委員会敗訴判決(杏林大学)


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Posted by 倉西先生 on 2007/07/02 17:03:20:

    質問
     加盟国レベルでの執行の際に、加盟国が不履行を行ったとして裁判に提訴したところ、委員会が負けた例があれば、その理由と一緒に教えてください。

    回答
     加盟国の執行というよりも義務の不履行を争った裁判の判決としては、今年の6月14日に判決が下された委員会vイギリスの訴訟があります。
     これは、加盟国レベルでの国内法化が必要となる「指令」(1989年6月12日付けの理事会指令89/391/EECの第5条(1)と(4))について、イギリスが、国内法化を怠ってきたことが争われた訴訟です。問題となった理事会指令は、合理的に実行可能な範囲で、労働者の安全と健康を確保するために雇用者に課される義務を強化することを内容とするものでした。しかしながら、伝統的に、労働政策の領域におけるEUの権限拡大に反対してきたイギリスは、この「指令」を国内法化を行わなかったのです。このため、委員会は、再三の催促の後、ついに、欧州裁判所に訴えることになりました。
     結局、判決では、委員会の訴えは棄却され、委員会は、裁判費用の負担するように命じられました。棄却の理由は、当該指令の条文は、詳細かつ具体的な義務を課すと解釈できるほどの明確性には欠ける、というものでした。


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