治外法権と主権(鶴見大学)


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Posted by 倉西先生 on 2007/05/12 10:25:04:

    質問
    1.治外法権が認められていない、ということは、自国の領域主権が認められていない、ということを意味するのでしょうか?
    2.治外法権は、自国内の領域主権と対人主権を無視した”抜け穴”のようなものなのでしょうか?

    1.ある国が、治外法権を外国に認めますと、治外法権を持つ国の出身である外国人が、その国の領域内で法律上の罪を犯したとしても、その国の刑事裁判権に服することを免れることができます(領事裁判制度)。したがいまして、質問の意図は、”治外法権を外国に対して認めている場合には”、ではなかったのかと思います。この意味にとりますと、確かに、この刑事裁判権という司法権の一部範囲において、治外法権を認めた国の領域主権が制限されることになります。
    2.治外法権を外国に認めるということは、実質的に、自国の領域主権よりも外国の対人主権が優位することになります。国際法の原則が、領域主権>対人主権ですので、この不等号の向きが逆になるのです。明治時代に、条約改正が、重要な政治課題となったことからも窺えますように(明治27(1894)年領事裁判制度撤廃)、”治外法権は不平等である”、といわれる所以は、ここにあります。


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