EU内部の対立（杏林大学）

質問
　冷戦時代には、ヨーロッパを分断するイデオロギー対立がありましたが、EUが成立した現在にあって、文化とか宗教などが障壁となることはないのですか？

回答
　EUの掲げる標語に”多様性の中の統一”という言葉があります。これは、EUを単一の文化に染め上げるのではなく、加盟国それぞれの文化や歴史を尊重し、ヨーロッパ内部の多様性を相互に認め合いながら、一つにまとまろうとするEUの姿勢を表しています。ですから、文化の違いがEUを分裂させる事態に発展するとは思えません。また、宗教につきましては、ヨーロッパは、カトリック系、プロテスタント系（ルター派、カルヴァン派、英国国教会）、正教系の違いはありましても、大きくはキリスト教圏ということで、共通性があります。また、政教分離の原則が、宗教問題を政治化することを回避する役割も果たしているのです。

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