欧州裁判所について（聖学院大学）

質問
１．加盟国が義務不履行訴訟で欧州裁判所に提訴され、条約違反であるとの判決が下された場合、上訴できるのですか？
２．先行判決制度において、手続きの簡略化、利便性の向上、円滑化をはかるようなことは、行っているのでしょうか？
３．加盟国の国内法がEU法に抵触する場合が発見された場合、直接訴訟を起こすことなく是正措置がとることはできるのでしょうか？

回答
１．欧州裁判所（この他に、第一審裁判所もあります！）で判決が出された場合、これ以上に上級の裁判所がありませんので、上訴することはできません。しかしながら、判決の前には知られていなかった重大な事実が後になって発見され、かつ、その事実が判決に決定的な影響を与えるとみなされる場合には、事実の発見から三か月以内に限って、再審の請求はできます。
２．今日、EUの政策領域が拡大するにつれ、また、加盟国が増加するにつれて、先行判決に付託される件数も増加傾向にあります。欧州裁判所については、単一欧州議定書において第一審裁判所が設置されるなど、裁判の迅速化のための改革がおこなわれました。しかしながら、先行判決制度に関しては、手続きの大幅な手直しが行われたということは、今までのところないのです。
３．加盟国の国内法にEU法と抵触する部分が見つかった場合、訴訟に至る以前の段階で、委員会は、加盟国に対して、何らかの是正措置を求める意見を提出することになっています。この委員会の意見に加盟国が従わなかった場合のみ、訴訟に発展することになるのです。

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