Costa c. ENEL事件について(杏林大学)


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Posted by 倉西先生 on 2007/05/28 18:15:50:

    質問
     Costa c. ENEL事件について詳しく説明してください。


    回答
     プリントにもありますように、この事件は、イタリア左派政権の電力会社公社化政策に対して、民間人であるCosta氏が、EU法を盾に、政府を訴えたという事件です。この事件の背景には、イタリアの左派政権の公営化政策があったのです。
     Costa氏は、公営化の対象となった電力会社の株主でしたので、会社に対する株主としての権利と利益をもっていました。ところが、政府が、一方的にこの電力会社を公営化したものですから、Costa氏にとりましては、株主としての権利と利益の侵害となったのです。こうして、Costa氏は、国家電力局(ENEL)を相手に、ミラノの簡易裁判所において訴訟を起こすことになりました。
     さて、この訴訟を受け取った簡易裁判所は、直接の争点となる原告の請求額が極めて小額であったため、イタリアの国内法に従って、上訴ではなくEC裁判所に付託しました。つまり、欧州裁判所に先行判決を求めたのであり、その負託に対する欧州裁判所の回答が、この判例なのです。
     


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