一次法と二次法(杏林大学)


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Posted by 倉西先生 on 2007/05/14 17:56:58:

    質問
    1.一次法と二次法の違いとはどのようなものなのでしょうか?
    2.二次法の決定について、より詳しい説明をお願いします。
    3.もしも、一般的な国際機関が、二次法を制定することができるようになったとしますと、それは、EUと同じレベルのものとなるのでしょうか?

    回答
    1.両者の違いを簡潔に述べますと、一次法は条約であり、他方の二次法は、一次法から派生した諸法律のことです。つまり、条約である一次法あっての二次法ということになります。この関係は、講義においても述べましたように、憲法と憲法の条文に基づいて制定される諸法律との関係に類似しています。
    2.”決定”とは、EUにおいて一般的に適用される法律ではありません。”決定”とは、EUの諸機関(理事会、委員会・・・)が、他のEU諸機関、加盟国政府、企業、個人などに対して、個別的に法的な措置(行政処分・・・)をとるときに用いられる法形式なのです。
    3.EUが、二次法を制定する権能を持つ根拠は、関税同盟、市場統合、金融・通貨統合などの枠組みの形成に伴って生じた共通政策の領域にあります。つまり、通常、国家のレベルで行っているような政策(金融政策、通商政策、共通農業政策・・・)を、EUは、加盟国との協力関係を通して実施しているのです。仮に、一般的な国際機構が、経済的な枠組みを形成して、このような政策を共通して実施する、ということになりますならば、確かに、EUと同じレベルと言えるかもしれません。ただし、これは、かなり難しい作業であることも確かです。


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