見習って頑張っていこうと思いました。


明日は綾戸智絵さんの演奏会の練習です。

佐藤允彦さんもご一緒ということで楽しみにしています。

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