国民の信頼を基盤とした統治を実現するためには、民主主義や自由といった諸価値の制度化が必要となります。つまり、価値とは、それが具体化されませんと、何の働きも期待できないのです。そこで、憲法という国の在り方を定める法典が制定されるようになりました。ここに、国家の基本的な価値を決定し、制度に反映させるという、究極的な価値決定系の機能を加えることができます。
最後に、国家が、憲法に定められる戦略決定、内部調整系、秩序維持、統合、価値決定の諸機能を果たすための制度をそれぞれ見ておくことにします。諸価値が文脈によって違った意味を持ち、統治の役割の本質もそれぞれ異なるため、対応する仕組みもまた違ってくるのです。そうして、諸制度がシステム統合されたのが、国家の機構ということになります。
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