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●是正勧告の事例
解雇予告をしていない。





是正勧告・事例の詳細
I社では、取引先の倒産にともない健康食品開発部を閉鎖することとなった。その際、部の従業員は他の部署に吸収されることとなったが、数人が他の部署の業務に適さないと判断され解雇されることとなった。しかし解雇予告期間である30日を待たず、また解雇予告手当も支払わずに解雇されたため労働者は会社の一方的な対応に怒り、労働基準監督署に訴えた。まもなく労働基準監督署の調査が入り、是正勧告が出された。




是正勧告書の内容


法条項等 違反事項 是正期日
労働基準法
第20条
平○年5月2日に解雇した労働者に対し、解雇予告期間を置かず、解雇予告手当の支払いもしていないこと。 20・6・11






なぜ是正勧告を受けたのか?


社員を解雇するときには「解雇予告」が必要です。労働基準法20条には次のように書かれています。
「使用者は、労働者を解雇する場合は、少なくとも30日前に解雇予告をしなければならない。30日前に予告しない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない」


つまり解雇するときには30日前に予告しなければならず、それができないときは30日分の平均賃金を支払って解雇しなければなりません。ただ30日の予告期間は、平均賃金を支払うことで短縮することができます。たとえば20日分の平均賃金を支払った場合は、10日後に辞めてもらうことができるわけです。


しかしI社は30日間の予告期間を待たずに解雇に踏み切り、また解雇手当をまったく支払わなかったため、その行為が法違反となりました。


この場合、会社側に責があるので弁解の余地はありません。解雇した従業員にもう一度会社に戻ってもらい新たに解雇予告をして30日後に辞めてもらうというのが本来のやり方ですが、それは現実的には無理なので、解雇予告手当を支払って解決します。手当の金額は平均賃金の30日分です。
これをすみやかに支払い、解雇手当を支払った証明を添付して労働基準監督署に報告するといいでしょう。






是正報告書の書き方


是正勧告の指摘箇所
是正報告書の記載例
〔解雇予告をしていない〕


平○年5月2日に解雇した労働者に対し、解雇予告期間を置かず、解雇予告手当の支払いもしていないこと。
〔是正報告書の書き方〕


ご指摘の労働者につきましては、平均賃金の30日分の解雇予告手当を平成○年5月30日に各々本人の指定口座に入金しました。証明書の写しを添付して報告いたします。








情報提供:是正勧告対応室、社会保険労務士むさしの事務所
(全国社会保険労務士会連合会、東京都社会保険労務士会会員)
東京都渋谷区渋谷3−6−2エクラート渋谷ビル8階 TEL03-5766-4064