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9/9 Sun. バーベキュー・パーティー |
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このページのエピソードは、あくまでご一家のご厚意です。私の場合は前回の旅行記で紹介したから、ということもあったかもしれませんが、そうでなくとも、ときとして飲み物や食べ物の差し入れ、お茶やランチのお誘いなどがあるそうです。ただし、いずれもゲストが時間を持て余しているのではないかと気遣ってのこと。彼らの都合やタイミングにもよるでしょうし、必ずあるサービス、という類いのものではありません。
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19:33 テラスより |
カーテンで仕切られたテラスの向こう側、家族用テラスでは魚を焼きはじめたらしく、食欲をそそる香りが漂ってくる。約束の午後8時半まであと数分というころだったろう。ノックの音がした。
各部屋、もちろん鍵はある。でも今回は自分の家のような気分だったし、外出時以外は全く鍵をかけなかった。ドアもスタンコビッチ家の人たちが私が部屋に居るとわかるよう、完全には閉めずにいた。
「どうぞ~!」
入ってきたのはイゴール。
「KEIKO、アペリティーヴォ飲まない? おいでよ」
いま思えば彼って何語でしゃべってたんだ?
イタ語混じりのカタコト英語だったのかな~。アクションや口調がかなりのウエイトを占めるせいか、とにかく何語かなんて意識もしないまま、私には通じた。そして確かに
"アペリティーヴォ(食前酒)" とは言ったw。ま、通じりゃいいのよ。さすが世界を股にかけた船乗りっ!
一方ゾランの英語は前回よりかなり上達した。私が言葉を探していると的確に代弁してくれ、「そうそう、その通り!」 で済んじゃう。そして話すだけで事足りるからか生来の性格からか、彼はほとんど身振り手振りナシ。もっと言えば、イゴールの気さくな人柄はママゆずり、勉強家のゾランは寡黙なパパ似なのかな。でもとにかくみんな、いい人たち♪
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写真は2日後の9/11、21:46 |
家族のテラスでは、隅に置かれたバーベキューグリルの上で、いよいよ魚が芳ばしい匂いを発散していた。スペースの制約があるからみんなでつつく形式ではないみたい。
そしてパパだけが既に一番奥のお誕生日席(?) についている。
私はその隣、旧市街を見渡せる、ここではお誕生日席に勝る上座に、勧められるままに座った。
イゴールは、パパと私、そして自分のアペリティーヴォを運んできた。
「これは珍しい酒。豆から作るんだ、青い豆ね」
乾杯後、土産として渡してあった 「指さし会話帳・クロアチア」 を私に託して、彼は去って行った。
それを見ながらパパと筆談ならぬ "指談" を開始w。どうやらその豆の種類までは載っていないようだ。
ママと謎の女性が入れ替わり立ち替わりやってきてはテーブルを賑やかにしていく。イゴールは魚にオリーブオイルをかけたりして調味中だ。
ここでパパとなにか場つなぎをしなければ、と考えた私。
火事の話を持ち出してみる。「酷かったようですね、マウンテンのファイヤー」
もちろん山の方角を指さし、燃え上がる炎を手で表現しつつw。
でもパパさん、理解不能のご様子。もともと物静かな人だし、会話を強要することもないか~という気もしてきて、
「OK、気にしないで」 と微笑みかけたあとは、遠く旧市街を眺めていることにした。
しばらくの沈黙。。。
ちょうど焼き上がった魚が私のお皿に載ったところに、もう一人のゲストがやってきた。ママが自分の友達だと紹介してくれる。私の隣に座ったが、彼女も英語を話さない。挨拶したあと彼女はママとしゃべっていた。
あ、写真、写真!カメラを手に立ち上がる。
ママとイゴールが口々に
「そーだ、KEIKOは食事の写真も撮らなきゃね~」
「またWebに載せるんだもんねっ!」
冷やかし半分で盛り上がってる・・・ま、いっか。場が一気に和んだし。
魚はブドヴァでも食べたオラータ※だ。今が旬なのかな。
※オラータはイタリア語。クロアチア語ではズバタツという。黒鯛、正確にはヨーロッパ・ヘダイのことらしい。
なかなか絶妙なオリーブオイル加減と焼き加減。上手じゃん。イゴール株またまた上昇(^^)。
他にプロシュート、タコとオニオンのサラダにレタスサラダ、左奥はナスとペペローニの前菜。
そして私は白ワインをいただく。
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パーティーのテーブル |
最後の魚を運び終えた彼が席に着いたところで言った。
「イゴール、彼女を紹介してよ」
「ああ、そっかそっか。彼女は父の兄弟の‥‥」
預かっていた会話帳を開き、「いとこ」 のところを示したら、違うとのこと。そのページを見渡して 「親戚」 のところを指して返ってきた。どうやら載っていないらしい。いずれにしてもパパ方の親戚。なんだ、新妻じゃないのか。名前も聞いたんだけど、このあと様々な話をしているうち、すっかり失念してしまった。
そこへゾランがやって来て私の向かいの席につく。最近ゾランは送迎で忙しいみたいなのが残念だ。
パパが何かを言い、ゾランが訳してくれた。
「きっとKEIKOはいろんなこと考えてるんだろうね~、だって」
私としては気まずい雰囲気ではないつもりだったけど、パパはずっと解らなかったことを気にしていたんだな。
「いえいえ、何も。だってこの景色を眺めていると飽きないんだもの」
そう伝えると、パパは柔和な笑顔をこちらに向けた。大げさに気持ちを表現する人じゃないから、私にはとても嬉しそうに見えた。良かった、私が沈黙を苦痛と思っていたんじゃなく、ただただ無の境地で景色を楽しんでいたことを解ってもらえたようだ。
和気藹々と楽しいパーティーだった。
会話は主に兄弟と私、ママとお友達と親戚の女性、という2組に割れたが、時折クロスする。私のほうはもっぱらモンテネグロの報告。
ママのお友達は私に興味がないのか話せないから遠慮しているのか、とにかく空気のように華麗に無視だったが、これが却って気を遣わなくて済んだように思う。もちろんパパは温かくみんなを見守っていた。
何の話題からだったか・・・たぶん私が誰かのイタリア語に反応したんだと思うが、突然ママが会話に割り込んで叫んだ。
「KEIッKOォ~! パルラ・イタリアーノ???」 =イタ語を話すの?
「ウン・ポコ (^^ゞ」 =A little
なんだ、ママとはイタ語でコミュニケートできたのか。って私はホントにちょびっと過ぎて会話にならんのだけど。
「ポッコポッコ~!」 イゴールがまた妙に盛り上がるw。
↑これもほんの少しの意
考えてみればザ・たっち風? 「ちょっと」 の意味が違うか。
住宅地のテラスでこの騒ぎ、東京だとご近所から苦情が出そうだ。
いつの間にか席を外していたゾランとイゴールがテラスに戻ってきた。
「KEIKO、キミのページを見て来てくれた日本人が帰ってきたから紹介するよ」
上のアパートメントに宿泊しているH氏と大学生の息子さん。そこからはお二人も交えての飲み会となった。
彼らは前夜 (前々夜だったかな?) もここで飲み会だったらしい。フランクでインタビュー上手なH氏。おかげで今さらながらイゴールのほうがお兄さんと知った。私は落ち着きのあるゾランが年上と勝手に思い込んでいたのだが。
K1のミルコ・クロコップやサッカーや、果ては最近増設したサテライトTVのチャンネルの話まで、やはり男同士の会話は盛り上がり方も違う。
クロ語、英語、イタ語、さらに日本語まで入り乱れての宴は、H氏親子が明日早朝のご出発ということで引き揚げられ、ゾランが 「シャワーを浴びたいな」 と言ったのを機に、10時半をまわったころお開きとなった。
ほんに濃いぃ~~2時間だった。