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●是正勧告の事例
就業規則の記載が抜けていた。
●是正勧告・事例の詳細
H社は製造業を営んでおり、従業員は300名を超えている。営業部、技術部、総務部と、それぞれ就業形態が違うため、部署によって就業時間を変えていた。たとえば総務部、営業部は午前9時〜午後5時、技術部は午前10時〜午後6時といった具合である。ところが就業規則には総務部と営業部の就業時間しか記載しておらず、技術部の就業時間が抜けていた。そのため、是正勧告を受けることとなった。
●是正勧告書の内容
法条項等 |
違反事項 |
是正期日 |
労働基準法
第89条 |
就業規則に各部署ごとの始業及び終業の時刻が定められていないこと。
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20・6・11 |
●なぜ是正勧告を受けたのか?
就業規則には必ず記載しなければならない事項があります。それが以下の1〜3です。
1.始業・終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、
労働者を交替就業させるときは就業時転換に関する事項
2.賃金の決定(臨時の賃金を除く)、計算・支払い方法、
賃金の締切り・支払い方法、昇給に関する事項
3.退職に関する事項(解雇の事由含む)
本件の場合、総務部・営業部の就業時刻(始業・終業の時刻)は記載されていたものの、技術部の就業時刻が省略されていたため是正勧告が出されました。それではどのように書けばいいかというと、たとえば以下のようにします。
第25条(勤務)
就業時間および休憩時間は次のとおりとする。
区分 |
始業 |
終業 |
休憩 |
総務部
営業部 |
09:00 |
17:00 |
12:00〜13:00 |
技術部 |
10:00 |
18:00 |
12:30〜13:30 |
このように就業規則では、すべての従業員に対して、ルールを定めなければなりません。ある特定の部署、特定の人物を省略することは許されないので、気をつけましょう。
なお、労働基準監督署への対応は、まず就業規則を訂正し、意見書と変更届とともに届出ます。そして届出た就業規則の写しを添えて、是正報告書を担当監督官に届出るといいでしょう。
※退職金や賞与の制度があったり、安全衛生、教育訓練等の制度を設けている会社は、それらの事項も記載しなければならない事項となるので注意してください。制度がある場合、必ず記載しなければならない事項とは以下のものです。
1.退職手当の適用労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払い方法
支払の時期
2.臨時の賃金(賞与など)、最低賃金に関すること
3.労働者に負担させる食費、作業用品など
4.安全・衛生に関する事項
5.職業訓練に関する事項
6.災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
7.表彰、制裁に関する事項
8.その事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合は、その事項
●是正報告書の書き方
是正勧告の指摘箇所
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是正報告書の記載例 |
〔就業規則の記載が抜けていた〕
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