”超国家”について(杏林大学)


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Posted by 倉西先生 on 2007/05/14 16:53:02:

    質問
    1.”超国家”とは、何を意味するのでしょうか?
    2.EUが”超国家”ではない理由について、もう一度説明してください。

    回答
    1.英語の"supra-national"も"ultra-national"も、日本語では、”超国家”と訳されるために、しばしば、両者は混同されてしまいます。前者が、”国家を超えた”という意味としますと、後者は、”国家を極めた”となり、両者は、まったく正反対の意味となっていまうのです。このように、”超国家”という言葉は、非常に分りにくい言葉なのですが、本講義では、前者の意味で用いています。つまり、EUの文脈でこの言葉を使う場合には、”国家としての加盟国を超えた国家”、つまり、EU自身が、あたかも国家のような状態を意味していることになります。
    2.法的な側面から見ますと、EUは、条約という国際法に基づいて設立されています。仮に、EUが、1で述べたような”超国家”であるとしますならば、基本法は、条約ではなく憲法という国内法の形式を採る必要があります。したがいまして、現状では、EUは国家のような側面を多々持ちながらも、やはり法的には、国際機関である、と言えるのです。


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