どこでもアウトドア
巷ではアウトドア流行りのようで,町にはアウトドアグッズの店が次々に出来てくるし,町なかでトレッキングシューズを履いて,ご丁寧に腰からカラビナをぶら下げている若者を見かけることも多い.そして近くの住宅街を歩いたり,ショッピングセンターの駐車場を覗くと,これでもかと言った具合に4WDのトラックやミニバンに出会うことになる.形から揃えていくのが日本人の特徴と言えば仕方がないが,多くの人が雑誌やTVの影響を受けてステレオタイプのアウトドア,つまりはオーロンやウィックロンにゴアテックスといった高機能な登山用ウェアを着込んでエアコンばっちりのSUVに乗って,河原に着いたらタープを張って,ツーバーナーのレンジで厚切りビーフのバーベキューとなる.例えば,GWに秩父長瀞の荒川の河原を見るが良い.そんな流行りの連中が見渡す限りの河原一面で同じ格好で同じことをしている.楽しんでいるのだからどうでも良いことかも知れないが,敢えて言おう.アウトドアはもっといろいろあって良いのだ.型にはまる必要はない.エアコン付きの車で行くのなら高機能素材の登山ウェアは無駄だろう.車から降りて歩くのは50mというのならゴアブーティの登山靴は要らない.炊事場付きのキャンプ場で野菜を切るならビクトリノックスよりも台所の万能包丁の方が使い勝手がよい.そしてもう一つ,大切なこと.バーベキューならどこでも出来る.そのためにわざわざ4WDで林道に入って排気ガスをまき散らし,草花を踏みつけ,ウサギやネズミを怯えさせることはない.勿論,雰囲気を楽しむのは自由だ.ただし周りの人達とまったく同じというスタイルは,まるで緑色のケロヨンジャージに身を包んで飯盒炊さんをしている遠足の中学生と同じではないか.アウトドアマインドとは戸外でバーベキューをするのが好きな気持ちではなく,自然の息吹とその変化をいつも感じている細やかな感性であり,もっと自由に,様々なシーンで自由に楽しむことが出来るのがアウトドアではないだろうか.例え外に出る暇がなくてもちょっとしたアイデアがあればアウトドアの範囲は無限に広がる.そんな外遊びの「どこでもドア」を幾つか書いてみよう.(1997.10)