この空港はチェックイン・カウンターが直前まで分からない。決まりはあるのかもしれないが、何も表示されていないのだ。早めに到着した人は、手前のモニターにカウンター番号が表示されるまで待たねばならない。
そういうわけで、私も他の人にならってモニター前に陣取っていた。出発2時間前の10時頃、ようやく場所が決定。No.14〜16とかなり遠いが、みんな我先にと急いで移動する。
エコノミー用のカウンターはNo.15、16の2つ。私はNo.16の前から3番目の位置をゲットした。と、ここまでは順調だったのだが・・・。
係員がなかなか来ない。
・・・やっと来たと思ったら、
コンピューターの調子が悪いらしい。
・・・ようやく直ったと思ったら、
最初の若い男の子2人組でなにやら問題が発生したようだ。
彼らは欧州人らしいが言葉が通じないのか、係員にゴネているのか・・・。長いやりとりの末、二人組のうち一人が何処かへ行かされる。それからは、完全に業務ストップである。
隣のカウンターは着々と乗客をさばいているが、そちらの列ははるか後方に伸びていて、いまさら並び直す気にはなれない。私の数人後ろにいたツアコンさん(独人?)は交渉して、自分のツアー客をビジネスクラス用カウンターに移してしまった。そのころからみんなイライラを隠そうとしなくなる。
何やってんだ? その二人組は後回しにすればいいじゃないか。
そんなことを言っていたに違いない。なんたってルフトハンザ便、乗客のほとんどが何事にも几帳面なドイツ人のはずだ。カウンターに直談判する人もいた。日本人のわりにいい加減な私も、友人知人への土産を買えなくなるかと心配になってくる。
いったいどれくらい待っただろう。いなくなった一人がチケットを手に戻ってくるのを、みんなは冷ややかな視線で迎えた。待っていた相棒は、ずっとその空気を感じていたらしく、申し訳なさそうにしていたが、戻ってきたほうは何も知らない。相棒に小声で説明され、みんなが待たされていることに気付いたようだった。
10:35ごろ(並びはじめて35分、一歩も動けなかったわけだ)、二人組の手続きが終了! 背後で大拍手が起こった。振り返ると一人のおじさん。みんなドッと笑いだす。一気に場を和ませた、この拍手の主にこそ拍手を送りたいものだ。