EU法の解釈の統一について(杏林大学)


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Posted by 倉西先生 on 2007/05/21 18:43:01:

    質問
     EU法の解釈を統一することは、本当によいことなのかどうか疑問に思います。法を良い意味で深めてゆくためには、多くの見解を出し合い、より適合する判例を出してゆくことにより、より良い判例法が形成されてゆくべきではないのでしょうか?

    回答
     判例法とは、先例に従わず、新たな見解を示すことによって時代状況に合わせてゆくことができますので、この意味において、柔軟性があります。欧州裁判所もまた、必要となる場合には、判例の変更を行うことがありますので、必ずしも質問に述べられているように硬直しているわけではありません。EC/EUが、法の解釈の統一をはかったのは、むしろ、加盟国間で解釈がばらばらになりますと、EC/EUもまた分解してしまいますので、この事態を防ごうとしたからなのです。例えば、先行判決の制度が存在しておらず、ある条約文について、ある加盟国が○、別の加盟国が△、さらに別の加盟国がこれを×と解釈したならば、おそらく、現在のEUは存在していなかったことでしょう。


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