原発被災地内の山林・立木の損害額・補償額の算定・評価について

株式会社 高橋不動産鑑定事務所     不動産鑑定士 高橋 雄三


 世界に類を見ない福島第一原発の4基の重大事故から早2年になろうとしています。

 16万人余りの方々が未だに避難生活を送っている実態、加えて県内外の多くの国民が放射線被害への不安に怯えながら生活している現実を見るにつけ、一刻も早く、具体的な対応策・解決策が求められていると強く感じます。

 東京電力は、国民・県民に与えた損害について、営業補償や生活補償については一部で実施していますが、その他の財産的損害については、未だ手付かずの状態だと言わざるを得ません。

 たしかに、財物賠償については、ようやく「賠償基準」が示され、具体的な算定・査定作業が始まりつつあります。

 しかし、土地や建物といった、こと不動産に限っては、大まかな「賠償・補償基準」は提示されても、具体的な進展は遅々として進まずというのが実情です。

 今回特に問題なのは、原発避難区域内の山林・立木の損害をどう査定評価し、どう対応するかであります。

 被災地に山林・立木を所有する地主の方々はむろんのこと、現地の森林組合等の関係者も、先例のない、未曾有の事態にどう対処すべきか判断に迷い、悩んでいることも理解しております。

 山林の評価、特に立木の評価は、立地条件、自然的条件、林道の整備状況、木材市場の動向等に大きく影響されるため、鑑定評価の専門家である私共も含めて、関係者にとっては難題とされているのが実情であります。東京電力側としても、どう対応すべきか、大いに迷っているのが実情のようです。

 当事務所では、20数年前のゴルフ場開発ブームの時代に、国土利用計画法に基づく届出の必要資料としての山林(土地)の鑑定評価書や立木価額算定書・評価書の作成業務を多数手懸けた実績を有しております。

 150ha〜200ha山林の土地と立木を、効率よく合理的な評価手法で、現地調査と集計作業を行い、結果として精度の高い評価額算定の業務を遂行する能力・ノウハウを取得しました。

 今回の不幸な原発事故の対応策の一環として、当社が保有する能力・ノウハウが、山林評価・立木評価のお役に立つことができるのではないかと思いあたり、ご案内を差し上げた次第であります。

 参考資料として以下の資料を添付いたします。

原発周辺市町村(避難地域)内の民有林の樹種別立木評価額の試算一覧表

 なお、原発被災地内の土地(宅地)・建物の損害額・補償額の査定・積算・評価につきましては、多くの被災者の方から相談・依頼を受けております。東京電力側が提示した三基準のうち、どの方式・基準で評価を実施するのが被災者にとって有利なのかについて具体的な検討を進めながら業務を行っております。ご一報下されば、何なりとご相談に応じます。


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