どうせやるならうんと楽しもう!
魅力いっぱいのトロンボーン四重奏
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トロンボーン四重奏の魅力は、やはりハーモニーの美しさにつきるでしょう。
もちろんトロンボーンのキャラクターを生かしたグリッサンドやレガート奏法などもありますが、
究極的な目標としてはハーモニーを美しくすることだと思います。
しかし、せっかくアンサンブルをやるのですから、楽しんでやりましょう。
そのためにも、練習のコツを知って楽しみながらなおかつセクションもうまくなる、という方法を探ってみましょう。
先ほども書きましたが、なんといってもトロンボーン四重奏の魅力はハーモニーの美しさにあると思います。
みなさんもきっと聞いた事があると思いますが、男性コーラスの荘重な響きを思い起こさせるコラール、
そして天から降ってくるような柔らかく甘いコラールと、
他のどんな楽器にも真似のできないようなコラールがトロンボーンにはできるのです。
また、比較的速い動きが不得意のように思われているトロンボーンが、
そのスライド・テクニックを駆使して速いパッセージを華麗に吹きこなした時などは、まさに目を見張るものがあります。
特に四人が一糸乱れずに演奏した時は、観客に対するアピール度はソロの比ではないでしょう。
ふだんトロンボーンという楽器は、合奏の中でメロディを吹く事が少ないうえに、いつも人に合わせることばかりやらされていますね。
(自分勝手に吹いている人も中にはいるでしょうが........。)でもそればかりやらされていては、つまらなくなってしまいます。
第一健康(?)によくありません。
これは何も、いつも目立てばよいと言っているのではありません。
トロンボーンという楽器にはもっともっと可能性があると言いたいのです。
それを知るにはトロンボーン四重奏をするのが最高の方法です。ここでは四人が四人とも主役です。
もちろん、メロディもあれば伴奏もあるし、四人が四人ともワガママに吹いていたのでは大混乱になってしまうのは当たり前ですね。
大編成のバンドや小さな編成のアンサンブルのうまさを決定づけているのが各個人個人の奏者の演奏能力だということは、
私がここでわざわざ言うまでもなく根本的なことですね。
多くの場合、バンドで活動しているみなさんは、時間やエネルギーの配分の上で、その団体の全体練習が中心となり、
その余るか余らないかのわずかの時間を個人練習やアンサンブルにさいていると思います。
みなさんは趣味でやっている限り、それで楽しいと思うならそれでもよいし、また事情が許さないかもしれません。
しかし、できることなら、パート譜をさらうことだけではなく、個人練習、そしてトロンボーン四重奏、あるいは三重奏、
金管アンサンブルも含んだ小さな編成のアンサンブル、そして合奏や全体の練習という順にはじめ、それぞれを並行してやっていくようにしたいものです。
半年や一年もかけて難曲と取り組むのも、それはそれでよいのかもしれませんが、
それよりも、難易度はそんなに高くなくても基礎的な奏法をある程度まで身に付けて、
より多くの曲に取り組んで楽しむ、そして個人の勉強を続けながらアンサンブルの方も少しずつ難易度を高くしていく、というやり方が私は好きです。
私がいった、身に付けるべき“ある程度の基礎”がないと、やはりトロンボーン四重奏をやってもつまらないと思います。
“ある程度の基礎”というのがどのあたりを示すのかはいちがいにいえませんが、少なくとも入門者用の教則本を通じて、
次のことをマスターしておく必要があるでしょう。
1. アンブシュアが安定し、息でしっかり支えられた素直な音と比較的正しい音程で吹けるようになっていること。
2. 正しいタンギング(特別速い必要はないが、つっかえたり、衝撃を伴ったり、音がゆがんだりしない)をマスターしていること。
また、トロンボーン四重奏では四番トロンボーン、つまりバス・トロンボーンが重要なパートになってきます。
四番パートの音が充実していれば、セクションの音の響きが増すことでしょう。
もし、四番パートをバス・トロの人が吹けるのなら、その人はたとえば低音域を広げたりという、バス・トロとしての勉強をたくさんすべきです。
楽譜を上手に吹くだけが、トロンボーン四重奏の楽しみ方ではありません。
それは目と目、あるいは気配などでコンタクトをとりあえるということです。
もちろん、はじめから出来るはずがありませんが、練習を積み重ねていく内に、これが出来てくるはずです。
これはすごい快感です。
私の場合、この快感のためにトロンボーン四重奏をやっている、といっても過言ではありません。
そのためには、“聴く”という能力を高めなければいけません。他の人の音も、自分の音もよく聴くのです。これは、少しでも自分に余裕がないと不可能です。
もちろん、譜面が正しく吹けなくてはいけません。ぜひ、“聴く”クセをつけましょう。
そして次には、アンサンブルの中でその時々に課せられた役割をよく理解することです。
これは合奏でも全く同じようにいえることですが、
誰が主役なのか、
自分のパートは誰と一緒なのか、
つぎに誰に受け渡すのか、
などを知るためにアンサンブルをやっている最中に、何度も何度もスコアを見る習慣をつけるのです。
四声部のスコアなら学生のみなさんでも大丈夫でしょう。
まずはデュエットから!!
いきなり4人を集めて吹くのもよいのですが、その下準備のためにも最初はやさしいデュエットから始めてみましょう。
そうして相手の吹き方やニュアンス等を充分に理解することによって自分が相手に素直についていったり
反対に相手を自分のペースに引き込む、という練習ができるはずです。
はじめはうまくいきませんが、出来てきだすとそれがアンサンブルの楽しみの第一歩になってくるのです。譜面を読むのだけに必死になって、
はじめとおしまいだけが合っていれば次々と曲をこなしていくという無意味な練習だけはしないようにしてください。
デュエットがアンサンブルの楽しみの第一歩だということをお忘れなく。
さて簡単なデュエットの楽譜を紹介しますのでぜひ試してください。
Henning:24Easy Duets (International Music)
Voxman:Selected Duets Vol.1 (Rubank)
ハーモニーのうなりを消すのがコツです。
いよいよ四重奏へ
クァルテットにおいては、並び方も各人の聞こえ方に影響があるので、研究する余地はあると思います。
初級の人達は基本形から始めて下さい。
トロンボーン クァルテット
ジパング 2 1 3 4
基本 1 2 3 4
パリトロンボーン四重奏団 2 1 4 3
4 1 2 3
新日フィルトロンボーン四重奏団
東京トロンボーン四重奏団
スローカートロンボーン四重奏団
客席
さて、パートの決め方ですが、たいていの場合、比較的楽に高い音の出る人が一番、そして出にくい順に二番、三番を受け持つことが多いと思いますが、
アマチュアの皆さんははじめから固定をしてしまっては勉強にならないので、しょっちゅうパートを入れ替えて全パートを吹いた方がよいと思います。
旋律を支えるパートも時には旋律以上に大切な役割を持っているので、とてもやりがいがあり、それなりの楽しさがあります。
「下手だから下でいいや」なんて消極的になってはいけません。大いに恥をかくつもりで積極的に音楽を楽しんでください。
練習の第一歩はハーモニーを美しくすること
トロンボーン四重奏でも、やはり音程が練習の中心になります。音程が合わないことには聞いている人を説得できません。
まずはユニゾンの練習をしてください。一本で吹いているように聞こえるまでやるべきです。他の人の音をよく聞くことが大切です。
はじめはmfで練習しますが、1. f 2. p 3. <>(クレッシェンド、デクレッシェンド) 4. >>>>(アクセント)など、
いろいろ練習すると、とても効果的です。
以上の基本練習は、曲を始める前に必ずやりましょう。この練習においても大切なポイントはうなりを消すことにあります。
よく耳をすまして、このうなりを消すことに全神経を集中させてください。
最後に思いつくまま注意点等を書いてみます。
初級の四重奏用に
初級の人たちは簡単なコラールを多くやった方がいいでしょう。次の2曲を紹介しておきます。
Edited by Muller:Quartettes Vol.1,2,3 (Wilhelm Zimmermann)
Rubank:Tb. Quartet Repertoire (Rubank)
本物の音を聞こう!
これは、本当に大切なことです。CD等を聞いて本物の音のイメージを持って下さい。
なるべく第三者に聞いてもらおう!
音程はもちろん、全体のバランスなどは案外自分達では分かりにくいものです。先生や先輩などに聞いてもらい助言を受けましょう。
ダイナミックス・レンジを広げよう!
合奏でやっているよりも、ダイナミックスの幅がつけやすいはずです。ぜひfとp、<>の差をつけましょう。
スコアを四人分用意しよう!
前にも述べましたが、スコアにはいろいろなヒントがつまっています。音程、自分の役割、そして曲の構造など。
全員でイニシチアブをとろう!
もちろんアンサンブルのまとめ役はいなければなりませんが、音楽においては、全員で話し合い、意見をぶつけあいましょう。
最後に!
私は、アンサンブルはT友情Uだと思います。人を思いやる気持ちがなければいけません。
でも、時にははっきりとものをいうことも大切ですし、自分の演奏にも責任を持たなければいけないでしょう。
いずれにせよ、トロンボーン四重奏をとことん練習して、目や気配(ブレスの音とか)でコンタクトをとれるようになれば、
新しい世界も開け、バンドやオーケストラのセクションのサウンド・アップにつながることウケアイです。