剣よりも

『少女まんが魂』(白線社)に載ってた三浦先生のインタビューを読むと、ベルセルクの世界観がものすごくリアルに伝わって来る。
青年編で剣を拠り所にしているガッツは、ペンをプライドの糧にしてきた三浦先生そのもの。
人生に理由とか、価値とか、意味づけしないと生きられないの、よくわかる。
これだけは譲れない、負けないものがないと、自分の存在さえも危うく感じてしまう。
三浦先生は、高校時代の5人の友人の中で、同級生なのにずっとませてて感性が鋭く、経験の多い友人に激しい憧憬と焦燥を抱いたそうです。
「自分の国を作るだと?俺と歳もかわらないのに!」
これは15歳のガッツが、グリフィスを指して吐いた独白です。ガッツは徐々にグリフィスに対して憧憬を抱き、プロムローズの館でグリの「友達感」を聞いて今度は焦燥を募らせます。
同時にガッツを失って道を危めるほど、グリ(憧れの友人)にとってガッツ(自分)を必要なものにしている。
ガッツは、愚直なまでに著者そのものだ。
世の中には、自分の欲しいものがわかってて、無駄を踏まないスマートな人が大勢いる。
そういう人は手に入らないものと、狙えるものを選り分けて、狙えるものだけを獲得していく。
逆に、触って火傷するまで、どれが熱くてどれが冷たいのかわからない勘の悪い人もいる。ベルセルクの愛読者はそういう人が多いのではないだろうか。
私もその一人だ。熱くて拾えないものに挑んで、境界ギリギリで恥をさらしてる。

さてそろそろ、自分を支えるためのものだった剣が人を守るものに変わってきている。
先生曰く、テーマは変わる。鷹の団時代のガッツの夢は剣で何かしたい。でも今は剣で生き延びてる。キャスカを守るのも剣。夢はもうどっか行ってるけどまた変わるかも、だそうです(笑)
先生もそろそろペンの意味が変わってたりして。
自分の生きる意味だったのが、妻子を養うものになったりもする可能性だってある。
ここにペンがあります。10グラムもない軽いもんです。
ガッツの、何10キロあるかわからんドラゴンころしも、激しい殺戮もそんなペン1本が産み出してる。
ほんとうに『ペンは剣よりも強し』

三浦先生は、漫画以外何もない自分の人生は人として幸せなのか、と自分を戦い以外何もないガッツに見ている。
でも遥か見上げる私には、三浦先生はペンでベルセルクという自分の国を築いたグリフィスなの…(キラキラ)

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