秩序維持と法（鶴見大学）

質問
　講義では、秩序維持は、行政・司法領域となっていましたが、法令などを制定するのは、政治の領域に入るのではないでしょうか？秩序維持も政治の領域になるのではないでしょうか？

回答
　政治の広義の意味においては、秩序維持も”政治”と言えましょう。しかしながら、本講義では、政治を広くとってしまいますと、それぞれの統治の役割の本質が曖昧になるために、便宜上、戦略的な決定と内部調整のみを狭義の”政治”と捉えることにしました。
　また、質問の通り、時には、秩序維持の分野においても立法を要することがあります。たとえば、技術の進歩や社会の変化によって新たなルール作りをしなくてはならないような場合です。もちろん、こうした場合には、法律案は、政治の場で議論されることになります（実際の政治の舞台では、”政治”という用語は広義政治の意味で用いられる場合が少なくありません）。しかしながら、秩序維持における法律は、”法の支配”の原則のもとに、人々の間で共通ルールとして作用し、狭義の政治のようにある目的をもった決定が政策として実施されるわけではありません。法にも、政治的な法と行政・司法的な法があるのです。

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