直接適用のメリットとデメリット(杏林大学)


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Posted by 倉西先生 on 2007/05/28 18:46:28:

    質問
    1.直接適用性をめぐる議論はあるのですか?
    2.直接適用性のメリットとデメリットは、どのようなものがあるのですか?

    回答
    1.直接適用性をめぐる議論は、主として、裁判における法律論争ということになります。例えば、原告側が、EU法のある条文や法文に直接適用性があると主張する一方で、被告側が、それを否定しようとする、ということはあります。
    2.EU法に直接適用性があるメリットとは、EU側から見ますと、あたかも国内法のような働きを期待できることです。EUは、数多くの政策領域をもっていますが、中でも、関税政策、共通農業政策(CAP)、競争政策、金融政策などにおいては、直接適用性がありませんと、円滑に政策を実施することができません。この点において、直接適用性は、EU側にとりましては大きなメリットなのです。
     その一方で、デメリットは、むしろ、加盟国の側に見られるかもしれません。例えば、EU側に権限を大きく移している政策領域では、加盟国は、自国の国内事情に合わせて法律を制定したり、政策を実施することがもはやできなくなります。つまり、如何に自国にとって不都合な法律であろうとも、それを受け入れなくてはならにのです。
     もっとも、こうした事態を見越して、EU法において直接適用性が認められている領域は、加盟国間の国益が鋭く対立しないような分野となっているのです。


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