イギリスの法思想(杏林大学)


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Posted by 倉西先生 on 2007/05/21 16:20:01:

    質問
    1.コモン・ローとは何ですか?
    2.イギリスの国際慣習法と条約に対する態度の違いが良く分かりません。

    回答
    1.コモン・ローとは、そもそもは、12世紀ごろから王立裁判所で運用されるようになった”共通の法”を意味していました。ノルマン・コンクエスト(1066年)から日の浅い当時にあっては、まだ、地方によって法律にばらつきがあったからです(アングロサクソン時代は、七王国分立状態!)。しかしながら、このコモン・ローという言葉は、やがて、判例を含めたイングランドの慣習法や不文法の総体を意味するようになります。つまり、歴史を通して積み重ねられてきた法の総体こそが、コモン・ローということになり、議会で制定される議会制定法とは区別されたのです。英米法の特色とは、こうした判例や慣習の重視に見ることができます(⇔大陸法)。
    2.イギリスでは、慣習を重視しますので、国際法にあっても、慣習国際法については一元論の立場をとり、国内法化を経ることなく国内的な効力を持つと考えます。しかしながら、条約は、慣習法ではありませんので、議会による立法(国内法化)を要すると考えるのです。こうした姿勢は、1で述べた英米法の法思想に深く根ざしているのです。


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