<Hagar Qim Temples>

ハジャー・イム、中央神殿全景。

柔らかい石灰岩でできているため風化しているというが、まず驚かされるのは、そびえ立つ巨石だ。他の神殿では残っていなかったり、もっと小さな石を積み上げていたりだったのに。
それに写真右手、メインの入口は、きれいにトリリトン (直立する2石の上に水平な石を渡したもの) の形で残っている。
前に見られるベンチ風ブロックは全体を取り囲んでいたらしい。これについては供物台と書かれた本と、座席を兼ねた巨石の支えだという本があった。

右コーナーの向こう(写真外)の壁面は縦3m*横6mという巨大な一枚板。他の巨石神殿もひっくるめても最大だそうだ。さらに向こうの壁にはこの神殿で最も高い5.2mの一本石(写真では頭だけ出ている)もある。

内部は楕円形の部屋が6つと、それに付随する小部屋がいくつか。
入口をくぐって最初の部屋で目を惹くのは、四角くくり抜かれた大きな窓石。これが両側にあって部屋を3つに仕切っている。窓石には革製カーテンを固定したと思われる穴がある。そして有名な「マルタのヴィーナス」を含む多くの女神像が奥のスペースから見つかっている。
また、この部屋にはいくつか祭壇がある。植物が彫刻された祭壇(窓石の右手のスツールみたいなもの)など重要なものはヴァレッタの考古学博物館に展示され、ここに置かれているのはコピー。

←続いて一番大きな部屋へ。正面は第2の入口で反対側に出られる。部屋の左半分は両側に祭壇が並ぶ。写真はその一部、作りつけのトリリトン祭壇(左)と"マッシュルーム"祭壇1対(右)。
マッシュルーム祭壇は生贄の血が流れ落ちないように縁が高くしてあるとか。この間から奥に通路があって最も神聖な部屋へ通じる。
右一帯は神託所。壁に開いた穴を通して向こうの小部屋からご神託が伝えられたと推察されている。ここにはドーム天井だったらしい石組みが2〜3段だけ残っている。

大部屋の左には放射状に4つ、後陣の部屋が並んでいる。でも繋がっているのは階段を上がった先にある南端の部屋だけ。そこにも窓石があって、奥に張り出した小部屋との仕切りになっていた。また、本来は中央にあったかもしれない円筒形の柱が隅に立っている。

他の3部屋はそれぞれ独立していて、外からしか入れない。
海側になるので特に風化が激しいが、比較的一番北の部屋の状態は良い。ここに写っているのはその北の部屋の一部。

向かい側(私の立つ方向)には北の神殿があるが、残骸と言っていいほどの状態だ。
中央神殿手前にある東の神殿のほうがまだマシかも・・・。


海に向かって遊歩道を下る。気持ちよいけど、日差しを遮るものが全くないので実はかなり暑い。




<Mnjdra Temples>
イムナイドラ神殿全景。左から西の神殿、一段高くなって中央神殿、東の神殿と並んでいる。
こんなに近いのにハジャー・イムとはまるで外観が違うのに驚いた。どうやらハジャー・イムは周辺の柔らかい石灰岩を切りだして造られているのに対し、このあたりは堅くて重い石灰岩の地層で、神殿もその加工しにくい石で出来ているから、ということらしい。もっとも平坦に磨いて装飾する部分にはハジャー・イムのほうから運んだ石が使われているそうだ。
西の神殿は一番保存状態が良い。半円形の前庭があり、正面の壁に沿ってベンチ状の石が並ぶ。入口から最初の部屋までの通路には上に石板を渡した天井があったらしく、今も一部が残っている。
最初の部屋は楕円形。正面には奥の部屋へ通じるトリリトンの入口(写真右側)、その両サイドにブロック状の祭壇がある。
部屋の右一帯はドーム型天井と思われる石積みがちょっと残っていて、壁の2ヶ所に御神託の穴が開いている。
また壁石の1枚には窓がくり抜かれ、そこから正面外壁との間にできた三角形の部屋に行くことができる。そちらは御神託伝達者の部屋だったと思われるが、祭壇なども置かれている。
[下の写真]
←この写真の左側アップ。
イムナイドラ神殿で最も興味深い部分かも。
トリリトンの中に窓石がピッタリはめ込まれている。石板には一面に小さな穴を彫った装飾が施してある。
そして奥の部屋が見えるが、正面にあるのは、支柱の上に石板を載せ、さらに支柱を置いて石板を載せた二重祭壇だ。
部屋の左右にも二重祭壇があって、右のほうは下段だけが残っている。
最初の部屋から奥の部屋へ移動すると、先程の二重祭壇の部屋を横から見ることになる。

西の神殿を出ると、隣りには石積みをしたテラスのようなスペースがあり、その奥に中央神殿が建つ。
内部は西の神殿に比べるとスッキリした感じだ。最初の部屋には奥の部屋へ続く通路の両サイドに祭壇があるくらい。
ここでの見所は左側の祭壇を囲んでいる石板で、神殿の外観らしきものが彫刻されている。奥の部屋に進むと、正面にはトリリトン祭壇、右端には御神託の穴、左端には窓石がある。窓の向こうは小部屋になっていて、円筒形の柱に石板を載せた祭壇が置かれている。


最も古い東の神殿は、楕円の部屋が1つだけ、というシンプルなものだ。





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