出生地主義と血統主義(鶴見大学)


[コメントツリー表示を見る] [発言時刻順表示を見る]

Posted by 倉西先生 on 2007/04/28 14:40:31:

    質問
    1.出生地主義と採用している国とは、例えばどこの国なのでしょうか?
    2.出生地主義の国民が、血統主義の国で子を産んだ場合、国籍はどうなるのでしょうか?また、両主義を併用している国はありますか?
    3.出生地主義の場合、親と子が違う国籍になる場合がありますが、何か問題は起こらないのでしょうか?

    回答
    1.出生地主義は、アメリカ、カナダ、ブラジル、オーストラリア、ニュージーランドなど、主として移民国家の国々で採用されています。しかしながら、最近では、ドイツでも、条件付きで出生地主義が採用された例もあります。
    2.出生地主義を採用する代表的な国はアメリカですが、実のところ、アメリカもまた両主義を併用しています。米国国籍法では、出生地主義と並んで、外国で子供につき、以下の二つの場合に限り、血統主義による国籍取得の規定を置いています。
     その一つは、両親とも米国籍である場合です。この場合には、さらに、少なくとも両親のどちらかが子供の出生以前にアメリカに住んでいたことが条件となります。もう一つは、両親のうちの片方が、米国籍を持つ場合です。この場合には、条件はさらに厳しくなり、子供の出生以前に米国籍を持つ方の親が、少なくとも5年間はアメリカに居住しており、かつ、その5年のうちの2年間は、14歳以降のことでなければなりません。このように、出生地主義を採用している国であっても、血統主義との併用なのです。
    3.国民が、国籍国に対して誠実に権利と義務を果たしている場合には、法的な問題は生じないでしょう。しかしながら、家族という私的空間にあっては、国籍の異なる親と子の間でわだかまりがある場合もあるかもしれません。歴史を振り返りますと、国家間の対立によって親と子が敵味方に分かれてしまう、という悲劇はありました。


このメッセージに返事を書く

ハンドル:
タイトル:
内容: