9/10 Mon. ドゥブロヴニク百景 [2] スルジ山
2010年7月10日、スルジ山 (Brdo Srđ) へのロープウェイが復活したそうだ。
         ※ロープウェイ(ケーブルカー)公式サイトはこちら→http://www.dubrovnikcablecar.com/

しかし、こちらは2007年の話。さきの内戦で破壊されたまま、まだ復旧の兆しも見えなかったころである。
※1991年~のユーゴスラビア紛争。当時の報道の記憶から、よそ者の私は「内戦」と軽々に言ってしまうけど、彼らにとっては独立戦争だ。
当時は、歩いて登るか車で行くしかなかった。面倒だし、ソベから旧市街を見渡せたこともあって、2003年のドゥブロヴニク初訪問時にはとうとう行かずじまい。しかし、その後スルジ山からの展望の素晴らしさを聞くにつけ、一度は登っておくべきかな~と思うようになった。そう。今回ドゥブロヴニクでやりたいと思っていたのは、たった2つ。そのうちのひとつがスルジ山に登ること!なんだ。
プロチェ門外のタクシー乗り場付近。この写真は翌朝のもの。
乗り場を示す黄色いボードに、タクシー料金が書かれている。
あらためてタクシー乗り場に戻ると、車はみな出払っていた。
標識に主な行き先の運賃が書かれていたので、スルジ山の料金を確認。たしか210クーナだったかな。
そこへ一台のタクシーがすーっとやって来て停まった。
助手席には女性の姿があったのだが、行き先を聞かれて、「スルジ山」 と答える。無線で他の車を呼んでくれるのかしら・・・な~んて思ってね。
ところがなんと!運転手は女性と相談を始めるじゃないか。
そして、「彼女が行ってもいいって言ってるから、どうぞ」 だと。
いったい彼女は何様?
昔、メキシコで妻子を乗せたタクシーに乗ったことがある。帰宅ついでに一稼ぎ、という様子だった。給油も付き合わされたっけ。今回は遠来の知り合いを乗せているふうだが、公私混同という点では同じだろう。

とはいえ断る理由も浮かばないから、乗ることにした。

一方通行が多いため、車はいったん東に向かって大きく迂回してから空港に通じる幹線道路に出る。そして昨日ドゥブロヴニクに戻ってくるとき最後に停車したボサンカ村に通じる階段を通過後、山へと上っていく脇道に入った。
やはり道はすれ違いが難しそうだ。このときは対向車がなかったし、モンテネグロのオストログ修道院へ通じる道と比べるまでもなく路面が良好だったので、自力でもOKだったかな、なんて思ったが・・・きっと運転していたら幻の対向車に怯えていたことだろう (笑)

車内では運転手が解説をしてくれる。私には英語で、謎の女性には (おそらく) 現地語で。

より大きな地図で Dubrovnik, Bosank, Srdj を表示
そうこうするうち、山の展望スポット付近に到着。砦の前で車を降り、ドライバーに先導されて建物の向こう側へ進む。
砦。内部は翌年、2008年8月~戦争博物館になったそうだ。
山火事の跡
9/3 山火事被害報告のページでも触れたとおり、この夏、欧州のあちこちで山火事が発生した。ここスルジ山でもその跡がかなり目に付く。
写真を撮っていたら、ドライバーが火事についても語ってくれた。
あの山の向こう、ボスニア・ヘルツェゴビナ側から火の手が上がって、こちらに回ってきたのだそうだ。自然発火ではないんじゃないか?なんて噂があるんだ、とも言う。真偽のほどはともかく、民族間の溝の深さを垣間見たような気がする話でしょ?
ロープウェイ駅の跡
こちらは、爆撃の痕跡そのままのロープウェイ駅。そう遠くない過去に戦禍に巻き込まれた場所であることを思い出させてくれる負の遺産ともいえる。ロープウェイが復活した今、どうなっているんだろうか。
ロープウェイ駅(山側から)
上の写真、手前右にあるのは十字架の台座だ。ナポレオンに贈られたものらしいが、戦後に再建された新品なのがちょっと残念だ。
ここまでなんだか暗~い話題尽くしのスルジ山だね。でも、海側に目を転じれば・・・
                  スルジ山からの眺め
・・・めいっぱい元気になれる。
 やはり一見の価値ありだ。

ただ、当然のこととはいえ、最初に感じたのは、「旧市街がちっちゃ~い!」ってことだった。

そして実際の旧市街との距離がそのまま、私の心象としての距離感となる。
現実味がない・・・というより余所余所しく見えたというのが的確だろうか。
こちらのほうが遮るものなく見渡せるとはいえ、個人的にはスタンコビッチ家からの眺めのほうが好きだ。あちらはなぜか温もりを感じるんだよなぁ。もちろんあくまで私見に過ぎないんだが・・・。

で、このとき決めた。今回は他の方向からも旧市街を展望してみよう!と。
              スルジ山から旧市街の眺め
運転手は連れの女性と談笑中w
ツァヴタット、モンテネグロ方向
タクシーの車窓から
帰路では 「写真を撮るかい?」 と運転手が一時停止してくれた。あわてて撮ったからアングルがイマイチだ。急がなくても待っていてくれただろうにねw

そして乗り場でタクシーを降りたのが11時少々前。
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