旧ユーゴスラヴィア紛争について(杏林大学)


[コメントツリー表示を見る] [発言時刻順表示を見る]

Posted by 倉西先生 on 2007/05/07 18:57:01:

    質問
    1.旧ユーゴスラヴィア紛争とは、どのような紛争であったのですか?
    2.この紛争は、EUの深化と拡大にどのような影響を与えたのですか?
    3.旧ユーゴスラヴィア連邦から独立した諸国で、EUにこれから加盟する予定の国はありますか?

    回答
    1.旧ユーゴスラヴィアは、バルカン半島に所在するスロベニア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、クロアチアからなる連邦国家でした。それぞれの国々の民族や宗教構成はモザイク状に入りくんでおり、しばしば火薬庫と称されていました。チトー大統領が没するまでは、どうにか連邦制を維持していましたが、チトー大統領の死去と、東欧・ロシアにおける社会共産主義諸国の崩壊を受けて、構成国がそれぞれが独立すると、民族・宗教問題が表面化することになります。なかでも、三民族(宗教)が複雑に入り混じったボスニア・ヘルツェゴビナは、厳しい内戦に見舞われ、セルビアが介入して民族浄化(エスニック・クレンジング)と称される虐殺が行われるなど、大きな国際問題となりました。現在でも、武力衝突には至らないものの、問題は解決したわけではなく、コソボ問題など、様々な問題を抱えています(倉西先生のお姉ちゃま筆)。
    2.旧ユーゴスラビアの崩壊に際して、EUは構成国の独立を支援するとともに、人道的援助を積極的に展開しました。民族浄化などの虐殺行為には、実行力を持つNATOが介入しています。このことが契機となり、スロベニアなどは、早期にEUに加盟するなど、EUの拡大に影響を与えています(倉西先生のお姉ちゃま筆)。一方、深化については、NATO軍のみに依存したため、欧州独自で問題解決ができるような仕組みが模索されるようになりました。アムステルダム条約によるCFSPの改革は、この路線にそったものですが、やはり、現状では、NATO頼りから脱却できてはいません。
    3.スロヴェニアの加盟は先述しましたが、その他にクロアチアとの加盟交渉が2005年10月から始まっています。また、マケドニアとの加盟交渉の開始も、理事会で既に承認されています。しかしながら、他のボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、および、アルバニアについては、国内的な政治的問題があるために、まだ見通しが立っていません。


このメッセージに返事を書く

ハンドル:
タイトル:
内容: