加盟国裁判所と先行判決制度(杏林大学)


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Posted by 倉西先生 on 2007/07/09 19:56:27:

    質問
     先行判決制度では、異なる加盟国で、同じ内容で訴訟が起こされた場合、一方の加盟国では自国の裁判所が判決を行い、もう一方の加盟国では、欧州裁判所に解釈を求めた場合、両国の間で解釈に違いが生じた場合には、どのように対応するのでしょうか?任意的移送と義務的移送との両ケースについて教えてください。

    回答
     まず、義務的移送の場合には、両国とも欧州裁判所に解釈を求める義務がありますので、最終的な解釈に違いが生じることはありません。もっとも、同じ法文の解釈をめぐる裁判であっても、時期に違いがある場合には、欧州裁判所の解釈が変更されることもあり得ます。
     両国に違いが生じる可能性があるのは、任意的移送の場合です。この場合には、あくまでも”任意”ですので、先行判決に付さなかった国では自国の裁判所の解釈を、先行判決に付した国は、欧州裁判所の解釈に基づいて判決を行うことになります。任意的移送が認められている分野では、はじめから加盟国ごとに違いが生じることを容認しているのです。


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