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●就業規則と労使トラブルの現状3
就業規則は問題を防ぐ
労使間の契約書
使用者と労働者の関係は、本来、契約書を交わすことで成立します。つまり、「労働者は使用者のもとで働くこととし、使用者がこれに賃金を支払うこととし、これらを両者が合意することで成立する」(契約法案6)のです。
しかし、会社と労働者が結ぶ労働契約書に、労働条件のすべてを書きこむことは、記載事項が膨大になるため現実的には困難です。また労働者の労働時間や休日、休憩といった労働条件には、法律の制約があり、すべてを会社の思いどおりに決められるわけではありません。
そこで必要となってくるのが職場のルールブックである「就業規則」の存在です。コンプライアンス(法令順守)という言葉が取り沙汰されるようになった昨今ですが、使用者がどんなにコンプライアンスを心がけていたとしても、法律を知らなければ法律違反をおかしてしまうものです。裁判や行政の調査で、「法律を知らなかった」というのは通用しないので、違反をおかした場合は必ず是正勧告が出され、内容によっては罰金や懲役といった罰を受けます。
ところが就業規則を作成しておけば、ある程度、法違反をおかさないで労働者を働かせることができるようになるのです。それは就業規則が法律を遵守して作成される法的根拠に基づいた規則であることに他なりません。
労働トラブルによる相談が年間90万件あることは他の項にも書きましたが、こうした労使間の紛争も就業規則があることで大半が回避できます。仮にトラブルが起こったとしても、就業規則の記載事項が会社の正当性を証明してくれるのです。
会社に入ったら、
社員は就業規則に
従わなければならない。
就業規則の性質については「労働者がその存在と内容を知っていたかどうかを問わず、また、個別に同意をしたかどうかを問わず、当然にその適用を受ける」という最高裁の判断が有名です。
たとえば労働者は入社時に会社と労働契約を結びますが、そのときに細かな労働条件が示されなくても、その会社に就業規則が存在し、その就業規則によって会社が運営されているならば、当然にその適用を受けることになるわけです。
入社した後に「こんな会社(社内ルール)だとは思わなかった」と労働者が訴えてきても、就業規則があることで会社側に分があるわけです。この一点だけでも就業規則を所持する会社と、そうでない会社とではリスク回避という点で大きく違ってきます。
また就業規則には守秘義務規定、個人情報保護規定・・・といった規定を設けて、重要な情報の流出をおさえる措置をとることができます。解雇についても明確な解雇事由を書くことでトラブルが減らせますし、セクハラ問題も適切に規定することで裁判などで会社の管理責任を問われる可能性を軽減することができます。このように就業規則には、あらゆる意味で「リスク回避」の機能が備えられているのです。
就業規則というと社員を取り締まるというイメージがありますが、ルールが定まることによって社員も働きやすくなり、よりよい職場環境がつくれるというのが定説です。もちろん、それには会社の実態に合った適正な規則の構築が必要ですが、本当の意味で会社に合った就業規則が作成できれば、それ相応のメリットがあることは間違いありません。
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