私の主張<新聞投稿>




     2002年(平成14年)3月3日☆朝日新聞<私の視点>の欄に掲載

                
                  学校教育●<「生きた学力」の評価を>
              宗守優子 
               主婦・元小学校教師(埼玉県在住)

 高2が受ける千葉大の02年度の「飛び入学」試験1日目の小論文では、辞書や参考書、パソコンなどの持ち込みが自由だった。問題もユニークだ。たとえば、「人間に見える光の波長の範囲が変わったとしたら、我々の生活様式や行動様式はどう変わる」というもの。
 この問題を中2の息子にぶつけてみたところ、こんな答えが返ってきた。
 「どれくらい波長がずれるかによって違うよ。」「(例えば)赤なら、ポストが見えなくなって手紙が届けられなくなる。ボールに赤いペンキを塗れば、消える魔球になる。紫外線が見えると紫外線カット対策がしやすくなる。放射能まで見えるようになると、気持ちが落ち着かなくなる。」「でもね、色が見えなくなるということと、物が見えなくなるということが同じかどうか分からないんだ。」
 親の欲目かもしれないが、息子は小さいときから知的欲求度の高い子どもだったので、ぜひ大学まで行かせてあげたい。だが、息子は学校のテストの点数は低い。入れる高校があるかどうか、くらいの点数しか取れない。
 息子は小2の時に学校で心身ともに疲れる出来事があって、集中力や根気などの能力が極端に低下してしまい、読み書きや計算、単純な暗記などが苦手になってしまっている。
 でも、「生きた学力」はもっていると思う。国語のテストの点数は低いけれど、私が書いた投稿文の批評はできる。「これじゃあ、単なる個人的な話で、一般的な話になっていないからダメ(不採用)だと思うよ。」とか「まあ、いいんじゃない。だって、細かいこと言っていたらきりがないよ。」とか、なかなか鋭い指摘をしてくれる。
 筆算が遅いために数学のテストでは高い点数を取れないが、考える力はもっているので習っていない問題も自力で解ける能力がある。単純暗記は苦手だが、興味のあることは難しい言葉でもすらすら覚えてしまう。しかも、興味・関心の幅が非常に広い。
 これからは、こういう「生きた学力」を必要とする時代なのに、学校の体質はあまり変わっていない。
 たとえば、顕微鏡の各部分の名称を正確に暗記した子どもより、顕微鏡の操作が出来て顕微鏡を使って見たい物があるという子どものほうが価値があるはず。なのに、学校では暗記力の高い子どもの方がいい評価をもらえる。地理なら、色いろいろな国にさまざまな暮らし方があることを理解できれば十分なのに、イヌイット(エスキモー)の氷の家の呼称を覚えなければ点数を稼げないのだ。
 日本の受験は、オリンピックのメダル争いに似ている。力の差は僅差でも、勝者と敗者に分かれる。
 だから、子どもたちは効率良く知識を詰め込んでいかないと勝者にはなれない。やはり入学試験には、せめて、テストに電卓や辞書、ノートなどの持ち込みが可能にならないと、子どもたちは「積め込み式」の受験勉強を続けなければならなくなる。
 息子は現在、学校へ行っていない。勉強らしい勉強もしていない。今は、「学校へ行かないかわりに特技をもっていたい」と、せっせと絵を描いて腕を磨いている。でも、彼の一番のとりえは、本来の「学習能力」が高いことだと思う。そうした息子の「生きた学力」を評価し、育ててくれる学校が欲しい。






     2001年(平成13年)7月2日☆毎日新聞<女の気持ち> の欄に掲載

                  
                     <早起き>         
                       宗守優子(主婦・44歳))

 不登校だった小5の息子が、見違えるようにはつらつとして、この春から学校にも通いだしました。きっかけは「早起き」。朝、早起きすると、体が早く目覚めて元気になれ、人に話しかけるのも楽になったと言います。
 朝、起きられなかった息子が、どうしたら自然に目覚められるようになったのかをご紹介します。
 まず、夕食前におふろに入れ、「入りたくない」という時は入浴なし。温まった体が冷めるまで時間がかかるためです。就寝時には足をマッサージして血行をよくし、午後9時をめどに寝かせるようにします。
 翌朝は午前6時前に窓を開けて空気を入れ替え、起き抜けの体操をします。足の指を一つずつ開き、足首を動かしたり、体をひねったりします。30分続けても目覚めない時は、自然に目を覚ますまでまち、起床後は軽く散歩。お灸もします。その他、ビタミンをたっぷり取り入れるなど食事に気を配っていることもいいようです。夫も、あさ、一緒に起きて手伝っています。
「新学期からがんばろう」と4月から本格的に始め、間もなく波に乗りました。以前、小児科医から、「不眠治療は午前6時に起こして一度、外へ出すこと」と聞いたことかあり、それをもとに試行錯誤のうえ、たどりついた「早起き療法」。今の課題は、私がダウンしないことですね。






     1998年2月7日☆毎日新聞<みんなの広場>の欄に掲載

           <対話は教師が子供の身になって

                       宗守優子(元教員・40)

 先日、中学生が女性教師を刺し殺す事件がありました。もし、少年がナイフを持っていなければ、殺人事件にはならなかったという人も多いようですが、私はそう思いません。
 教師をしていた経験から言えば、「早く教室へ入りなさい」ではなくて、「どうしたの」から会話が始まっていたら、事態は大きく変っていたと思います。
 小学生でも、教師が直接見ていないことは、ガンとしてしらを切ります。そんな時、「先生はあなたをよい子だとか悪い子だと決めたり、怒ったりするために話を聞いているんじゃないんだよ。もしも間違っているところがあったら直さなくちゃ、でしょ。よーく思い出して(本当のことを)話してね」というように諭すと,子供は変ります。
 「――しなさい」は単なる教師の価値観の押し付けで、子供の身になっていません。じっくり対話する余裕がないのが学校の実情なのですが、逆に言えば、そこが問題なのではないでしょうか。





 

     1998年3月14日☆毎日新聞・教育面の<投書から>の欄に掲載


                  <責めすぎないで>
                        宗守優子(元教員・40)

 「子供の心が分からない」と言いますが、大人の常識から見ていたら分からないのは当たり前です。女性教師を刺殺した中学生に「ナイフを置いて考えよう」と呼びかける前にどうして少年がナイフを持ちたいを思うようになったかを考えてほしいと思います。
 少年はナイフを購入する前から、言いようのない、いたたまれなさを感じていたはずです。その証拠に少年は頻繁に保健室通いをしていました。「キレそうになると保健室に行っていた」と自覚していたくらいですから、相当疲労していたはずです。少年は自分を守ろうとして教師に立ち向かったのだと思います。 
 亡くなられた先生の赤ちゃんのことを思うと、私も胸が締めつけられる思いです。でも、そこまで少年を責めないでほしいと思います。

(*原文の約半分にカットされています。主旨がちょっと変わってしまいました。)




 

     1999年5月10日☆朝日新聞「学級崩壊」特集の<親たちは>の欄に掲載

     
            
宗守優子(元小学校教師・41歳)

 学級崩壊の要因の中で意外と認識されていないのが、子供の体の育ちです。「パニックボーイ」と呼ばれる子らはセルフコントロールの能力が極端に未熟で、教育という枠の中で対応するには無理があります。体の育ちに問題がある場合は、まずは周囲がその子を受け入れることからスタートしなければなりません。そうしなければならない子が今、増えています。
 今の子供たちは、汚染された空気・水・食べ物の中で育っています。ライフスタイルも変わり睡眠もお粗末です。こんな状況下では、がんばりのきく体、がんばりのきく頭や心が育つわけありません。