EU設立に際して


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Posted by 倉西先生 on 2007/05/07 20:39:02:

    質問
    1.EUの設立に際して、経済(EC)のみならず、政治(CFSP)や法律(JHA)の分野も統合しようとしたことに対して、加盟国間で摩擦は起きなかったのですか?
    2.ドイツ再統一に際して、フランスが反対したのは、ドイツの復興を恐れたからですか?

    回答
    1.厳密に言いますと、政策の一本化という意味における統合方式を採用しているのは、ECのみであって、CFSPとJHA(PJCC)については、加盟国に主たる権限がある政府間協力方式が採られています。なぜ、後者が政府間協力となるのか、と申しますと、それは、これらの分野においては加盟国の主権的権限や国益が衝突するからです。このため、EUの機構設計の段階で、政策の一本化が困難な分野については、あえて摩擦を避ける工夫がなされたのです(後の講義で説明!)。EUでは、共通化できるところは共通化し、国益が分けれる分野では、政府間協力の枠組みを作ったと言えましょう。
    2.はい。歴史を振り返りますと、フランスとドイツとの間には、数多くの戦争がありました。特に、ドイツ軍の侵攻に始まる第一次世界大戦と第二次世界大戦の経験は、フランスをして、ドイツの政治的、あるいは、軍事的プレゼンスの復活を恐れさせるに十分なものでした。フランスの恐れは、再統一したドイツが、再びヨーロッパの秩序を乱し、自国の脅威になることだったのです。そうでありますからこそ、フランスは、ドイツを含めたEUおよび金融・通貨統合の枠組みに強くこだわったのです。


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