トーンワーク

三浦先生の絵は緻密にペンのタッチが施されていて、陰影なども今時のアニメ系の絵柄とは違いスクリーントーンに頼らない。1ページの中に引かれた線の数たるやまったく呆れるほどだ。
だからあまり気づかなかったんだけど、ベルセルクって実は意外にも、
少女漫画っぽい綺麗な効果のトーンを多用してるの。
背景として使う場合から、質感を出すのに使われてるものまで。
そしてその貼り方も、ペンと同じで驚くほど緻密だ。小さな小さな栗パックの頭の突んがったところ全部にアミトーンが貼ってあるのを、皆様はお気づきだろうか。(私は今日気づいた…)もちろん、「オレは風の精霊だったんか!!?」のコマもね(笑)
さて、その中で特に多用されてるのが下の3種類。このところ魔法の描写が多いからなんだろう。
24巻の中で目立つ。

S-986
S-3039
Y−1638

S-986
「なんだろ?この懐かしい感じ」(byパック)の後で見開きで魔女の館が登場するシーン。ここは大木の立体感と光をうまく986番を利用して表現している。よし、今度のトーン貼りではこれをパクろう!
あ、でも冬だから葉っぱないんだっけ(爆)
この霊樹の館のシーンでは中から外から使いまくってる。幻想的な明るく温かい空間に向いてるトーンなのか。
私も一度買ったことがある。使いやすい。でもケチケチ使いすぎて何に使ったか覚えてない。
これくらいの売れっ子だと惜しげもなく使うよなあ…。1話に1枚、2枚と使い切るんだろうなあ…。ちなみに1枚はB4サイズです。

S-3039
これは幻想的な闇の力を表す時に多用されてる。
23巻の「星降る夜」の章でグリフィスのもとへ戦死者の霊が集まってくるシーン。見開きにグリフィスの横顔をバストアップで描いたページはあまりに美しかった。
24巻では「五人の御使いをを召喚するための呪物」のコマ。「それはシルフェのフード〜」とセルピコが魔法のフードを着ているコマ、その次の「同じくシルフェの剣」として風の精の舞う羽ぼうき(笑)のコマ。ドロピーがサラマンデルの剣を持って「あれ?赤く光ってる」のシーンや、ファルとキャスカが鎖帷子を来たシーン。
そして曰くのガッツの剣が「ボゥ…」と光を放つコマですな。
後にセルピコが実戦で羽ぼうきを使う時にも。「そう…こんな感じでした」
など、どうも魔力、というか幽界の力を表現するトーンのようですね。
これは私も気に入って買ってますが、ファンタジーかかないんで使いづらい。アクマシリーズの時に香の匂いを表現するのに使ったが、あれは雰囲気あったよ。
それと左右の黒いところ、使えなくてもったいないんですけど。ICさま…。

Y-1638
このトーンは何を表現するでもない、純然たる背景として使われてます。
ピコが羽ぼうきで蝋燭を切る一連のコマとか、シールケがガッツに護符を描く「清めに塩を塗りこみ〜」のところ。
「運命にあらがい生き抜いて〜出会った」(byフローラ)、「お告げがあったの。幽界の友人から」(byフローラ)
23巻のグリフィスの「初めてお目にかかる、ミュール殿下」など。
これ、私が絶対欠かさない効果トーンの1枚。ラブラブなシーンとか、いいこと言ってるシーンに使うことが多い。
かなり少女漫画っぽい。

ところで、この3つのトーン。23巻の前半まで全然出てこない。今までは1枚の柄が均一なトーンが多かった。
エリアと番号を指定すれば誰がやっても同じ上がりになる。
一方、上の3つはご覧の通り、1枚の中で、場所によって柄が違う。どこを使うかで絵の表情が変わってくるので、使用には絵画的な感覚が要求されるが上手くつかえば状況を伝える効果に優れている。
(そうか、だから効果トーンっていううのか・笑)
変わった訳は、誰か新しいアシスタントさんが入ったからという人為的なことなのか。
あるいは、漫画が幻想世界へ突入し、ガッツの心理から緊張感が薄れたという作品の内容によるのか…。どっちだろう?
3039は発売されたのが2001年だからわかるが、他の2つはもっと前からあったものだ。
内容によるのだとしたら、人間であるガッツサイドにも、闇の力と対峙する能力が備わってきたということね。
あ、ここいらについてはまた別の機会に…。

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