EU条約第７条の制裁について（聖学院大学）

質問
　EU条約第７条の制裁は、どのような場合に発動されるのですか？

回答
　これまで第７条に基づく制裁が発動された事例としては、2000年に発生したオーストリアに対する制裁があります。これは、極右との繋がりがあるとされたハイダー氏を党首とする自由党が、総選挙の結果、連立政権に参加したことが問題とされた事件です。当時のEUの委員長は、極右政党を含む政権の成立に不快感を示し、オーストリアを除く加盟14カ国は、対オーストリアの制裁三カ条を決定しました。それは、（１）オーストリアとの政治レベルでの公的接触の制限、（２）国際機関のポストに立候補したオーストリア人の不支持、（３）各国駐在のオーストリア大使との接触の事務レベルへの限定、というものです。この措置は、オーストリアの反発を招き、政策解除への国民投票が実施されるなど事態は混乱します（79％が制裁に反対！）。結局、アバティサーリ前フィンランド大統領をはじめとした三名による賢人グループが人権状況の調査を実施し、その結果を受けて同年９月に制裁は解除されることになりました。

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