*----- 9/ 7 成田〜パフォス -----* |
さて、いよいよ出発当日となった。いつものように車で成田に到着し、いつものようにチェックイン・カウンターへ向かう。
この先もいつものように手続きを済ませ、いつものようにゲートへ行くのだ。まだ旅行のエンジンが暖まっていないのか、どうもワクワクしてこない。
ところが、KLMのカウンターで係員は "いつも" にないことを言い出した。
「キプロスへ行かれるのですね。ビザはお取りになってますよね?」
「えっ?ビザは要らないはずですが」 そりゃあ粗忽者なのは自分でも認める。でも、それくらいはチェックしてあった。
「少々お待ちください」 ぜんぜん信じてくれずに調べてる・・・。
もちろんビザは3ヶ月以内の観光なら不要。係員の記憶違いだったわけだが、頻繁に日本人が行く国ではないからだろう。そう思うと、ようやく
"遠い国へ行くんだ、旅に出るんだ" という気がしてくる。
その後のやりとりは想定内のものだった。通路側の座席をリクエスト。成田→アムステルダム、アムステルダム→パフォス、両方のチケットを発券してもらい、荷物はパフォスまでスルーでお願いする。
飛行機は10:32、ゲートを離れた。
ここで嬉しいことが一つ。前述のとおり私の席は通路側なのだが、なんと窓側も中央も空席!つまり3つの席を一人で占有できるのだ。こんな幸運は何年ぶりだろうか。ざっと見回してもさほど空席があるわけでもない。すぐ後ろには出張らしき若い日本人男性3人が窮屈そうに座っている。その3人組の先輩格がずーーーっとしゃべり通しで、イヤホンのボリュームを上げても話の内容まで聞こえるのには閉口したが、おかげで通路側の後輩も空席に移ってくるわけにはいかないらしい。
食事を終えたあとは、中央のシートベルトをゆるめに締めて横になった。そう、文字通り "横"
になれたわけ。そのせいか、背後の声も忘れて熟睡することができた。
←機内食。珍しく和食を選んだ。というのも、カツ丼なんて機内じゃ初めてだったから。
到着前の軽食は焼きそば。KLMってB級グルメ好き?あるいは炭水化物好き?
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予定より50分近くも早く、14:26にアムステルダム・スキポール空港に着陸。そしてキプロス行きは予定通り、17:50にゲートを離れた。
キプロス・エアーのシートはチャコール・グレーのビニールレザーで、なかなか高級感がある。
食事もまあまあだ。月桂樹の風味が効いたビーフの煮込み、サフランライス添え。サラダとパン、チーズ。チェリーのケーキにはカラメル味のクリームがトッピングされていた。こちらは満席だったため---当然ながら日本人は私だけだし---、人目を気にして写真は撮っていないが・・・。
フライトは4時間ちょうど。キプロスはオランダより1時間早いので、現地時刻の22:50、これもオン・スケジュールでパフォス国際空港に着陸する。
入国カードを書き、パスポートに添えて入国審査官の前に置いた。
「アムステルダムから来たのですか?」 「日本からです」
「日本、アムステルダム、そしてココですね?」 「はい」
ギリシャ系にしては華奢な、とはいえいかにもギリシャ系らしい強面の男性係官。その彼から発せられる言葉は事務的なものでも威圧的に感じる。そのあと航空券を提示させられ、帰国日や入国目的、宿泊先と、ごく一般的な質疑応答があった。
これで放免されるだろうと思いきや、さらに質問は続く。
「なぜここを選んだのですか?」
「なぜ !?!?」 理由なんてあったろうか・・・。もちろん見たいもの、食べたいものはたくさんある。でもどれも理由というには些末すぎるし、そういう具体的なことは旅先が決まってから考えたようなものだ。
「うーん、私は地中海沿岸の国々が大好きなんです」
係官は何も言わず、続きを促すような顔をしていた。
「去年はクロアチアに行ったし、ギリシャ、スペイン、マルタへも行きました。イタリアには数回行ったことがあります。それで今年はCyprusへ来ることに決めました」
こんな説明で納得したのかなぁ。そもそも質問の意図が謎だ。ただの物珍しさから? 目的を偽っていないかチェックするため? それとも英語のテストだったりして・・・(だったら帰国命令だったか(笑))。なにはともあれ、彼は入国のスタンプを押しパスポートを返してくれた。
両替をして、タクシーに乗る。空港から市内まで約15km、疾走する車の後部座席からは、ほとんど何もなさそうに見える暗い夜道だった。時間がとっても長く感じられたが、何事もなくホテルに到着。今夜はもう眠るだけだ。
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