”いじめ”とルール(鶴見大学)


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Posted by 倉西先生 on 2007/04/21 12:20:08:

    質問
     現在、”いじめ”が社会的な問題となっていますが、目に見えない精神的なものを取り締まるルールはないのでしょうか。

    回答
     ”いじめ”の行為が、恐喝とか、暴行とか、明らかに犯罪に当たる場合には、当然に刑法の対象となります。言葉による”いじめ”であっても、それが虚偽であり名誉棄損となるような場合には、これもまた、刑法が適用されます。
     しかしながら、日常生活における言葉による”いじめ”(悪口や無視・・・)を法律によって裁くのは、難しいのが現状です。何故ならば、第一に、”いじめ”と通常の”仲たがい”の間の線引きをすることは大変難しいからです。例えば、”もう君の顔なんでみたくない!”という発言があった場合、これが、”いじめ”であるのか、”けんか”なのか、区別することができないのです。第二に、”いじめ”が、いじめられる側の主観のみ左右されますと、”いじめ”を利用した”いじめ”が発生してしまいます。つまり、簡単に、加害者が被害者になり、また逆に、被害者が加害者になってしまうのです。”ある人が、”これは、いじめだ!”と叫んだ時点で、”いじめ”が成立してしまうならば、一方的に加害者に仕立て上げられてしまう被害者も出てきてしまうのです。第三に、政府による”いじめ”対策が徹底されますと、国民の日常生活が、常に、政府の監視のもとにさらされ、介入を受けることになります。
     このようにな理由から”いじめ”を法律の対象とすることは困難なのですが、社会的なマナーとしてのルールを考えてゆくことは大切であるかもしれません。相手の立場になって考えるという基本的な倫理観は、現代という時代にあってもなお褪せることはないのです。


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