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夢 守 教 会
†† 第四話「花の名前」4/(6)
◇◇◇
「ねえ、謙信さん」
驚くべき強大な認識武装を発現させることで、存在革命計画者の操る巨大なイタミを退けた少年は、さすがに疲弊したのか、ゆっくりと崩れ落ちる。
謙信は、そんな少年、島谷優希を肩を抱えて支えてやる。
「若い頃の菖蒲さんって、どんな人だったの?」
この状況で、エラくユーモアが効いた言葉が出てきたものだと、謙信は感心する。
それでも、病院での対話や共感体験。そして先ほどの戦闘でこの少年のあり方に確実に信を置いた謙信は、めずらしく「らしく」なく、ここしばらく封印していた元伴侶に対する率直な見解を述べた。
すなわち、
「その花の名前の通り、綺麗で凛とした、イイ女だったよ」
と、初恋に浮かれている少年のような趣で答えたのだった。
菖蒲と菫という、二つの花の名前に関する、小さな物語の残滓。紫陽花の季節は、もうじき終わろうとしていた。
/花の名前・追・了
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