死ねない戦(ベル第211話)

セルピコに変化が。ファルネーゼが自分を置いて人との絆を築き、人間としてのアイデンティティを見出せるようになって
今度はピコがアイデンティティを失ってしまった。
少なくともこのことで、ピコはガッツへの敗北を自覚した。
何やら遺言のように「お守りしっかり」とファルに言い残して教会から飛び降りていく。
自分はいつ死んでもいい体になった。

でもちょっと待て。今は21世紀。一人かっこつけて「愛する者を守って命を捨てる」なんてのは全然かっこよくないんだよ。そういう男の勝手な美学が第2次大戦中の不毛な戦死者を大量に出したってこと、もう私らは知ってる。特攻隊として消えていった人たちの胸は、純粋な想いでいっぱいだったろう。それしか選択肢がない究極な場面もあるだろう。でも、その魂を称えることはしても、その行いは美化して奨励されるべきものじゃない。
21世紀は、やっぱりガッツが言ってた23巻の「死ねない戦」。
これが一番難しい。でも一番深い愛情でしょう。本当に愛しているなら、「一緒に生きる」という選択肢を選ぶのが究極の勇気だよ。
生き恥をさらすとか、負けておめおめと生き延びる、勇気と同じ種類のね。
こういう三浦先生の男性像、好きだな。本宮ひろしだったら書かないだろうね(笑)
ピコがもう一皮剥けて、最大の勇気を会得しますように。ガッツだって「死ぬ覚悟」なんて笑い飛ばすだろうから。

ところで、戦闘シーンでカットバック的なコマをペンで重ねて描く手法、前からやってたっけ?
例:ケルピーの水爆弾(?)にガッツがハッとするコマ。これは新しいかも…。

それとですねえ。ベルセルクに飴じゃなくて雨が降ったのって、もしかしてロストチルドレンの章の最初以来?

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