帰国
朝9時すぎにホテルをチェックアウトした。外は雨、旅の終わりに相応しいような気もする。

呼んでもらったタクシーを待つ間、フロントのおばさんと話していた。彼女によれば、朝、雨が降るのはそう珍しいことではないのだそうだ。
・・・昼になればカラッと晴れるのよ、TVでも今日は晴れって言ってたわ・・・。
写真はホテル前。左に行くとラト駅に出る。
タクシーは15分ほどで空港に着いた。出発の2時間20分前だ。
さて、このポルトガル編の 「写真集もどき」 というテーマには反するのだが、最後に、リスボン空港での出来事を書き添えておくことにする。
この空港はチェックイン・カウンターが直前まで分からない。決まりはあるのかもしれないが、何も表示されていないのだ。早めに到着した人は、手前のモニターにカウンター番号が表示されるまで待たねばならない。
そういうわけで、私も他の人にならってモニター前に陣取っていた。出発2時間前の10時頃、ようやく場所が決定。No.14〜16とかなり遠いが、みんな我先にと急いで移動する。

エコノミー用のカウンターはNo.15、16の2つ。私はNo.16の前から3番目の位置をゲットした。と、ここまでは順調だったのだが・・・。

 係員がなかなか来ない。
     ・・・やっと来たと思ったら、
 コンピューターの調子が悪いらしい。
     ・・・ようやく直ったと思ったら、
 最初の若い男の子2人組でなにやら問題が発生したようだ。

彼らは欧州人らしいが言葉が通じないのか、係員にゴネているのか・・・。長いやりとりの末、二人組のうち一人が何処かへ行かされる。それからは、完全に業務ストップである。

隣のカウンターは着々と乗客をさばいているが、そちらの列ははるか後方に伸びていて、いまさら並び直す気にはなれない。私の数人後ろにいたツアコンさん(独人?)は交渉して、自分のツアー客をビジネスクラス用カウンターに移してしまった。そのころからみんなイライラを隠そうとしなくなる。

何やってんだ? その二人組は後回しにすればいいじゃないか。
そんなことを言っていたに違いない。なんたってルフトハンザ便、乗客のほとんどが何事にも几帳面なドイツ人のはずだ。カウンターに直談判する人もいた。日本人のわりにいい加減な私も、友人知人への土産を買えなくなるかと心配になってくる。

いったいどれくらい待っただろう。いなくなった一人がチケットを手に戻ってくるのを、みんなは冷ややかな視線で迎えた。待っていた相棒は、ずっとその空気を感じていたらしく、申し訳なさそうにしていたが、戻ってきたほうは何も知らない。相棒に小声で説明され、みんなが待たされていることに気付いたようだった。

10:35ごろ(並びはじめて35分、一歩も動けなかったわけだ)、二人組の手続きが終了! 背後で大拍手が起こった。振り返ると一人のおじさん。みんなドッと笑いだす。一気に場を和ませた、この拍手の主にこそ拍手を送りたいものだ。
結局、土産を買う時間はあったのだから、文句はない。しかし最後になって初めてラテンなポルトガルを見たような気がしたのだった。
写真はリスボンからフランクフルトに向かう途中。

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